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8-18 宇宙の世紀

「それとな、鈴木。これの一番優れた部分は、その発射管制システムにある。このヘルメットを被ってみろ」


 まるで戦闘機のパイロットが被る最新型のような、いかにもハイテクそうな感じのヘルメットを被ると、案の定全面のグラス部分はデータの表示をされるようだ。


 おー、プログラムが視線その他の情報を感知して自動でズームしてくれたりするのか。この機能も手動で切れるようになっているな。


「そいつは無線で、この大型レールガン・ヘラクレスⅣ搭載の管制システムと繋がっており、視線だけでも照準や火器管制が可能で、音声でも動かせる優れものだ。


 技術などは最新の戦闘機技術から流用しておる。電波状態が問題なら有線で繋ぐ事も可能だ。まさに最新のハイテク技術の塊だぞ。


 もちろん飛来する敵に向かってレーダー連動連続射撃なんて芸もできるし、撃ち出してから前方に向かって空中で弾体が散開するショットレールガンとしても使えるが、人気のない場所で使わないと弾数が多くて遠くまで飛ぶから地上に落ちた場合、辺り一面が大惨事になる可能性があるから気をつける事だ」


「うーん。それは使い道を選びますねえ」

 また、えらい代物を作ってくれたものだな。大型飛行魔物には大変有効なのだがなあ。


 うまく収納で回収できるように低速射撃で練習してみるか。他の連中にそれをやらせると悲鳴が上がっちゃいそうだな。


 だが、超高価な玩具として、大変面白くはあるな。俺はあれこれとマニュアルを引っ張り出して、質問を続けた。その間にもアタッチメント類などは次々と収納していく。


 そして、なんとかレールガン関係は収納できた。すかさず複製にかかる。まずは百ミリ砲を作り、それから他の連中用の分として複製し、またいくつか作ってみる。まだ残りの新装備があるので適当なところでやめた。


「さて、お次はこいつだな。地上用の大型レーザー砲だ」

 また姿を現したものは、大型の艦船用のレーザー砲だ。


 それの地上据え付け版だ。というか、俺達の収納から外に出すと自動で踏ん張ってくれるロボット兵器だ。


 レーダーを装備し、対空戦闘に威力を発揮する。実のところ、こいつは、さして電力を食うわけではないらしい。


 前に見た艦船に積まれた実験用のレーザー砲は、一発僅か数ワットの消費電力というが、どうも俺には信じられない。


 電灯の豆球や、自動車のウインカーレベルの消費電力なのだし。我々素人からすると、レーザー砲なんて物凄い電力を食うような気がするのだが。


 大昔の歩兵用のレーザーライフルは高出力の特殊な化学式バッテリーを使用していた気がするのだが。あれは、あっという間にバッテリーが消耗して使えなくなったと記憶している。


 そのあたりは昔の技術だから、何とも言えない。あのような特殊な軍用兵器の場合、強引な技術を採用しているケースもままある。


 当時の電池は性能が弱かった。今はノートPC電源用や電気自動車用に軽量な高性能バッテリー開発が進んでいるので、どんなものだろう。


 今も性能の上がったレーザーライフルは作られているのだろうが、元々高価過ぎる装備なので歩兵用として大量に配備される事はありえない。


 数が出ないので、さらにコスト削減が困難だから、当然実用的ではない。それはかなり大昔に開発され登場した兵器である歩兵用レーザーライフルの普及を常に妨げてきた主要因だ。


 それに武器は大量に売らないと商売にならないし。一般の軍や警察にレーザーライフルは不要だ。超遠距離での戦闘になる事が予想される、大気のない宇宙空間での衛星や航宙艦などに有効な兵器だ。


 大型で出力の高いものは、ミサイルも含んだ対航空機用に威力を発揮するのかもしれないが。また、大気中の埃や塵・大気の膨張など、透過や照準に問題があるので、あまり実用的とはいえない面もある。


 実際の問題として、そのあたりの補正をコンピューターがどこまでやってくれるものだろうか。


 携帯用の誘導ミサイルの方がはるかに有効だ。艦船の場合も、大概はミサイルや航空機の迎撃用の用途だろう。


 いくら現代の戦闘艦が紙装甲とはいえ、鋼鉄の塊を溶かしまくれるわけではない。それならレールガン・コイルガンのような物理兵器の物が有効だ。


 コイルガンは大出力な兵器には向かないから米軍もレールガンを採用したんだろう。こいつの発想自体は凄く古い。


 意外な事だが、最初に軍用に研究されていたのは、今ある現用兵器が何も存在しなかったくらいの太古の時代だからな。元々は超が付くほどの骨董品なのだ。


 レールガンなら今は廃れてしまった艦砲射撃にも使用できる。元々、艦載されるものは、そういった上陸支援のような艦砲射撃の用途もあるようだ。不発弾が残る心配もないしな。


 ミサイルと違い、気楽に使えるのは大きな利点だろう。原子炉を積んだ艦船ならレーザー砲もいくらでも使える省エネ兵器として有効だろうし。


 昔の戦艦のような射撃技術がまた確率される時代になるのかもしれない。レーザー砲は地上戦には向かない代物だ。


 レーザー砲はそういう用途で開発されたものだろう。対航空機・対ミサイル方面だ。特に対艦ミサイルに対しては有効だが、そうなると今度は対レーザースモッグなどを装備する対艦ミサイルが登場するのかもなあ。


 対空標的が纏っているのは、単なる外皮に過ぎないから、そっちの方は有効と思われるのだが。航空機は、ちょっと穴が開いただけでも落ちるし、ミサイルなども同様だ。


 そのあたりが飛行魔物には通用しないかもしれないので微妙なのだが、レーダーで捉え、あっさりと照準して光の速さで攻撃できるのは非常に魅力だ。


 現在、大統領の指示で《対ドラゴン用》に、強力な対空レーザー砲や荷電粒子砲のような兵器が開発されているらしい。ペンタゴンの管轄のようだ。


 もし災厄がやってくるとして、はたして間に合うのかねえ。最新兵器過ぎて他国には簡単に提供できないだろうし。


 まるでかつての米ソ対決を思わせるが、生憎な事にソ連とは違い、某国は金を持っており、逆に米国は借金塗れで政府機関の閉鎖も定番の政治ショーとなっている状態だ。


 ただ最近は某国も高度成長期を終えたため、経済は減速扱いになっているから、どんなものだろうか。それとても日本に比べれば、はるかにマシな状況のように思うのだが。


 どの道、某国とアメリカの双方が《宇宙軍創設》を公式に宣言して、宇宙での対決を前提にした戦争の準備は進んでいる。まさしく二十一世紀は、対決の宇宙世紀だ。


 それは日本にはあまり関係ないのだがね。異世界から襲来する可能性を秘めたドルクットのような脅威の存在は、それに必要な軍事関係予算編成の後押しになるのかもしれない。


 そして、俺が頼んでいた特別なもの。それは《レーザートーチカ》なるものだ。なんというか、対人用の化け物兵器だ。


 中に逃げ込んで守りを固め、まるで空中トーチカと呼ばれる攻撃ヘリのように経済的なレーザーを全方位に配置してある。


 そしてレーダーやセンサーで捉えた人間を自動で倒してくれる。多少の移動は可能だ。レールガンと違い、反動が来る代物ではないのだから、動き回っていても問題はない。当然の事ながら命中精度は落ちるのだが。


 敵に囲まれたままバッテリーが切れると、そいつのプロトタイプ・シリアルナンバーが俺達の墓碑銘になってしまうが、うちはなんとかなるだろう。


 あの電力馬鹿食いの、とんでも兵器レールガンに比べたら、どんなレーザー砲だって電池は長持ちする。たまたま、うちのレールガンはえらく省エネなんだが。


 普通に外に置いておき、俺達以外の敵を殲滅させるロボット兵器機能もある。中に籠っていると、俺がいない時は敵の魔法で破壊される可能性があるからな。そのようにオーダーしておいた。


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