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5-12 自衛隊アレイラへ

 到着した第5ダンジョンの地上駐屯地では、エバートソン中将が待ってくれていた。

「いや、昨日は留守で悪かったね」


「いや、お忙しいんですから。こっちは気楽な身の上ですから」

「ところでドラゴンを持っていると聞いたが、見せてもらえんかね」


「いいですよ。では、そこの空いた場所で」

 俺はまたドラゴンを出してみせた。本日2度目のお目見えだ。売れっ子は辛いね。


 警備の兵士達が、唾を飲み込む音が聞こえたような気がする。聴覚が、もしかして強化されているのか、それともファクラの力によるものか。


「これは、凄いものだな。よく倒せたもんだね」

「いやあ、ミサイルでも厳しいかもしれないですね。マッハ3・5くらいじゃ振り切られます。とにかく速いんです。ヘリじゃあ、魔法を使っても逃げ切れません。アメリカの現用戦闘機でも逃げ切れないでしょう」


「とんでもない話だな」

 何度も外に出されて、いい加減にしてくれよと思っていそうなドラゴンを収納すると、中将に声をかけた。


「さあ、サンプルをお渡ししますので、中へ」

 数々の品と、新しい迷宮宝石に、彼も満足したらしい。大統領を急かしている連中もこれならという事だろう。


 俺が、将来ダンジョンが奴ら自身の意思によって閉鎖に追い込まれる可能性をレポートしたので、今のうちに手に入れておこうと思って、余計せっついているらしい。


 いつの間にか、スラップ音が木霊している。お、山崎達が到着したようだ。

「じゃあ、またビジネスに行ってきますのでー」


 中将は頷き、黙って手を振ってくれた。融通の利かない自衛隊の連中だと、行方不明者の捜索を優先しろといって怒りそうだ。当然の意見ではあるが、ここにはお堅い事言う連中は誰もいない。


 今回も川島を呼んである。杏を異世界に置いて仕事を頼むかもしれないので、その辺の具合も観てもらうつもりだ。基本は、俺が来る時に手伝ってもらう予定なんだが、事前調査が必要だ。女性目線で、色々見てほしい。


 降りてきたヘリを収容して、挨拶を交わす。

「どうだった? 向こうは」

「まあまあだった。しかし、広いわ。第5の向こう側だから想像は付いていたがな」


 6月も中旬の昼下がり、汗がじっとりと滲んでいた。

 俺達はランクルに乗り込み、中へ入っていった。徒歩でも中の方が快適なはずだ。エアコン完備の民生車両は梅雨時のムシムシした空気を遮断してくれた。


「へー、向こうに他の日本人がいるのね」

「ああ、ダンジョンで米軍以外は、基本的に日本人の作業員しかいないからな。米軍は魔物に嫌われているから、どうしても日本人を頼るみたいだ。もう、連れて行ったら、ちゃんと返して寄越せって話なんだが。その辺は、所詮魔物だな」


「魔物による日本人拉致事件ねー」

「そうだよ。ついでに俺も被害者だ。今は仲良しだけどな。お、来たな、グーパー」


「グー」

 今日は軽くチンチンしている。まともにやると、天井に頭をぶつけるからな。


「あははは。可愛いじゃないの。あんた、うちで飼ってあげたら~」

「うーん、さすがにでかいわ。弟とかは喜びそうだけど」


「ついに魔物使いになったか」

「サーカスに就職、いや金はあるんだから魔物サーカスでも始めたらどうだ?」


「ああ、いいかもな。よし、グーパー、やってくれ」

 あっという間すらなく、俺達はアレイラの広大な大広間へと現れていた。


 ここの天井は薄いピンクがかかったような感じで、真っ白なクヌードとは違う。所が替われば、産出する石材も違うという事か。


「へえ、広いんだな」

「それに、えらい賑いだ」


「降りてくれ、こんなところであまり目立つのもなんだ」

 俺達は無事、エルスカイム王国へと辿り着いた。


「ここは20本も通路があるんだな」

 合田が記録しながら、訊いてきた。


「その辺は、日本側のダンジョンと同じらしい。規模は違うけどな」 

「ありゃあ、トカゲみたいな人とかがいるな。あっちの人は毛むくじゃらで凄いけれど、あれも……」


「ああ、みんな探索者だ。間違ってもトラブらないでくれよ?」

「なあ、肇。もしかして、ここも……」


「鋭い。さすがは合田だな。無論、新言語登場だ」

 合田はがっくりしていたが、一応慰めておいた。


「まあまあ。ここは、世界一の国だ。よって、言語や通貨も、ここに準じる国は多いと。まあ英語やドルだと思ってくれ。どちらも、地球ほどは流通していない。まあ、情報伝達速度や移動速度も遅いし、仕方が無い。ここは大きな拠点として使う予定だから、宜しくな」


 なんか恨めしそうに見ているが、川島なんか涼しい顔だ。山崎は飄々としているし。念話の使えない他の奴らは仏頂面だ。7人中3人喋れるなら、まだいい線いっている方だと思うのだが。やっぱり杏は貴重な人材だな。


「どうだろうな、この大陸の半分近くは、ここに準じるって感じじゃないかな。よくわからないが」

 それも、今回の調査項目の一つだ。さあ、行こうぜ。憧れの大都会だ。


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