高校最後の夏
ねぇ...あたしは約人のなんなの?
そんなことを聞かれたのはいつだったか、そんなに遠くでは無かったはずなのに何故か忘れている。
ああ、なんで答えられなかったのだろう...
「ねえ、約人、もう出なきゃ学校間に合わないと思うけど?」
母の一言で現実に戻った、急いで高校の少し埃が付いている制服に袖を通す。
「やば!行ってきます!」
時間に追われながら角田約人は、家を出た。
1章。
「おはよ‼︎約人!」
身体の水分が全て奪われそうな灼熱地獄の中、弾け飛びそうな笑顔でこちらに走ってきたのは村瀬華子で、僕の幼馴染でそれなりの美人だ、悩みは全て華子に聴いてもらっている。友達以上恋人未満とはこの事だろう。
「朝から元気がいいな、華子は。」
「何事も元気がなけりゃが下やってらんないわよ!この万年病み男!」
「誰もが華子みたいなテンションだったらこの国は終わるよ…」
「なんですって!?」
まだ何かごちゃごちゃ言っているが、感覚が聞くことを拒否している。
時々通る仲良さげに歩くカップルが羨ましい、はあ神様一生のお願いです、このマシンガンの様に僕を詰る華子を遠くへ飛ばしてください
。
「お?華子と約人、朝から夫婦喧嘩か?」
いつの間に僕の隣にいたのは、宮藤満煌、僕の高校『島根県立曽根高校』の生徒副会長で同じ3年7組所属
クラスでの位置付けは、華子が女子の盛り上げ、満煌が勉強ができてスポーツ万能で絵に書いたような副会長だ。
ちなみに僕は教室の隅で本を読み、時々授業で発言する程度だ。
喋るのは登下校の時と授業中の発言だけ
俗に言う『陰キャラ』だ。
その一方、華子や満煌は、クラスで中心的存在だ。
「違うよ!ただ単に約人がいつにも増して負のオーラ醸し出してるからあたしの元気で打ち消してんのよ!」
「余計なお世話だよ…」
「なんですって!?」
「まあまあ、止めなよ」
満煌が止めに入ってくれてやっと静かに登校ができると思ったと同時に、なんだか寂しい気持ちになった
何故か分からないまま、3人で歩き慣れた道を歩く。
「ごめんな、約人」
と満煌がニヤニヤしながら僕に囁く。
「どうしたの?あやまるようなこと、君がした?」
すこし苛立ちながら僕は満煌に囁き返した
「...なんでもないよ。」
満煌がため息をつき先を歩いていく、突き放されたと感じたし、満煌が何を言おうとしたのか察した。
気付けば満煌と華子が先を歩いていた、仲良さげになにか会話しながら僕を置いて先に他の世界に行ってしまいそうだ
「くそっ」
僕は二人に置いていかれないように歩く速度を上げた。
学校に着くと僕はすぐに自席につき本を開いた
いつものことだ、なんら異変はないはずだった
なのに読んでいる本の内容が入ってこない、いつもは3時間もあれば一冊読み終え次の本に移るが
今日は違った。
朝の出来事が頭から離れない、考え事をする度に満煌の顔が浮かんで邪魔をする
ふと思い返せば満煌のニヤニヤした顔が頭に浮かんで僕の集中を邪魔する
授業中も、移動している時もずっと。
気付けば既に放課後で、教室には僕だけだった
仕方なく一人で帰った、帰っている最中も満煌の顔が頭の中をグルグル回る
「ちっ...」
僕は舌打ちをしてアスファルトの上にある石を蹴っ飛ばした。
朝に通ったこの道が、何故か長く感じた。
2章
その日の夜、寝る前に初めて華子に電話をした
特に用事はなかったが、華子の声が聞きたかった
「もしもし、華子?」
『もしもし、どうしたの?』
「あ...なんか話したくなってさ」
『あ、もしかして先に帰ったこと怒ってる?』
「全然違う、ただ単に華子と話したくなっただけ、まあいいや」
『え?』
「明日はゆっくり行こうな」
『うん、いつもより5分遅く行く』
「じゃ、また明日」
『うん』
たったそれだけの会話だったが、僕は満足だった。
「寝るか...」
いつもより5分早い目覚ましを掛けて、僕は布団に潜った
To be connected...
『焦り』を読んでくださり、ありがとうございます!
初めて小説を書き、投稿します。
お気付きの点などありましたらコメントでお願いします
それでは次回作でお会いできるのを楽しみにしております
佐土原幸也