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ああああ の冒険  作者: ちとせあきら
3/3

ゴブリンは語尾にゴブってつけがち #2

 王都から魔導馬車ヒヒーンで片道8時間、スザック山のふもと、標高約600mの地点に位置するウコッケ村は、果樹栽培と養鶏、それから醸造が盛んな、世帯数30、人口約120人の、ナローニアではまずまず大きな村である。


「前村長の息子、まあ現村長なんだが、ドワーフのところへ留学して、醸造・・・つまり酒造りだな。特にワインやブランデーといった果実酒の造り方を学んできたらしい。そのせいもあってか、ここ5~6年で、ずいぶん美味い酒をオーカーへ卸すようになった。ほら、「チドリアシ」というブランデーと、「スザックのほまれ」というワインなんかがそうだよ、聞いたことあるだろう。


「ええっ!? 「スザックのほまれ」、私大好きです! ウコッケ村で造ってたんですね~


「・・・・


「はははは! 無事に仕事が終わったら、みなで盛大に飲み食いしたいものだな!ウコッケ村の地鶏は、よいどれ地鶏なんて呼ばれてて、ワインの搾りかすを混ぜた、栄養たっぷりの飼料で育つんだ。


 ウコッケ村の特産品について上機嫌に語っているのが、キーパー=ウルフレン。王国の職員という仕事柄、酒の席に呼ばれることも多く、輸入物と比べて安く品質も高い、ウコッケ村のワインやブランデーには、けっこうお世話になっているのだ。


 なかなか野心的であることで有名な現村長は、近年では醸造施設を利用した観光ツアーにも力を入れていたりする。寒冷な気候も相まって、夏季には涼を求めて、なかなかの数の人がウコッケ村を訪れるのだとか。


「税収もここんとこ右肩上がりでな、王国としても注目している村なのだが・・・ それだけに今回の事件が心配でならない。何事もなければよいのだが・・・


「ウコッケ村とゴブリン族の間には、軽視出来ない歴史的な事象がありますからね・・・ でも60年たった今になってどうして、という気持ちもあります。


 ウルフレンに対して神妙に相槌を打つ女性が、キキミミ=アマミ 魔物話士である。


「・・・・


「ああ、ごめんなさい! 急に60年前とか言われても分かんないですよねっ! それに私も、王国に保管されてた資料を読んだに過ぎなくて、当時のことはそこまでよく分かってないんです。


「私も似たようなものでね。詳細は依頼主である村長と、その父親である前村長、それから、村の近くにやってきたというゴブリンたちから聞くほかないだろう。さて、そうこう話してるうちに、もうすぐ到着する時間じゃないかな?


「ブヒヒーン!


 魔導馬車オートヒヒーンが元気に答える。言い忘れていたがオートヒヒーンは御者を必要としない、魔導制御の高性能馬車である。個人で所有するには値が張るが、ブルーム王国は公共交通機関として、オートヒヒーンをはじめとした様々な魔導馬車を数多く運用しているため、手ごろな値段で誰にでも利用できるのだ。


 3人を乗せたオートヒヒーンは、いよいよ大きくなってきたスザック山を正面にとらえパカポコ進む。左右には見渡す限りのブドウ畑。


 9月も終わりに差し掛かり、収穫を終えてほっとした様子のウコッケ村のブドウの木々は、秋の冷たく澄んだ風に吹かれるままに、葉っぱを黄金色に染めていた。雲一つない空のもと、視界いっぱいに広がるその様子はまるで・・・


「・・・・


「ええ ほんとっ きてよかったですね!




ああああ の冒険 続く

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