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声が出ない少年の話  作者: 七草冷夏
4/4

少年は大きな出会いを果たす


「時間起きてお腹空いたよ〜お腹空いたし暇だよ〜起きてよ〜、ご飯作って〜私もう餓死しそうだよ!」


朝の五時。

アラームよりうるさいコールと共に体を思い切り揺さぶられながら目覚めた都霧は、

特に怒りもせず文字を書いたホワイトボードをベットの横で仁王立ちをしている声の主、桜樹に渡した


『おはようございます。なんで家にいるのかわかりませんが、作るので待っていて下さい』


「やったー!やっとご飯が食べられるお腹空いたよー」


居候を許可した覚えはない都霧だったが何故か毎日当たり前のように家で生活しているの桜樹に呆れながらも言われた通りご飯を作ることにした


「そういえば時間は私が何をやっても怒らないよね、なんで?」


『怒られるようなことしているの自覚があるならやめてください』


「え〜、でも私一人で家にいたら暇と寂しさで死にそうになるんだもん」


色々言いたいことはあったがそれ以上抗議はせず黙ってご飯作りに取り掛かる事にした。


そして都霧が何も言わなくても桜樹は一人で話していた。


そして昼の12時頃になってもまだ一人で話し続けていた。


『今から夜ご飯の買い物に行ってくるので桜樹さんは自分の家に…「私も行く!今日の夜ご飯は焼きそばがいい」……わかりましたじゃあ一緒に行きましょう』


今日も自分の家に帰る気は無いらしく晩ご飯のリクエストまでしてきた桜樹と共に買い物に向かうことになった。



「そういえば時間、昨日はちゃんと日記書いた?文章力上がった?」


街を歩きながらも一人でずっと話し続けていた桜樹が質問してきた。


『書きましたけど文章力は一日で上がったりしませんよ』


たわいない話をしながら歩いていると人気のない所でキョロキョロあたりを見回している人がいるのに気づいた


「あんな所で何をやってるんだろ?道に迷ったのかな?」


『そうですね、話しかけて見ましょうか』


「うん、時間はなんか変だから私が言うね」


『おねがいします』


二人は道に迷っているのであろう人の所に向かった。


「すみません、さっきから困っている様ですがどうかしましたか?」


自分と始めてあった時の態度の違いに驚いた都霧だった。


[すみません҅盛腹҆という店を捜しているのですが先月引っ越してきたばかりでわからなくなってしまって]


男の人は特に困った様子はなく、都霧と同じ位無表情の無感情で言った


「時間、さかはらってなに?どこかわかる?」


『はい、大きなデパートの事で、僕達が今行こうとしている場所です。桜樹さん知らないで付いてきてたんですか?』


「じゃあ一緒に連れて行ってあげようよ」


『はい』


返事を読むと満足そうに男の人に向き直った



「私達も今から同じ所に行くので良ければ一緒に行きましょうか?」


[ありがとうございます、助かります]


男の人は表情も声のトーンも変えずに言った


三人でいくことになっても桜樹のテンションは変わらず男の人に質問攻めしていた。


「お名前は何て言うんですか?」


[増冨隆と言います。]


「もしかして社会問題すらなったあの人気小説家の増冨隆先生ですか?」


[はい]


「わぁ凄い偶然、めちゃくちゃ嬉しい、ねぇ時間小説家の大先輩だね」


無表情で無感情な男の人は、今大人気の小説家、増冨隆だった。


その事に桜樹は大興奮していた。


「時間ってば、大先輩だよ」


『そうですね』


それを聞くと増冨はやはり無表情で言った


[君は小説家を目指しているのかい?小説家は余りお勧めは出来ないかな]


「何でですか?」


[小説は書く人の感情を奪うからね]


「感情を奪う?どういうことですか?」


[私は自分の小説に色々な感情を与え過ぎてしまった私の様になりたくないのなら小説家は諦めることだ]


「そうなんですか」


『着きましたよ、二人共』


[案内してくれてありがとう。さっきの話が詳しく聞きたいなら【小説について】という本を見てみるといい]


『こちらこそ。貴重な情報をありがとうございました』


そして買い物の帰りに桜樹はこっそり教えてもらった本を買った。


(時間は小説家になりたいって言っていた。小さい頃からの夢だって、でもその夢を叶えれば時間は感情を奪われてしまう。どうしたら夢を叶えてあげられるかな)


帰り道は一言も話さずずっと考えていた。


(時間は優しいし、私も大好きだから叶えてあげたいんだけど、感情がなくなるのはどうしても避けないといけない……どうしたら……)



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