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声が出ない少年の話  作者: 七草冷夏
3/4

少年は日記にのみ本音を語る

自殺を止められて数週間。


あれからというもの桜樹は毎日、都霧の部屋に訪れた


「私、一人暮らし初めて一ヶ月位だから寂しさで死にそうになってたんだけど時間のおかげで最近毎日が楽しいよ」


会った次の日から都霧は友達と認識され、三日後には変な渾名までつけられて今では原型すら留めてない渾名が定着しつつあった。


『ありがとうございます。

桜樹さん、今日もご飯まで食べて帰りますか?』


「あ~もういっそのことずっとこの家にいようかな〜私料理無理だし〜時間のご飯美味しいし」


『今もう既に寝る時と風呂の時とバイトの時以外ずっと家にいるじゃないですか』


こういう時に呆れているのが声に出ないことが都霧のいい所だった


(まぁ僕も寂しかったから良いんだけど仮にも女の人が一人暮らしの男の家にあがるって…)


最近毎日思っている事を気にする都霧だが、自分を邪険にしないで煩いほど毎日関わってくる桜樹を嫌いになれなかった


(まぁ、何も知らないからだろうけど、もし全てを話して全部を知ったらきっとこの人も……)


「そういえば、時間は将来の夢とかあるの?」


考え事をしていた時に急に話しかけられ、慌ててペンをとる都霧


『昔から、小説家になりたいなって思ってます』


「立派な夢だね。時間ならきっとなれるよ、だって時間は私が頼んだ事とか悩んでる事とか絶対全部解決してくれるし何でも出来るもん」


『明らかに買い被り過ぎですよ。僕は何も、喋る事すら出来ないから小説家になって文字で不特定多数の人と僕が見ている世界を共有したいなって思ったんですよ。』


「時間は自分を下卑し過ぎなだけだよ。あ、じゃあ時間は日記を書いたりするの?」


『しませんよ。じゃあってなんですか?小説家は皆書いたりしてるんですか?』


「いや、分からないけど何かそういうイメージない?文章力身につきそう」


『そんなイメージ持った事無いですし、あんまり日記と文章力関係ない気がします。』


「文章力はわからいじゃん、じゃあ試しにこれから一年間、日記書いてみてよ!一年後文章力変わったら私の勝ちでアイス奢ってね」


否定された事が腹立ったのかアイスが欲しいのか唐突に興奮気味で変な約束をこじつけられた。


『別に良いですけど、一年後までこの約束覚えてられるんですか?』


「この約束の事も今日の分の日記に書いてて、アイスの事も忘れないようにね」


『わかりました』


都霧は無表情な顔とは裏腹に数週間前のどうしようもない深い悲しみと生きることの苦しみが嘘だったかの様に消え去っていた。





日記1日目

タイトル;アイスの約束←覚えておく

今日もマンションの隣の隣に住んでいる桜樹さんが来た。

冗談かと思った居候の話を本当に実行するつもりらしく自分の生活必需品を隣の隣の自分の部屋から持ってきた。正直あまり意味は無いと思ったが

取り敢えず黙って見ていたら家が桜樹家と化した時は流石に焦った。

でも楽しかった。

久し振りに心をから楽しいと思えた

あと自分の文章力の無さに驚いた。



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