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プロローグ
少年は生まれつき声が出なかった。
周りは当たり前のように日常の中で言葉を交わす中、自分だけがそんな当たり前のことが出来ない一人ぼっちの世界にいるようだった
少年は自分自身の想いを、見ている世界を、誰かと共有したかった
書くことでしか会話をする術が無く、読んでもらわなければ伝える事が出来ない。
周りに都合が悪ければ読むことさえしてもらえず、意見すら出来なかった。
少年は一冊の本を作った
自分自身の想いを、誰かに伝えたかった
見ている世界を、誰かと共有したかった
声無くして生きる事の苦しみを
皆に知ってほしかった。