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2100.5.20 γ人の信仰
さっきの答だが。
以前、『ダンジョンにおける旅人の、一日の延べ人数』という話題を供したことを、憶えているだろうか?
αからλまで、軒並み“万人単位”で立ち並ぶ中、ただ一つ、β世界人だけが、『数百人』と、(世界の広さと比べたら)ないにも等しい数であったという、あの話である。
――そう、そのとおり。
“世界すくみ”の呪いが支配するダンジョン宇宙において、圧しつける者のいないγ人は、現実的に食物連鎖の頂上に位置していると言っていい人種だったのである。その奢りが、身の振る舞いに現れた、という訳であった。
逆に言えば、γにとってβは、滅多に遭遇できない、“我らが絶対の直上位種”、ということになり、さらに――
γ世界が砂漠の世界だということは、偶然にも(何ページか前で)触れたが、それでご想像がつくと思う。
彼らの世界は、熱いんである。
文字通りの熱砂の世界だ。
その世界ではむしろ、国旗が“月章旗”とも陰で囁かれるほど、“月”が愛されており――
つまりは。
βであり、かつ、“月に神殿を有する殿上人、それも美少年”は、γ人の――他世界人が想像もつかないほどの――神とも劣らずの信仰と、愛欲の念を、集めていたのだった。




