ep.2 波乱
前回のあらすじ:電波全開オカルト教師が実は魔王?
渚と神宮の2人と佐藤先生が睨み合っている間に、騒ぎを聞きつけた教頭先生が割って入り
「佐藤先生なにやってるんじゃ!」
怒鳴った。それにオカルト教師は
「・・・・いやー」
ポリポリ後頭部を掻きながらこう答えた
「神様との交信?」
「なっ・・・」
この答えには百戦錬磨の教頭先生をもってしても絶句するしかない。正常な人間なら当たり前の反応だ。そんな電波教師と教頭先生とのやりとりをじっと見ている渚と神宮。そんな二人に気付いたのか電波教師は
「やぁ、渚くんに神宮くん。渚くんはさっきぶりだね?」
「は、はい。そうですね」
「ど、どうも」
「ふふ、よろしい。では教頭先生私は始末書書くので後でお会いしましょう」
どこまでいってもにこにこしてる。どれだけ軽いのだろうか・・・さっきまでの違和感は無くなりいつもどおりの佐藤先生が目の前にはいた。でもおかしいと思う、あれは本物だった。だが・・・きのせいかもしれない。ていうか、あいさつしたけど睨み合ってたよね!?とさっきの違和感とつっこみを考えている2人をよそに教頭先生はいい年になる問題児の背中を見ながら
「まったく・・・あの先生は・・・」
と、頭を輝かしながら愚痴ったのだった。
(・・・あの教師・・・あの深い飲み込まれそうな闇を連想させたあの眼。一体なんなんだ?魔王かと思わせたあの威圧感も・・・。しかし、教頭先生が来てからは一瞬で消えた・・・。一体・・・)
「ねぇねぇ」
「ひゃい!?」
放課後の教室でオカルト教師について考えていた渚に話しかけたのは日本人形を思わせる美人さんだった。そんな美人さんに話しかけられたら誰でも緊張するに決まってる。そう誰でも。つまりコミュ障には荷が重すぎなのだ。
「ふふ、やっぱり反応可愛いわね」
「・・・・ッ」
目を合わせようと渚の正面にたつ美人さん。対する渚は目を合わせないように俯いた。それに対して美人さんは覗き込む。渚は即座に上を向く。と、美人とチキンの謎の攻防を観戦していた神宮は渚があまりにもしゃべろうとしないため呆れた声で
「おい、そこのチキン」
「だ、誰がチキンだ!」
この状況でチキンって認めないコミュ障はもうダメかもしれない。目の前で謎の攻防をまだ繰り広げている友人・渚チキンを見てなんだか悲しくなってきた神宮だった。
「諦めなさい。私と目を合わせようとしてない時点であなたはチキン確定よ」
「ま・・・そ、そんなこといったって・・・無理!」
と言った瞬間。渚チキンの後ろに回り込み一言
「男に無理という単語は存在しません!」
脳天めがけて頭突きをした。
ぎゃぁぁぁぁぁ、という悲痛の叫びが学校中に響き渡ったのは言うまでもない。
ここは職員室。オカルト教師以外には誰もいない。先の電波全開発言の始末書を書いているのだ。
「・・・反省して、このことがないように以後気をつけます・・・と。ふぅ、終わった終わった。あー、だり」
くぁ、とあくびをかき冷めたコーヒーを飲み干した。と同時にドアが開いた。後ろを振り向くとそこには教頭先生が立っていた。
「始末書は?」
「ええ、今書き終わったところです。」
「まったく、今度からは気をつけてくれたま・・・」
そう言いながら教頭先生は始末書を受け取ろうとして目を合わせた瞬間、固まった。この現象はあの二人と同じ現象である。
(な、なんじゃ・・・この深い深い吸い込まれそうな暗い目は・・・ッ)
そう、あの時も同じ目をあの二人に向けていたのだ。
「それじゃ僕はこれで帰ります」
「ま、待て!」
ゆつたりと帰路につく佐藤先生を止めるべく裾を掴んだ。
「なんです?」
「お、おまえは誰だ?」
ゆっくりとした緊張感のある口調で聞いた教頭先生に対し、佐藤先生は廊下まで出て窓から外を見て渚を見つけうっすらと笑みを浮かべると、身構えている教頭先生に向き直り
「なぁに私はただのしがない教師ですよ」
にこっ、と笑い踵を返して階段を降りていった。教頭先生は佐藤先生の背中を見ながら
(・・・あいつは・・・あいつは・・・一体何者なんじゃ・・・)
その答えは、誰にも分からない。
どうも皆さんこんばんは。最近パソコンの調子が悪い藍那珂コウです。約一週間ぶりですね。
今回はなんかもうチキンばっか出てきましたね(笑)
はたして渚くんはこれからどうなることやら。
そして、佐藤先生はまたやらかしましたね。教頭先生の安否やいかに!?
さて、最後まで見てくれたみなさんに無限の感謝を