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探索と襲撃

「は…?」

状況が飲み込めない。一体何が起きたと言うのだ。確かに昨日の夜、俺は布団で寝ていたはず。なのに今はどうだ。俺が寝ているのは…

「草…?なんで…?」

今俺は丘の上の草原に寝っ転がっている。何が起きたか分からないままとりあえず周りを見渡す。ここは何処だろう。丘の下を見下ろすと町が広がっている。丘かと思っていたがどうやらここは山の上の様だ。町は現代の日本のものとは違って、西洋風に近い。

「日本じゃないのか…?ヤバい。拉致られたんじゃ…」

だが拉致されたにしては手足は自由だったし、周りに監視している者はいなかった。とりあえず町に向かうため歩けそうな所を探してみると少し下ったところに整備された道があった。

「この道を行けば多分町まで行けるだろ。よし、行ってみよう。」

千博は道を歩き出す。自分が動揺しているのは分かっている。だがそれより気になるのはこの状況に内心心踊っている自分がいたことだ。俺はツマラナイ世界に愛想を尽かしていた。そして不思議なことが起きることを望んでいた。だから変わったのだろうか。といってもこんな事が都合良く起こるなんてあり得ない話だ。だがそのあり得ない話が実際に起きている。

「うーむ、さっぱり分からん。」

山道を歩きながら今の状況を考えてみる。考えてみても分かるのは今の自分が部屋着のままで一文無しということ。外傷も無いので自分をここに連れてきただろう者との間に争いはなく、寝る前の記憶もあるので寝ている間にここへ連れてこられたのだろうこと。

「それにしてもどうしようか。金が無いから町に着いても困りそうだ。まあ持ってても外国だったら使えないけどな。全く、拉致するならちゃんとした後の責任もとれよなー。」

わけの分からないことを言いながら山道を進んでいくと、道の先の方から何か聞こえてくるのに気づく。

「人の声か?何人かいるな。あ、そうだ!彼らと話せば何か分かるかもしれない!」

期待に胸を膨らませながら先を急ぐとやはり人がいた。髪は黒いが瞳の色からすると日本人ではなさそうだ。道の先にはもっと人がいるようで、馬車の様なものもちらっと見える。この人だけ一人で立って辺りに注意を払っていた。だが、多勢の外人を相手にするのも会話しにくいし疲れそうなのでとりあえずこの男に話しかけてみる。手に持っている棍棒?みたいなのが気にはなるが。

「えっと…え、えくすきゅーずみー…?」

くそ、こんな事ならもっと一生懸命英語の勉強するんだった。ちゃんと伝わったか?と後悔する。が、直後、千博は話しかけたことを後悔することになった。

「何だてめえ!ぶっ殺されてぇのか!とっとと向こう行け!」

「えぇ⁈ すいません!」

え⁈ えくすきゅーずみーってそんな悪い意味だったっけ⁈ 怒鳴り散らされ思わず後ずさりする。だが驚くべきはそこじゃない。言葉が通じている。彼だけが例外で日本語の勉強をしていたとか?とりあえず会話ができそうなことは確かだ。

「あ、あの〜、ちょっといいですかね?」

「よくねぇよ!だから向こう行けって言っているだろ!」

「何でですか?あなた暇そうじゃないですか。というか奥にもまだ人いますよね?」

男の肩越しに向こうの方を覗くと馬車のドアは無造作に開けられ、車輪も片方とれてしまっていることに気づく。

「え?あの馬車…」

「ちっ!あぁもう仕方ねぇ!見られたからには悪いがここで死んでもらうぞ!」

そう言い放つと黒髪の男は手にした棍棒で殴りかかってくる。

「うお⁈」

咄嗟に後ろにとんで一撃を避けるが千博は突然の一撃に体勢を崩して倒れる。

「くそっ!」

「悪く思うな!終わりだ!」

男の棍棒が千博の額目掛けて振り下ろされる…!

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