プロローグ2〜ツマラナイ毎日〜
つまらない。暇だ。退屈だ。なぜこの世界はこうも不変で、どうして俺の人生はこんなに平凡なのか。真中千博はため息をつき帰宅途中の電車の窓から外を眺める。高校二年生になって二ヶ月が過ぎようとしていた頃だった。千博は自分の平凡すぎる生活に嫌気がさしていた。高校での成績は良いと言うには低過ぎ、悪いと言うには少し高いといったくらいで目立たないものだ。筋力には自信があったが柔道部には敵わないだろうし、スポーツテストはいつもA評価だが陸上部には及ばない。ほんと中途半端だな、と苦笑いする。特技も無いし人見知りで本心から語り合える友達は少ない。
「ほんと、こんなんだから彼女の一人もできやしないんだよな…。」
いつもの駅で電車を降り、一人呟くと駐輪場の自転車の鍵を開けて家へ向かってペダルを踏み込む。家に帰りリビングへ入ると母が出迎える。
「お帰り。ご飯できてるから早く食べちゃいな。」
「ん。」
雑な返事を返して椅子に座りテーブルの上の食事に手をつける。学校が遠いため登下校に時間がかかり、帰宅が遅いので食事は一人だ。食事は冷めているが腹が減っていれば何でも美味い。いわゆるおふくろの味を堪能すると風呂に入り、二階の自室へ上がる。本当にいつもと変わらない、習慣めいた作業のようだ。
「もう寝るか…」
布団に入り一日を振り返るが、その必要はなかった。
「明日は何か変わるといいな。」
そう呟くと千博は目を閉じた。