異世界と魔法
「うそだろ………?」
フェリスと2人で城の中の書庫に来た千博は世界地図を見て言葉を失った。
「おかしいぞ、この地図。日本がない。それどころか大陸の数から違う……。」
「え?うーん、何もおかしくはないと思うが……。チヒロの国のとは違うのか?」
「何ていうか……。なあ、フェリス。アメリカはどれだ?」
多分アメリカならどの国の人でも聞いたことはあるだろう。そう思ってフェリスに問いかけたが答えは以外にも
「あめりか?何だそれは。お菓子みたいな名前だな。」
「………。」
やっぱりおかしい。流石にアメリカを知らないのはあり得ないような気がする。というか何で大陸の数が5つでこんな綺麗にサイコロの5の目の様に並んでいるんだ?ユーラシア大陸が一番大きいはずなのにどの大陸も同じ様な大きさだ。
「あのさ…大陸の名前を全部教えてくれないかな?」
「ああ、いいぞ。まず左上がフローガ大陸、右上がパゴス大陸、左下がデントロー大陸、その隣がブラコス大陸、中央がクリーソス大陸だ。ちなみに私達がいるのはここ、デントロー大陸だ。どうだ?何かわかったか?」
「いや……というかどれも聞いたことがない大陸だ。何でこんなに俺たちの知ってる地図と違うんだ?」
千博は地図に目を落としてじっくり舐めるように見てみたが自分の知る世界地図とは一つも共通することは無かった。まるで初めて見る世界だ。……そういえばこの国は騎士が残ってるみたいだった。兵士たちの装備も随分古臭い昔の西洋のものみたいで剣とか槍だったがそんな国が今あるか?よっぽどの少数民族だったら分からなくもないけどここは王国だしすごく賑わってたし。それにフェリスが魔法がどうとかって言ってたな……。まてよ?初めて見る世界……。もしかすると、これは俺が望んでいたことだけど、この世界は………
「異世界……。」
「な⁈ まさかそんなこと…」
「いや、俺も信じがたいとは思うけど。そうだとしたら割と納得がいくんだよな。俺のいた所では魔法は迷信だし騎士の様な兵は昔はいたけどもういないし。タイムスリップって言うのもあるかと思ったけどここまで国のつくりが違うからな。」
「だ、だが、そうだとしたらなぜチヒロはこちらに来たんだ?」
「分からない。もしかしたら誘拐じゃなかったのかも……。」
「そうか!…もしかしたらこれはあり得ない話ではないかもしれないぞ。」
「どう言うことだ?」
「いや、ひょっとしたらこちらの世界の何者かが何らかの理由で千博をこちらに連れてきたのかもしれない。………魔法で。」
「…魔法ってさっきも言ってたけど本当にこの世界には魔法があるのか?まだ見たことがないんだが。」
「ああ、あるぞ。城に仕える近衛兵、女王直属の騎士のみに使用方法が教えられるんだ。主に戦争の時に使うんだがな。さっきの闘いでは危ないので使わなかったんだ。」
「え⁈ じゃあフェリスも使えるのか⁈ 」
「ああ、当然だ!私は騎士だからな。」
そう言って自慢気に胸を張るフェリス。これが分かると当然千博にはある欲求が生まれてくる。
「すごい見たいんだけど。見せてほしいな。」
「その、悪いが城の中では魔法は使ってはいけないんだ。魔法は制御が難しい上に威力も高いから。」
「そっか…、見たかったな、フェリスの魔法。」
「そ、そうか?ふむ、そうだな。そこまで言われたら今回はしょうがないな。大切な客人のためだからな!」
「え?いいのか?」
いや、本当にいいのか?そんな簡単に規則破っちゃって…。騎士なんじゃなかったのかよ……。まあこちらとしてはありがたいんだけど。考えているとフェリスが小さな声で何か呟き始めた。
「我が道を開ける者よ!イルミネートビーコン !」
瞬間、フェリスが出した手のひらに小さく赤い炎の球が出現する。
「………すげぇ」
素直に驚いた。これが魔法か。確かに手品とは違う様な気がする。赤い炎はフェリスの手の中でゆらゆら揺れている。
「それ、熱くないのか?」
千博は気になったことを聞いてみる。フェリスは千博の驚く顔をみて満足した様でご機嫌だ。
「ああ、大丈夫だ。これは魔法の使い方に関係してくるんだが…。簡単に言うと自分で出したものだから熱くないって感じだな。」
「そうなんだ………」
食い入る様にフェリスの手のひらを覗き込む千博。気付けばフェリスと肩が密着するくらいに近づいていた。
「っ⁈ 」
小さな炎球が消えてしまった。
「あ……消えた。どうしたんだ?」
「す、すまない。集中が切れて…」
2人が顔を上げるとこれからキスでもするかの様に自分達の体が密着していることに千博は気付いた。
「っあ⁈ ご、ごめん‼︎ 」
「い、いや!別に嫌だったわけじゃなくてっ………あ!な、なんでもない!気にしないでくれっ!」
2人そろってあたふたしているとメイドさんが2人のところへやってきた。
「チヒロ様、フェリス様、女王陛下がお呼びです。こちらへ。」
「私も?ふむ、何だろう。」
「とりあえず行こう。女王様を待たせちゃ悪いからな。」
そして2人はメイドさんについていった。




