日常と非日常
はじめまして。この作品を読んでいただきありがとうございます。作者の初作品です。生ぬるい目と寛容な態度でお読みください。
「……何だ? ありゃ?」
ここはいつからファンタジーの世界になったんだ?
そこには、宙に浮き・炎や見えない何か(地面が破壊されていくから何か出ていると推測)が飛び交い、戦っている二人?(こいつらは人間という部類でいいのだろうか?)がいた…。
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俺、煉牙翼は高校二年、趣味は今は特になし、性格は…自分ではわからないが、悪友に言わせると、いつも一歩引いて物を見ている冷静な奴らしい。(たしかに、自分はそう簡単に感情的にはならないが…)
高校での成績は中の上から上の下くらい。学校自体も中の上くらいと評価されている学校である。先生に嫌われているということもない。……と願いたい。生徒の中では積極的にまとめるタイプではないが、いざという時には頼りになると言われているらしい。
「ツバ! 一緒に帰ろうぜ」
今日の授業も終わり、放課後、特に用事も掃除もなかった俺は仲のいい悪友であるリュウに声をかけられた。
ちなみにツバとは俺のあだ名で、『つばさ』から『さ』を取っただけというなんとも安直なネームである。リュウは俺の悪友、神坂龍也を呼ぶ時のあだ名で、こっちも『りゅうや』から『や』を取っただけである。
「別にいいが……。お前、今日は委員会だろ」
こいつはかなりフリーダムで適当な奴ではあるが、なかなか能力は高く、さらに面倒見が良いため、生徒会の役員(しかも副会長)になっているのである。
「そんなのどうでもいいんだよ。俺はお前と遊びたいの」
「お前……もしかしてこれなのか?」
「ちげぇよ!」
「そうか…俺は普通の男だからな…お前とは違うんだ……じゃあな」
「人の話を聞けよ!!!!」
まぁ、こんなことも日常茶飯事だったりする。こいつは仲がいい奴は多いはずなのに何故か俺とよく遊ぼうとする。……ルックスはいいから彼女でもつくって遊んでやればいいのに……まぁ、俺もこいつといると楽しいからいいんだが。
「だから、俺は、友達として、お前と、今日、遊びたいの!」
「俺は別にいいが……」
「今日は委員会です」
いつの間にか(と言っても俺はリュウの背後から来ていただけなので見えていたが)リュウの腕を掴み、冷淡な声で会話に入って来たのは同じ生徒会の会長である。
「アハハハハ、会長。冗談に決まってるじゃないですか」
「あなたはそうやって何度さぼっているのですか。そろそろ実力行使に出ますよ」
「いや、もう出て―痛い!痛い!そこの関節はそっちの方向には曲がらな―」
ボキッっという軽快な音とともに、関節が曲がってはいけない方向に曲がってしまった。
「拘束するつもりでしたが、少々抵抗されたので曲げすぎてしまいました。まぁ、いいでしょう」
「いやよくな―は、反対側の腕までやろうとしないでください。」
「じゃあ、このまま生徒会室まで行きます。それでは」
騒がしい二人(一人がわめいているだけだったが)が行ってしまった。そうなると、することがないので一人で帰ることにした。
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俺は一人暮らしで毎朝学校まで約2駅分を自転車で通っている。それはつまり、帰りも自転車であることを意味している。
ちなみに、俺は裏路地が好きだ。あの物静かな感覚が俺の好みなのである。何故かって?どうしてもというしかこの感覚は説明できない。
そういうことで自転車に乗り、この放課後の予定(帰って寝ようかな)を決めながら家まで裏路地を通りながら帰っていると、1駅とちょっとくらいのところで何かおかしな音が聞こえた。
(何だ?今の音は?)
ここで、俺は帰ることとおかしな音の方向に行くのを天秤にかけた。そして音の方向へ行くことに決めた。何故かって?運命とでも言えたらよいが、要するに予定がなく、暇だからである。
自転車を疾走させながら、俺はそっちの方向に向かい、冒頭の情景を目撃するのである。
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「くっ!」
片方の少女(スカートをはいているのだからそうだろう。でなければおかま)が苦しそうな声をあげる。
「おらぁ!」
もう片方の男(こっちは声から)少女の方に向かって腕を振りぬく。絶対当たらない距離なのに、
「っつぁ!」
何かがぶつかったかのように吹き飛ばされ、地面に打ち付けられる。
「はっ!その程度か。残念だな。とどめだ」
地上に降りてきて、何か溜めるようなしぐさをしている。たぶんであるが少女が受け切れないような強力な攻撃を打つためあろう。
「っ!まずい」
なんとか少女も体勢を立て直すがたぶん受け切れないだろう。そうでなければあんな隙だらけの溜めなんてするわけがない。
ここではたぶん俺のような存在はイレギュラーだろう。だからこそ俺はどちらの味方もできるし、逃げてもいい。なら普段の俺はどうするかって?逃げるさ。まだ俺は死にたくない。リュウや友達とあのバカみたいな日常の中にいたい。でも、ここで俺は普段と違う選択をした。いや、してしまった。
自転車を全力で漕いで一気に加速させる。そして、男の横にそのままの勢いでぶつける。
「なっ!グハッ!」
直前になって気がついたようであるが、溜める体勢にであったので避けきれない。そしてそのまま衝突した。
「くっ!」
俺の方もその反動で自転車から転げおちる。何とか受け身を取るが勢いがあったのでダメージは少なくはない。
「えっ!?」
今になって少女が何が起こったのか気付いたようだ。驚きの声を上げる。やはり俺はイレギュラーらしい。
少し落ち着いたので吹っ飛ばした男の方を見る。倒れてはいたが、あの感じだと、
「ククククク」
そう言いながら立ちあがる。
やっぱり生きている。結構なダメージになると思ったんだがな。まさかこんなに早く立てるなんて。
「危なかったゼ。気がついてシールドを張っていなかったらどうなっていたか」
あれま!魔法って便利だな。そんなこともできるなんて。
「とりあえズ、なんだ、殺すか」
その言った瞬間、殺気がこっちに向く。こいつはやばい。何がやばいかわからないがやばい。
「やめて!その人一般人じゃない!」
後ろの方で少女が叫ぶ。たぶん、魔法使いには一般人を守るとかいうこともあるんじゃないかな?いや、これはかなり推測であるが
「関係ないな。そいつはオレを襲ってきたからな。死んでもらおうか。まぁ、お前はこいつが殺されたあとにでもじっくり殺してやる」
こいつはそういうの関係ないらしい。だけど、
「気に食わないな」
「あぁ?」
本当に気に食わない。
「お前が俺に勝つのが当たり前って言ってんのが気に食わないな」
「なんだと!」
「こんな少女を倒すのにも大技が必要な奴なんて雑魚だな」
「てめぇ!」
いい感じに挑発に乗ってきた。こうすれば、
「いいジゃねえか。殺してやるよ。」
その瞬間両方ともが戦闘態勢に入る。
ここからあいつまでは約15メートル。あの少女からここが5メートルだ。
まずは俺があいつまでの最短距離を走り出す。
「ふっ」
その瞬間男が腕を振る。たぶんあの少女を吹き飛ばした見えない攻撃。
(それは読めてるんだよ!)
手を振った瞬間俺は横にステップする。まるで見えているかのようにかわす。
「なっ!」
かわされた事に驚いたのか声を上げる。そして、その隙をついてまた男に向かって走り出す。
「ちぃ!」
男が今度も腕を振り攻撃を仕掛ける。そして、またその攻撃を横に跳び、かわす。その時に少しかわしきれず制服の端が切れるがまた走って近づいていく
あと1歩で攻撃範囲のところまで来た。
「くそっ!」
その瞬間男は飛び上がろうとする。攻撃範囲から逃れようとして、
だが、俺は逃がさなかった。
「はぁぁぁぁぁぁぁあああ!」
そのまま一歩踏み込みながらの対空アッパー。その攻撃が男の顔に突きささる。
男は切りもみしながら吹っ飛んだ。
「あんた…術師なの…」
後ろから少女の驚いたような声がする。
「ふん」
俺はそれに答えずに鼻で笑う。
「くっっっ!」
吹っ飛んだ男が立とうとして膝立ちになる。
「術師二人は相手がわりーな。ここは引かせてもらうゼ」
男はよろけながら立ちあがり、空を飛んで逃げていった。
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「助かったわ」
そう少女から声をかけられる。が、
「ちょ、ちょっと!どうしたの!?」
その場に俺はへたり込んでしまった。
「腰抜けちまった…」
そうなさけない声を出した。
しばらく少女はそれがどういう意味でどういう行動なのかを考えて…
「はぁ!?」
と思いっきり叫んだ。
誤字・脱字などは3年以内に直す予定です。知らせてくださるとありがたいです。