表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/187

第2章 タカシの夢はお笑い芸人? (その54)

「それだけ、人間が傲慢になっているってことだ・・・。」

父親は、そう結論付けるように言い換えてくる。


「傲慢って?」

孝は、どうしてそこに繋がっていくのかが分からない。


「自然は、人間に水や食料といったいろいろな恵みを与えてくれるが、その一方で、地震や雷のように、人間に決定的な、つまりは命に関わるほどの打撃を与える一面も併せ持っている。何年か前の阪神・淡路大震災がそのひとつの例だ。

一見、矛盾しているようにも思えるが、それが摂理、つまりは自然界の法則ってもんだ。

地震や雷、そればかりか、台風や大雨による洪水、あるいは日照りによる干ばつ・・・、そうしたものも、これすべてその摂理によるものだ。

そうした自然の力に対しては、人間は無力だ。どうすることも出来はしない。出来ることといったら、そうした災害が自分の身に起きないように祈ることだけだろう。」

「・・・・・・。」

「火事だってそうだ。その原因は火だ。

火を使いこなせる能力は人間しか持っていない。人間があらゆる生き物の頂点に君臨できたのも、その火を使いこなす能力があったからだ。これがなければ、とっくの昔に人間は絶滅していただろう。

だが、その使い方をちょっとでも間違うと火事になる。火事に遭えば、財産すべてを焼失

するばかりか、命さえも落としかねない。」

「そ、それはわかるけど・・・。」

孝は、父親が何を言おうとしているかがまったくつかめない。


「空気や水がなければ人間は一刻たりとも生きて入られない。いや、この地球に空気や水がなかったら、あらゆる生き物は存在してこなかっただろう。もちろん、人間を含めてだ。」

「う、うん・・・。」

「それを与えてくれているのが自然、つまりは自然界なのだが、人間はそのことに感謝することを忘れている。」

「感謝?」

「ああ、そうだ、そうした自然の恵みに対する感謝の気持ちだ。」

「・・・・・・。」


「空気はあって当たり前、水は蛇口を捻ればすぐに出てくるのが当たり前・・・。そう思ってないか?」

「・・・・・・・。」

「まぁ、これ以上言うと、まるで宗教か哲学の話みたいだって言われるからこれぐらいにしておくが、要は『いただきます!』って言葉が単なる食事を始める号令のようになってしまっているってことだ。」

「ご、号令??」

孝の目が点になる。



(つづく)




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ