表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/187

第1章 爺さんの店は何屋さん? (その8)

そのサイトを開けてみて、小池のおっさんはビックリした。

そう、結構有名な老舗のサイトだった。

いわゆる「交流サイト」である。


で、そのキーとなった会話が画面に現れる。


『R:昨日さ、行ってきたよ。ちょっと遠かったけれど・・・。』

『TonTon:えっ? どこに?』

『R:この前、TonTonが教えてくれた、がきだなって店で・・・。』

『TonTon:ああっ! ずるい! 行ったんだ・・・。で、どうだった?』

『R:う~ん・・・、どうだったって言われてもねぇ~・・・。』

『TonTon:山羊の爺さんっていた?』

『R:うん、いたみたい・・・。』

『TonTon:喋ったりした?』

『R:う~ん・・・、それがさ。すっごい人で・・・。20人ぐらいに囲まれてて・・・。だから、とてもとても・・・。』

『TonTon:ええっっ! な、何かトラブってたの?』

『R:い、いや、そんなんじゃあなくって・・・。』


『サフラン:お邪魔してもいいですか?』

『TonTon:お初! サフランさん。』

『R:こんち、サフラン。ヨロピクです。』


『サフラン:今の“がきだな”っていうお店、大阪の寝屋川ってところにあるお店でしょうか?』

『TonTon:サフランさん、知ってるんですか?』

『サフラン:寝屋川にあるお店だったら知ってます。行ったこともあります。』

『TonTon:わっ! う、羨ましい!!!!』

『R:俺が行ったのもそこだよ。』


「へぇ~・・・、大阪にあったのか・・・。」

ここまで読んだ小池のおっさんは新たな情報ににんまりとする。

寝屋川ってところは知らないが、大阪の一部にある街なんだろうと思う。

だが、肝心なこと、つまりは、「どんな店なのか?」という疑問は、まだ解けていない。

で、時間を気にしつつも、さらに読み進めることにする。


『サフラン:でも、噂によると、近々、お店、閉められるらしいですよ。』

『TonTon:ええっっっ! ど、どうして?』

『サフラン:詳しいことは分かりません。ですから、ここ数日中に行ってみようかと・・・。』

『R:サフランち、近いの?』

『サフラン:う~ん、近いと言えば近いし、遠いと言えば遠い。私、和歌山ですからね。』

『R:ああ、サフラン、和歌山なんだ。俺は播磨だよ。』

『TonTon:播磨って? どこなの?』

『R:兵庫県播磨市』

『TonTon:やっぱ、遠い?』

『R:電車で行けば、2時間以上かかるだろうな。』

『TonTon:そ、そんなに・・・。』

『R:俺は、バイクで行ったよ。指定された駐車場に行ったら、相当に遠いところから来てるバイクや車もあったし・・・。皆、そうしてるんじゃないのかなぁ~。』

『サフラン:私も、今だったら、車。でも、こうして車に乗れてるのも、八木さんのお陰だし・・・。』

『TonTon:ん? 八木さんって? 山羊の爺さんってことじゃあないの?』

『サフラン:ええっ! そ、そうなんですか? 私は、てっきり八木さんだとばかり・・・。

だって、皆が“やぎさん”って呼んでたものですから・・・。』

『R:ああ、確かに、そう呼んでたなぁ~・・。でも、字は分からんし・・・。』


「ん? あの爺さんは、角田と言うんだが・・・。ち、違うのかなぁ~。」

思わぬ展開に、読んでいた小池のおっさんは、「違う店なのかも知れん」とまで思ってしまう。

それでも、ここで読むのを止める気にはならない。

何となく、こうした若者らしき会話に引き込まれる自分を意識する。



(つづく)




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ