表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/187

第2章 タカシの夢はお笑い芸人? (その49)

「教えてもらえなかったの?」

痺れを切らせたように孝が訊く。

父親がお茶を入れてそれをゆっくりと飲んでいたからだ。


「教えてくれなかったと言えばそうだろうし、しっかりと教えてもらえたと言えばそれもそうって感じかな?」

父親は孝がその話題を無視しないことを噛みしめるようにゆっくりとした口調で言う。


「・・・・・・。」

孝はからかわれたように感じて、黙って空いた食器を流しへと運ぶ。

無言の反抗って気持ちもあった。



「先輩のお兄さん、もう、今となってはどっちのお兄さんが言ったのかも分からないんだが、お父さんを見て『駅伝が志望なのか?』って・・・。

で、お父さん、答えられずに連れて行ってくれた先輩の顔を見たんだ。暗に“どう答えれば良いんですか?”と訊いたつもりだった。」

「そ、それで?」

「そうしたら、その先輩が苦笑いをしたんだ。」

「苦笑い? それって、どういう意味?」

「さあ、どういう意味があったんだろうね。でも、その妹の顔を見たふたりのお兄さん、これまたどちらが言ったのかは分からないんだが、『まあ、しばらくうちの練習を見に来いよ』って・・・。」

「ん!?」

孝が唇を半開きにして父親を見る。


「どうかした? そんな変な顔をしたりして・・・。」

父親は何事もなかったかのように涼しい顔で返してくる。

孝が不審に思った点が分かっているらしい。


「『練習見に来いよ』は良いけれど・・・、今、変なこと言わなかった?」

孝が問い詰める。


「ん? 変なこと? どこがだ?」

「妹とか・・・。」

「ああ・・・、そう言ったが、それのどこが変なんだ?」

「ええっっ! ・・・。って、ことは・・・。」

「そうだよ、その先輩は女子だったんだ。言わなかったかな?」

「き、聞いてない!」

孝は、どうしてか憤慨する。



(つづく)




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ