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第2章 タカシの夢はお笑い芸人? (その120)

「お父さんはひとりっ子だった。

気がつけばこの家の子になっていたというのと同じで、気がついたら兄弟はいなかったんだ。」

父親はまたその話題に戻そうとする。


「小さい頃は、そうした兄弟がいないってことに何ら違和感はなかった。いや、それどころか、両親を独占できる優越感もあったように思う。

でも・・・、そ、そうだなぁ~、いつ頃からだったろう。近所の子供と一緒に遊ぶようになってからかな? ひとりっ子なんだっていう現実を自覚したのは・・・。」

「現実? そ、それって、ちょっと大袈裟じゃない?」

孝は、父親の言い方に疑問を呈する。


「い、いや・・・、まさに、現実を思い知ったってところがあったんだ。」

「ん? 意味、わかんない。」


「子供たちだけで遊ぶようになると、どうしたって、些細なことで喧嘩になったりするだろ? 野球がしたい子もおれば、ドッチボールが良いと言う子も出てくる。うまく折り合えば良いんだが、なかなかそうもいかない。となれば、双方で言い合いになる。

じゃあ、多数決で決めようってことになって・・・。」

「う、うん・・・、よくある話だね。」

「で、その多数決ともなると、兄弟の多い子の主張が殆ど通ることになる。」

「ん? つまりは、兄弟が同じ意見になるってこと?」

「そこなんだ。」

「ん?」

「意見は各々違うんだが、兄弟のうちの一番上の子の意見に、他の兄弟が右に倣えってするんだ。」

「意見が違っても?」

「ああ・・・。」

「そ、そんなぁ~・・・。」

孝にはそうした場面に出くわした経験はなかったから、父親の話には誇張があるように思えてならない。


「つまりは、兄弟同士、外に向かっては一番上の子の意見に従って一致団結するんだ。日頃は派手な兄弟喧嘩をする兄弟でもだ。」

「へ、へぇ~・・・、そ、そんなものなの?」

孝にはやはり実感が伴わない。


「家に帰ってからのことが下の子の頭にはあるんだろうな。上の子に逆らったという風には思われたくないって・・・。」

「そ、そうなのかなぁ?」

「う~ん、やっぱり、孝もそうした考え方は理解できんか?」

「う、うん。」

「実は、お父さんにもまったく理解できないものだったんだ。どうしてなんだ? って思ったもんだ。」

「で、でしょう?」

孝は、この話がどっちに向かおうとしているのかが分からなかった。



(つづく)





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