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第2章 タカシの夢はお笑い芸人? (その118)

「ひとりっ子ってのも、傍から見るのとは大きく違っててなぁ~・・・。」

父親は、そう言って苦笑いを見せる。


「ど、どう?」

孝には、父親の言わんとするところが掴めない。


「確かに、両親の愛情を一身に受けられるっていう利点はあるだろう。

だが、その反面で、何をするにも親の気配を探るようになるもんでな。」

「ああ・・・、な、なるほど・・・。」

孝は、友達の中にいるひとりっ子の何人かを頭に思い浮かべる。

会話の中に、すぐに「パパが・・・、ママが・・・」というフレーズが入ってくる。


「とりわけ、うちのように家業をやっている家だとな・・・。」

「ん?」

「つまりは、家業の後継者としての立場を意識させられるんだ。」

「・・・・・・。」

孝、「それは、別にひとりっ子でなくとも考えるぞ」って思いがある。

もちろん、この場でそんなことはおくびにも出せないが。


「お父さんは、小さい頃から田んぼに連れて行かれてたんだ。」

「ん? 小さい頃って?」

「まだ、乳を飲んでいる頃からってことだ。」

「ええっ! そ、それって、赤ん坊のときからってこと?」

「ああ・・・、その当時、それが当たり前のようになっていた時代だったからな。

籠に入れられて、他の農機具などと一緒にリヤカーに乗せられてな。」

「へ、へぇ~・・・、そ、そうだったんだ・・・。」

「今じゃあ、信じられんような光景なんだが・・・。」

「そ、そうだよねぇ~。」

「その当時は、それがごく普通のことだったんだ。乳もその田んぼの傍で飲ませるし、オシメだってその籠の中で取り替えたんだ。」


「保育所とかって、なかったの?」

「う~ん、あるにはあったんだが・・・。」

「ん?」

「所得制限ってのがあってな。ま、それは今でもあるんだが、その当時、うちはその金額以上の収入があったってことで・・・。」

「つ、つまりは、預けられなかったってこと?」

「ああ・・・、それに、その保育所ってのも、車で30分も掛かる場所にしかなくってな。その当時、近所の農家で子供を保育所に預けてる家なんて1軒もなかったってことだ・・・。」

「へ、へぇ~・・・。で、でも、今じゃあ、この近くの家でも、随分と保育所に行ってる子がいるよね?」

「そうみたいだな。つまりは、このあたりも兼業農家が増えて、で、かつ、夫婦共稼ぎが多いからな。

おまけに、子供を爺ちゃんや婆ちゃんに預けたくないっていう若い夫婦が多いそうだ。」

「ど、どうしてなんだろう? 爺ちゃん婆ちゃんに預ければ、それだけお金も助かるだろうに・・・。」

「あははは・・・、孝から、そうした意見が出るとは意外だったなぁ~。」

「ん? ど、どうして?」

孝は、父親に「意外」と言われたことに抵抗感を覚えた。



(つづく)





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