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第2章 タカシの夢はお笑い芸人? (その79)

「お父さんだって、それなりの努力はしてるつもりなんだ。

お爺ちゃんに見習って、そうした作業日報も付けるようにしているし・・・。

でもなぁ~・・・。」

父親は、孝が入れた珈琲を美味そうに一口飲んでからそう言ってくる。

いや、自分自身に言い聞かせているようにも孝には聞こえた。


「人間には、やはり持って生まれた特性ってのがあるんだろうな。いわゆる、向き・不向きって奴だ。

お父さん、お爺ちゃんと同じようにしていろんなデータをとってはいるんだが、そこから先がまだまだなんだ。つまりは、そのデータを生かしきれない。

お父さんはパソコンを使うんだが、お爺ちゃんは触りもしない。

それでも、お父さんはそのパソコンに取り込んだ過去のデータが意味するものがなかなか読めないのに対して、手書きのノートだけなのに、お爺ちゃんの頭のなかにはそうした過去のデータが一定のパターンとして構築されてるらしいんだ。

だから、さっき言われた『今年の台風は・・・』ってのも、お爺ちゃんとしてはちゃんとした根拠があっての言葉なんだが、お父さんにはその結論がどこからどう導き出されているのかがまったく分からんのだ。」

「そ、それでも、お爺ちゃんが言ってることが当たるってこと?」

じっと聞いていた孝がようやく口を挟む。


「ああ・・・、9分9厘な・・・。」

父親は否定しない。いや、否定しないどころか、祖父の予想が正しいと言い切っているようなものだ。


「で、でも、予想に100パーセントはないでしょう?、お爺ちゃんの予想が外れる場合もあるってことでしょう? 例え、その確率は少なくっても・・・。」

孝は敢えてそう反論する。

父親が祖父の能力に完全にギブアップすることにも抵抗があったからだ。


「う~ん・・・、確かに・・・。」

「で、でしょう?」

「それでも、お爺ちゃんの予想や予測は、非常に保守的なんだ。」

「ん? ほ、保守的って?」

「つまりは、知らなくって被害を被ることがないようにってのがその根底にあるんだ。事前に知っておれば、如何なる自然災害にもそれなりの対応を考える時間が得られるってことだ。」

「で、でも・・・、災害って・・・、いつ起きるか分からないものでしょう?」

「もちろん、一般的にはそう言える。でも、お爺ちゃんは、『それでも人間は生きてきたし、これからも生きつづけなきゃ行けないんだから・・・』って言うんだ。」

「ん?」

孝は、その言葉の意味は理解できなかった。



(つづく)




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