表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/187

第2章 タカシの夢はお笑い芸人? (その70)

「で、でも、それって、無責任じゃない?」

孝が思わずそう呟いた。

もちろん、父親に聞かせようとして言った言葉ではない。あくまでも「呟き」である。


「ん? 無責任って?」

父親がそう反応する。


「だ、だって・・・。」

孝は後悔をする。呟いただけのつもりが、父親の耳に届いてしまったことをだ。

それでも、孝は前言を取り消さなかった。

「い、いや、何でもない」と逃げることも出来たのに・・・。


「どういうことだ?」

父親は、できるだけ静かに話そうと努力をしているような口ぶりで言う。


「だ、だって、お父さん、その時は小学生だったんでしょう?

それなのに、そんなお父さんひとりに留守番をさせるなんて・・・。

しかも、そうして嵐が来ることが分かっていたのにって・・・。」

孝は、意識して「お爺ちゃん」という主語を抜いている。

やはり、直接的には批判できない気持ちがどこかにあった。


「な、なんだ、そのことか。」

父親は、どうしてか安堵した顔を見せる。



「さっきも言ったことだが、お父さんにとって、いや、この家、この家族にとって、お爺ちゃんは言わば絶対的な存在だったし、それは今でも同じだ。」

父親は、孝が指摘することを理解したうえで、敢えて同じ言葉を繰り返してくる。

そう、「絶対的な存在」という言葉をだ。


「そ、そんなぁ~・・・。」

孝は承服できない。今時、絶対的な存在なんて・・・と思う。何と時代遅れな発想だろう、まるで、江戸時代の家長制度のようだと。


「お父さんは、そんなお爺ちゃんを誇りに思うし、まだまだなんだが、少しでもお爺ちゃんに近づきたいと願ってるんだ。」

「ど、・・・・・・。」

孝は、言葉が喉につかえるのを覚える。

「どうして?」と言いかけたのだが・・・。



(つづく)




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ