表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/35

第三十四話 

「雷遁──【尾雷】!!」

 両手の平を擦り合わせ、蕾花が前方へと咲かせ放つ鋭い雷撃。だが、緑光を纏った刹那のシルエットを、その雷電がくぐり抜けることは叶わない。


「冥力が多少上がったとて! お前程度の攻撃、響かない……そして、許さないッ!!」


 敵の冥力を隔絶する厚い防御の光を展開しながら、執念のままに追い始めたのは刹那。

 スピードとパワーに長けた雷牙の時とは戦法が変わっていたのは、どちらとも。身体能力で勝ると見た途端、積極性を増した刹那の猛攻に、蕾花はミドルレンジからの雷撃の牽制で、突進を躱し、耐え凌ぐのが精一杯だった。


 鬼のように気迫溢れる刹那の肉薄を躱し続けるのは容易ではない。一撃貰うごとに、その緑光に触れるだけでも、蕾花の体にダメージが刻まれていく。

 そして、ついに挑む刹那の剛腕が逃げようとした蕾花を捕らえた。


「逃がさないッ!! お前をッ!!」


 もうその雷で遊ぶ獣のことを逃がさない。刹那は今掴んだ蕾花の腕ごと体ごと、天高く投げ飛ばした。


 空中では回避も防御もままならない。先ほど【矢摩嵐】でこの身を不覚にも撃たれた時の意趣返しと言わんばかりに、刹那は緑光を纏ったまま、投げ飛ばしたターゲットへ向かって地を強く蹴り跳躍した。


 無防備にも投げ出されたまま、天にのけぞる蕾花。人も獣も抗えないそんな死の予感の漂う宙の中で、だが──彼女は不敵に笑った。


 そして、手に掴み取り出した一つの黒い独楽を、己の〝臍〟の上で回し出した。


「……!」


 一瞬、トドメを刺そうとした刹那が怯んだ。


 その獣は、天へ向かって不遜な臍を突き出し晒し、己の臍上に巻き起こったその怒る雷の渦を、まるで全身で歓喜するように受け入れる。


 逆さまに「ぎろり……」睨みつける金色の眼。それが刹那には、挑発と嘲笑に見えた。


「重ね重ね虚仮威しを……! その程度の矛では、私の盾は貫けないッ!!」


 刹那は僅かに震えた迷いを振り払い、天で嗤うその獣に向かい、さらに上昇速度を上げた。


「三技ノ漆──【緑燭(りょくしょく)影羽織(かげばおり)】!! 私は砕けない! お前を砕くッ!!」


「どいつもこいつも偉そうにしやがって……三技なんて──知るかよォッ!!」


 放電と回転を続ける独楽からエネルギーを存分にチャージし、姿勢を制御した。さらに足場と化した用済みの黒独楽を蹴り上げ、蕾花は自ら攻め入る。


 天を蹴り上げ反転し、鋭く降る青い雷光と、熱を上げ翔ぶ珠のような緑光。


 最強の雷の矛と、最硬の光の盾。誰にも譲れない勝負の行方は、互いのプライドと冥力を燃やし交錯する、この最後の〝イチゲキ〟に委ねられた────。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ