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週刊誌

月日は流れたが、息子と夫の面会は果たせなかった。

夫の会社の方々からの連絡は途絶え、このまま離婚に至ると妻は覚悟した。

夫からの連絡も無かったからだった。

そんなある日、週刊誌に書かれた記事を元に各テレビ局でも取り上げられた問題を目にするようになった。

それは、会社を二つ跨ぎ、県会議員へ金銭の授受があったことだった。

最初に金銭を渡した会社は県からの委託業務を長年請け負っていた―という内容だ。

間に入った会社は下請け会社と、県会議員の親族の会社だった。

その最初の会社名が夫が勤務していた会社だった。

夫が「妙なお金の動きがあった」と言っていたことを妻は思い出した。

県会議員は記者会見を行った。


「全て秘書に任せています。

 法的に問題は一切ない。

 週刊誌が書いたことは事実無根であり法的な対処も考えています。」


その後、週刊誌は第二弾を出してきた。

夫の会社からの金銭は県会議員から国会議員へ流れていた―という内容だ。


「どこまで繋がるの?」

「美月、海斗君からは何も連絡が無いままなのか?」

「うん、そうなの。」

「これだったのだな……海斗君……。」

「……ええ、そうね。」


国会議員の記者会見があった。


「何も問題ないと理解しております。

 問題があったとすれば、私の説明不足だったと存じます。」


父は声を荒げた。


「何が説明不足なんだ!

 美月、海斗君からの連絡は?」

「無いまま……。」

「そうか……これが怖い原因だったとしたら……。」

「お父さん、私のスマホに会社の人から連絡があったのよ。」

「何時なんだ!」

「最初の県会議員の時から……。」

「何て言ってるんだ?」

「海斗さんの居場所を知らないか?って……。」

「なんて答えた?」

「知らないと……本当に知らないもの。

 あれから、あの酪農家のお宅から出て行ったんだもの。」

「そうだったな……。」

「海斗君、どこに居るのかしら?

 無事なんでしょうね。

 何もされてないわよね。」

「そんなことはあるまい!

 そんなことある訳ないと、前に言ったのはお前だよ。」

「そうだったわね。」

「美月、大丈夫だ!

 何も動けないよ。

 ドラマじゃあるまいし……な。」

「……うん、そうね。」


夫が息子に会わないまま過ぎ去った月日。

その間に夫が何をしていたのか、どこに居るのかさえ妻は分からない。

父親に会えない息子が可哀想だとだけ思い続けてきたが、夫は人知れず闘っていたのだと妻は思った。

息子と夫がたった一度会ったあの北海道の日―あれから、1年が経っていた。

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