従兄
夫の従兄の話は本当に偶然の再会であったというものだった。
従兄は百貨店に勤めていてバイヤーをしている。
北海道展を行う為に北海道へ出張した。
「それで、乳製品のデザートでプリンを作っている店があってね。
その店のプリンの材料の牛乳の生産者に会うといいって仰って、畜産農家に連れ
て行って頂いたんだ。
そこで、海斗に似てる男性が居た。
何故だか、夫婦とだけ会わせて貰って……その男性は隠れるように……。
隠れたように俺には見えたんだ。
中に入って行って……それで、直ぐに叔父さんに電話したんだ。」
「会えたんですか?」
「うん、何とかね……。」
「海斗さん……で間違いは……なかったんですか?」
「間違いなかった。」
「良かった……。」
「えっ?」
「生きて……くれてた。」
「美月さん……。」
「ごめんなさい……美月ちゃん……うっ……ううう……。」
「謝らないで下さい。お義父さん、お義母さん……。
生きていて……海斗さんが……生きていてくれたんです。
……良かった……。」
「美月ちゃん……あいつ……こんな想いをさせて……名無しで生きてやがった。」
「……海斗さん、もう帰って来てはくれないんですね。」
「……そのつもりのようだ…………けどね!
けど、会いたがってた。美月ちゃんに、ひーくんに……。
あいつ、会いたいって泣いてた。
だから、会ってやって欲しいんだ。頼む。」
「会えても……元に戻れないんですね。」
「それは………話し合ってからだと思いたい。」
妻は⦅夫に会わないと本当に生きてくれていたのか、分からない。⦆と思った。
会えれば5年振りである。




