北海道へ
北海道へは夫の従兄の車で行った。
車は8人乗り。
急に息子と妻が乗っても問題なかった。
息子は大きな車に乗られて喜んでいる。
燥ぎ過ぎているくらいだ。
「パパ、僕のこと好きかなぁ……。」
「好きよ。」
「僕ね、パパ好きなの。いっつも見てるんだぁ♪」
「何を見てるの?」
「写真でしょ、それから動画!」
「そうなのね。」
「おばあちゃんは、パパのママでしょ?」
「そうよ。」
「おばあちゃんとパパ似てる?」
「おばあちゃんよりも、パパは……おじいちゃん似なのよ。」
「おじいちゃんに?……に?って、何?」
「おじいちゃんに似てるっていう意味よ。」
「そうなんだぁ。じゃあ、僕はパパ似?」
「似てるわよ。パパに……そっくり………似てるわ。」
「おばあちゃん、どうしたの?
なんで泣いてるの?
どこか痛いの?」
「ううん、大丈夫よ。何処も痛くないわ。」
「そうだ! ひーくん、音楽を聞く?」
「おじちゃん、音楽? 聞けるの?」
「うん、聞けるよ。俺が持ってる音楽だけどな……ははは……。
なぁ……美月ちゃん、5歳児って何聞くんだ?」
「あ……私のスマホに入ってるので、それを聞かせます。」
「否、次のサービスエリアで、この車と美月ちゃんのスマホ、Bluetoothで繋げて
いいかな?」
「いいんですか?」
「いいよ、長いからなぁ……。
ひーくんが退屈しないように繋げよう。」
「お願いします。」
「おうよ。」
子どもが居ない夫の従兄は、夫婦で息子を可愛がってくれている。
従兄の妻は、この道行きに居ない。
「何よりも優先すべきは美月ちゃんよ!」と言ったと妻は聞いた。
そして、「全員が泊まれるホテルを取っておくわ。」と今この瞬間も宿泊先を探している。
妻は義両親、そして従兄夫婦に心から感謝している。
⦅本当に……あの人なんだろか……。
違ったら……振出しに戻る……。
……もし……あの人だったら……どうするの?……私はどうするの?⦆
北海道への車中で運転している夫の従兄から話を聞いた。
燥ぐ息子が疲れて寝てしまってから、妻は従兄の話を聞いたのだ。




