電話
実家に帰って両親と息子の4人で暮らすようになって4ヶ月が経った頃、一本の電話が架かって来た。
電話は警察からだった。
「加納美月さんですか?」
「はい。そうですが……。」
「行方不明者届を出されて方に連絡をしています。」
「……は……はい。」
「実は身元不明死体がありました。」
「みもと……。」
「身元不明死体です。」
「し…た……い……。」
「奥さん、お気を確かに!
まだご主人と決まっていません。」
「……は…い。」
「若い人は珍しく、身元不明死体が出た時は、行方不明者届のデータから、身長な
ど似通っている方のご家族へご連絡をしています。
可能性がある方です。」
「はい。」
身元が不明の死体があり、それが夫かどうかを確認して欲しいとのことだった。
⦅写真を渡しているのに……何故?⦆と思った妻だったが、警察の話をしっかり全て聞けていたわけではなかった。
頭の中が真っ白になったのだ。
両親が居ない時間の電話だった。
両親は息子を連れて近くの商業施設へ行っている。
その間に受けた電話だった。
⦅しっかりしないといけないのに……
どうして、ちゃんと聞かなかったのよっ!⦆
自分が愚かだと突きつけられた瞬間だった。
両親と義両親に電話した妻は、両親が息子を連れて帰って来るのを待った。




