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二日目の電話

佐々木からの電話を受けた翌日、再び佐々木から電話が架かって来た。

たまたま来ていた父が電話に出た。


「加納君の同期の佐々木でございます。

 奥様は御在宅でしょうか?」

「娘は今、手が離せません。

 私は父親で本間と申します。」

「奥様のお父様でございましたか。」

「娘に何か御用でございますか?」

「石井朱里さんを探し出されて会われたと聞きました。」

「ええ、お会い致しました。

 それで、何か?」

「分かりませんが……石井朱里さんがお相手では無ければ、他の方かもしれないと

 思います。」

「そういう女性が居たと断言出来るのですか?」

「多分……という話でございますが……。

 峯という加納さんの同期が、加納君から直接聞いたそうなので……。

 私どもは信じられないのですけれど……。

 峯に直接、聞きました所、間違っていないと言い切りました。

 ただ誰かは分からないということでございました。

 それをお伝えしたくお電話を架けさせて頂きました。」

「そうでございましたか。

 娘には伝えておきます。」

「お願い致します。

 あ……相手の名前が不明ですので、探されても分からないかもしれません。

 それも併せてお伝え頂ければ幸いでございます。」

「承知致しました。

 わざわざ海斗君のことで何度もお電話を頂戴し、誠にありがとうございます。

 娘には必ず伝えますので、ご安心ください。」

「お願い致します。

 では、失礼致します。」

「失礼致します。」


電話を切る音がした。

妻は父から電話の内容を聞いた。

この電話の前に両親が着いたところだった。

電話が鳴った時、妻は息子を着替えさせていた。

妻に頼まれて電話に出たのが父だった。

父から電話の相手と内容を妻は聞いた。


「何なんだ。

 そんなに海斗君に不倫をさせたいのか?

 違うと石井朱里さんは断言したじゃないかっ!

 それを、別の女が居るなどと……。」

「お父さん、分からないのよ。何も……。

 だけど、ひーくんが居てくれるから私は頑張れるわ。」

「そうね、ひーくんのお陰よね。」

「ひとぉつ!」

「上手! 1つ、1歳よね。」

「あんよも上手になったし、お喋りも……海斗君に見せたいわね。」

「ええ……見て貰いたいわ。」


妻は夫が居ない生活に少しずつ慣れつつある。

それが、妻は哀しかった。

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