3 目覚めの初戦
「魂のガイード?」
「はい、私自身でつけました。私が目覚める時に聞こえた、ガイ…ドという言葉を元にしまきた。」
「適当につけたって、お前も自分のことが分からないのか?おんなじだな!」
━そうですね。私もさっき起きたばっかりなんです。そのとき、隣にあなたがいたので起こそうとしたんですが、背中を強く叩いたら消えてしまい…━
「やっぱあれお前だったのかよ!」
━まあ何はともあれ、自分のことを知らない私たちは、似たもの同士ということですね。魂と相棒の関係性としてバッチリですね。━
「そうかな…そうかも…」
グッドサインをしながら自身げに振る舞うガイードに少年は若干戸惑った。
━さて、そろそろ本題に移りましょうか。━
「本題?あ、そうだ俺って今どうなってるんだ?」
━ここは魂世界という思考上の世界。簡単に言えばゾーンの超すごい版みたいなものです。ですが脳に負荷がかかるのでそう長居はできません。ここが本当に天国に変わるかもしれませんね。━
「言ってる場合か!でも、もうどうしようもなくないか?だって俺は拘束されてるし、武器も持ってない。両手はあげられるけど。」
━お忘れですか?私はあなたの魂です。あなたに力を貸しましょう。━
ガイードは再びグッドサインをして自身げになる。
「力?どんなの?」
━それは…分かりません。まだ試してないですし。━
「なんなんだよ…。まだ試したことがないのに、俺たち助かるのか?」
━それは保証しますよ。今、私の中から力が湧いてくるのを感じます。スピリチュアル的な何かではなく、確信を持って言えるほどに!━
ガイードは再びグッドサイン。
「そのグッドサインも理由も信用できないんだけど!?全部体感じゃん!」
そのとき、彼らを警告するように明るい空が点滅し始めた。
━おっと、そろそろ時間のようですね。さあ、行きましょう。━
「もう行くの!?まだ心の準備が…。」
━準備なんてしている暇ありませんよ。人生は常に本番です。━
「さっき目覚めた記憶喪失の魂が人生語る!?まあ俺も記憶ないけど!」
急に暗くなったと思うと、一瞬明るくなり、少年は自身が拘束されていることに気がつく。声を振り絞って助けを求める。
「頼む、ガイード!」
━お任せを。━
「ぐああっ!」
「何!?」
「そんな馬鹿な!」
隆起した屋根が少年諸共仮面たちを突き上げ、拘束していた仮面たちは吹き飛んだ。少年はガイードの手を握っていたおかげで無事に着地できた。
「はぁ…ありがとう、ガイード。なんか、息苦しいな。」
━魂世界に長居していたせいですね。申し訳ありませんが、そう休憩している時間はなさそうです。━
仮面たちは2人ににじり寄る。さっきとは打って変わって銃のような武器を構えている。
「さっきとは違って、慈悲抜き殺意マシマシって感じ!本気でやらないとやばそう。ガイード、さっきくれた力ってどんな感じだった?」
━地面を引っ張り、壁を建てて突き上げることができました。━
「攻守両方ともいけそうじゃん!」
━ふふん、まあ私にかかればこれくらいですよ。━
ガイードは頼れるグッドサインをした。少年の息もだんだん整っていく。
━さあ、行きましょう。あなたの動きに合わせます。自由に動いて下さい。━
「OK。じゃあ行くぞ!」
2人は敵陣に向かって真正面から走り出す。少年の頭の中には、まるでプログラムされていたかのように戦闘のイメージが湧いていた。
地面を遮蔽に弾を防ぎ、地面を武器に敵を吹き飛ばす。防と攻を呼吸のように切り替え続け、敵を次々と薙ぎ倒していく。
「囲まれた!どうすれば?」
━簡単ですよ。円を描くように!━
「グルッとこう!?」
少年はガイードに言われた通り、地面を思いっきり引き伸ばして、自分を中心とした円を舞うように描く。遠心力も加わり相当な威力となるそれは、2人を囲んだ仮面を1発で吹き飛ばした。
「駄目だ、強すぎる!」
「何故捕まえられない!仮にも対象は高校生ほどの1人の人間だぞ!」
「逃してなるものか…!」
乱闘から離れた場所で、機械的な音が鳴っている。2人は目を向けると大型の銃火器がこちらを狙っていた。
「ダメージは計り知れないが、必ず捕獲する…!」
2人が気づいたときにはもう遅く、引き金は引かれた。閃光が辺りを包み込む。
「やっば!耐えてくれ!」
少年は咄嗟に防壁を作り出す。倉庫の屋根といってもその威力にすぐに破られそうになったが、更に壁をガイードが十字に補強して、見事耐え切った。
「耐えている!?そんな馬鹿な!」
━あなたを信じて正解でしたね。良い判断でした。━
「ふふん、どんなもんだ!ガイードもありがとう。」
動揺しているのか、戦意を失っているのか、動きが鈍くなった仮面に一気に距離を詰める。
「もう二度と…」
2人は銃を構えていた仮面に飛びかかる。
「襲ってくるな!」
━はあっ!━
最後の仮面は今までで一番強く吹っ飛ばされ、銃は闇の中へと消えていき、仮面は三度ほど跳ねてのびていた。
仮面は全て、倒れていた。
「あー…疲れた。」
━お疲れ様でした。かなり動けていましたね。━
「ほんとだよ。なんだか振り回されてるみたいに体が動いたんだ。振り回された体はもうお疲れ。」
━何はともあれ…私たちの勝利ですね。━
異世界の空は、まずは一勝おめでとうと2人を祝福するように煌めいていた。




