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WORLD)SOUL(WORLD   作者: 六等星
消息盈虚編
15/20

14 「天地は崩壊を貫き…

「ガイードの力は"掴んで伸ばす力"。別に"近く"のものじゃなくたって良いんだ!」


━解決策が見つかりましたね!やってみましょう!━


魂世界から戻った2人は、ハリネズミの暴走意志からある程度の距離を取り、瓦礫の遮蔽物も使いながら背後に回り込む。


━ミツキ!行けますか?━


「OK!さっきのイメージで!」


八代は手を右下に伸ばす。深く息を吸って自分のやりたいことを想像する。


「足元の地面を…」


━バァリヴ?━


ハリネズミの暴走意志の足元が盛り上がる。


「伸ばすイメージ!」


━バァァァァッ!?━


八代、ガイードが触れずとも地面は槍のように盛り上がり、ハリネズミの暴走意志の腹に大きなダメージを与えた。うめき声を上げながら上へと吹き飛ばされる。


「っしゃ!」

━すごいです!━


「(よくやったね。ここまで出来れば今日は上出来。後は僕が…。)」


「ガイードもできるか!?」

━やりますよ!━


八代とガイードは跳び上がる準備をする。


「黒淵隊長!俺たちを上へ!」


「う、上?分かった。」


黒淵隊長は予想だにしていなかった事態に驚きつつも、2人を信じて空へと上げた。


「もうちょい行けるよな!」

━はい!私たちならできます!━


━バァァァァヴヴヴッッッ!!!━


ハリネズミの暴走意志は今までで1番多い量1000本にも及びそうな針を構える。


「行こう!」━行きましょう!━


2人の目が青緑に輝く。


「あれは…。」


2人の手が重なる。


━「天地は崩壊を貫く!」━


━バァァァァッッッッ!!!!━


無数の針が2人に飛んで行く。

重なった1つの手は、後方の空間を掴んだ。


━「『天地貫槍!』」━


裂けた空間はガラスが砕けるような音を立てて、無数の針を全て押し除け、大きな槍としてハリネズミの暴走意志を貫いた。

貫かれた彼女は、瓦礫の上へと落ちていきうめき声を上げている。

黒淵隊長は2人を下ろし、駆け寄っていった。


「どうでしたか?黒淵隊長。」

━中々のものでしょう!━


「びっくりしたよ。僕の想像を超えて行った。ミツキが遠くの地面を直接触れずとも掴んだところで僕が後はやろうとしたんだけど…まさかここまで追い込むとはね。あのアドバイス1つでよくやったよ。」


「やったな!」

━ええ!━


2人は拳を握って合わせた。


「…でも、まだ終わっていないよ。彼女はまだ生きている。」


2人が後ろを振り向くと、ハリネズミの暴走意志は体を少し動かしながら微かなうめき声を上げていた。


「さっきも言ったけれど、彼女も元は人間だ。この暴走意志を鎮めるということは、元々人間だった者を殺めるということにもなる。君たちにはそれができるかな?」


2人は黙り込んだ。ついさっきまでは針を飛ばす怪物にしか見えなかった者が、弱っている今では魂の支配に苦しむ1人の女性として見えてしまったのだ。


「スタビライザーの隊員、特に相棒と魂が、現世界に迷い込んだ暴走意志を鎮めるときの姿は、世間からまるでアニメや漫画のキャラのようだと讃えられる。でも実態は殺しと変わらない。」


八代とガイードは黒淵隊長の方は見ず、黙ってハリネズミの暴走意志の目を見ていた。


「僕たちは彼らに敬意を払わないといけない。異世界に危険を省みずやってくる一般人には犯罪者が多いと聞くが、それでもだ。僕らは裁判官じゃないからね。彼らは僕たちに成長の機会を与えてくれる、好敵手なんだよ。それを常に頭に入れて、向き合うんだ。」


「…はい!」

━…はい!━


2人は弱るハリネズミの暴走意志の前に座り込む。右手で小さく空間を引っ張り、針のように心臓を優しく貫いた。

彼女は何も言わなかった。ただ、鋭く尖った目は滲み、少しだけ丸くなっていた。


「追崎、聞こえるかい?暴走意志は鎮圧した。そっちも暴走意志がいなかったら、最初の繋界から現世界に戻っててくれ。もし先に着いたら連絡するね。」


「そういえばさっき、空間を引っ張って槍にして攻撃したとき」


「天地貫槍、といった名前じゃなかったのかい?」


「あ、そうでした。」


「魂と相棒はあんな風に同時に強力な技を発動するとき、タイミングの一致と士気を上げるために技名を言うことがあるんだけど…そこまで考えていたなんて驚きだよ。」


「いや、考えていたわけじゃなくて」

━勝手に口から出てきたんですよね。━


「なるほど。もしかしたらそれも、前話した潜在意識かもね。」


「かもしれませんね。あーで何言おうとしたんだっけ…ああそうだ!その天地貫槍を撃ったとき、ガイードと俺の手が重なった気がするんですけど…」


「それは僕も見ていたよ。君たちは完全にとはいかずとも、一部分だけ魂装のようになっている。」


魂装とは、魂と相棒が強い絆で結ばれ、意志が合致していると発動できる形態のことだ。数の有利はなくなるものの、魂の力をより引き出せるというデメリットを上回るメリットがある。


「あれが見えかけただけでもすごいことだよ。魂装はみんながみんなできるって訳じゃないからね。結構練度が必要なんだ。」


━私たち結構才能あるみたいですね。━


「はは、かもな。そういえば昨晩チェイサーが言っていたんですけど、アウトロードと千速も魂装なんですか?」


「うん、あれも魂装になるね。少し特殊な事情があるんだけど。」


"「黒淵隊長、こっちは片付きました。今からそちらに向かいましょうか?」"


「丁度良かった。こっちも終わったところで今から連絡しようと思っていたんだ。最初の繋界に戻っていてくれ。現世界側ね。」


"「分かりました。ではまた後で。」"


「追崎たちの方も終わったところみたいだ。さあ、僕たちも帰って、7号にお願いして美味しい料理を作ってもらおうか。」


「よっしゃ!そうと決まったら戻りましょう!」


戦いも終わり、初めに入ってきた繋界へ向けて歩き出した。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「…目覚めたな。」


男は軍刀を手にし、立ち上がる。

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