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04話:ポスト301-400

この作品はXへのポストのまとめです。https://x.com/hyogen_tokku

一般的な小説の書き方を大きく逸脱しているため、可読性が著しく劣ることにご注意ください。

那尊「街の中の住宅に家賃を払って住んでいる時点で正当な理由たりうるのです。住宅から立ち退けと言って一方的に追い出すのも違法です」

那尊「つまり家賃を払ってさえいれば、街のルールに背いても街から出ていかなくともよいのです。もうお分かりになった方も多いでしょう」

那尊「街から出て行かせたいなら、家賃を払えないようにしてしまえばいい。払えないほど高い家賃にしてしまえばいいのです」

那尊「違反者とは業務委託契約を切るので報酬もなくなります。ならば当人は高額な家賃を払えないので、弊社は賃貸契約を解除します」

那尊「当然、契約を解除した住宅には住めません。それによって街にいる正当な理由がなくなり、出て行かざるを得なくなります」

那尊「余談ですが、家賃はどれほど高く設定しても合法です。契約を結んでから上げるとなると合意が必要ですが、契約前なら問題ありません」

那尊「冷たい言い方ですが、嫌なら住まなければいい、街に来なければいいというわけです。これは男性客に対する入場料と同じ理屈です」

那尊「ここで最も心配されるのは、街のルールには何一つ違反しておらず業務も完璧にこなしていたのに、業務委託契約を解除される事態でしょう」

那尊「不当な圧力で必要以上に個人事業主、つまり住民が縛り付けられ、何もかもメラーの言いなりになるのではないか、という」

那尊「やろうと思えばできます。しかしそれをしても、悪評が立って誰も来なくなり、事業として失敗するだけでしょう」

那尊「恐怖の街にしたいわけではありません。魅力溢れる街でなければなりません。そのためには住民にとって自由である状態が望ましいのです」

那尊「男性を忍び込ませる手引きや世間一般の犯罪行為は容認できませんが、それ以外ではできる限りの自由を提供するとここに誓います」

那尊「業務に関しても同様です。委託した分の業務をこなし、ルールに違反しなければ、あとは自由なのです」

那尊「と言うだけでは信用されませんね。そこで、募集要項にも少しだけ書いていたのですが、街の様子を生配信します。それを証拠とするのです」

那尊「これは防犯も兼ねているのですが、プライベートや守秘義務に関わる空間以外、街中あらゆる場所の映像を常時ネット配信するのです」

那尊「その住民が不正をしていないのが動画で証明されるのです。配信した内容は履歴として公開し、いつでも遡って視聴できるようにします」

那尊「ただし、完全無料公開ではありません。これは女性だけの街の重要コンテンツなので、すべて見るには有料プランに加入していただきます」

那尊「もちろん、住民から訴訟を起こされた場合、弊社はルール違反があったと証明する必要があるので、動画データを消すわけにはいきません」

那尊「証明できなければ弊社はその訴訟において大きく不利になるでしょう。この仕組みで住民に安心を提供できると考えております」

那尊「一息に長々とご説明いたしましたが、これまでの内容についてなにかご質問はありますか?」

「街の映像を配信するのは住民のためというお話でしたが、ぎまんではありませんか?むしろ住民はそのせいで息苦しく感じてしまうと思います」

「防犯目的で撮影は分かりますが、配信は不要ですよね。メラーの利益のために自分の姿が世界に配信されるというのは苦痛ですよね」

「結局のところ住民にはメリットよりデメリットの方が多いのではないですか?それは本当に住民のためなのですか?自由のためなのですか?」

那尊「苦痛そのものについては弁解の余地もございません。しかし一般に自由というのはルールの上にしか成り立たないものでしょう」

那尊「表現の自由が保障されているからといって差別表現が許されるわけではないのと同じです。法治国家に表現の無限の自由などあり得ません」

那尊「また、大きなメリットがあります。先ほど述べたような、違反していない証明になるというあまりに小さすぎるメリットだけではないのです」

那尊「配信による利益は住民にも分配されます。街の運営費に充てて住みよくするなどという話ではありません。個人ごとの直接の報酬です」

那尊「視聴者は住民ひとりずつを選び、いわゆる投げ銭ができます。が、投げられた本人はそのうちの3割しかもらえません。3が本人の取り分です」

那尊「残った7のうち、さらに3が全住民に等しく分配されます。ある住民にとって他の住民が投げ銭を得れば自分も恩恵を受けられるわけです」

那尊「業務の報酬の歩合制というのは、投げ銭も含意しています。自分以外の成果も出来高としてプラスに評価されるのです」

那尊「視聴者ができるのは投げ銭だけではありません。プレゼントも贈れます。ただし、何でも贈れるのではありません」

那尊「住民は弊社が提示するリストから事前に欲しい物を選び、視聴者はさらにその中から選びます。投げ銭とは違い、他の住民へ分配されません」

那尊「プレゼントは実物です。視聴者がジュースをプレゼントすれば、住民のもとジュースが届けられるのです」

那尊「提示するのは基本、弊社の製品や街の中での製作物だけになるでしょう。これは宣伝も兼ねているので」

那尊「この投げ銭やプレゼントによるメリットを、街での日常映像を配信される苦痛への代価として、住民には納得してもらいたいのです」

「投げ銭やプレゼントの対象はアイドルを想定してらっしゃるのですか?だから街ではアイドルを主役にするということですか?」

那尊「それを多くもらうのはアイドルだろうとは想定しています。でもルールとしてアイドルだけに限定しているわけではありません」

那尊「先に申し上げたとおり、配信による投げ銭やプレゼントの対象はアイドルに限らず、すべての住民から選べます」

那尊「お店で働いている人に投げ銭を、エステでくつろいでいる人にプレゼントを贈ってもよいのです」

那尊「配信サービスからそれをできるようにとは考えていますが、配信映像に映っていない人も選択が可能です」

「今更かもしれませんが、住民というのはメラーから業務を委託されている個人事業主と同義でよいのですよね?」

那尊「ほぼ同義です。厳密には業務委託契約がなくとも家賃を払って住んでさえいれば住民なので、必ずしもというわけではありませんが」

「では、アイドルとは同義ですか?お話を総合すると、すべての住民あるいは個人事業主が扱いの上ではアイドルと大差ないように思えます」

那尊「ご明察恐れ入ります。定義次第ではありますが、広い意味ではすべての住民をアイドルと呼んでもよいでしょう」

那尊「すべての住民はアイドルになる可能性があると言った方が適切かもしれませんね。街の中ではアイドルとそれ以外の境界が曖昧なのです」

那尊「あらゆる業務は委託契約であり、その多くが一週間以内の短期です。ほんの10分もかからずに完了する業務もあります」

那尊「日雇い労働、または最近流行りのユーベルイーツのようなものをイメージしていただければよいかと」

那尊「今日はアイドル、明日は別の業務をするというのも無理ではありません。業務を選んで契約する自由が全住民にあるのです」

那尊「どのように業務委託契約を結び、業務を遂行するのかもう少し具体的に説明しておきましょう」

那尊「弊社、つまり街の運営側は住民に対して業務のオファーを出します。業務の内容は様々ですが、街の中の需要と供給に基づきます」

那尊「コンビニの店員がその日、その時間に3人必要なら、当然3人分のオファーを出します。ただし運営側は時間を決めません」

那尊「オファーを受けた住民が時間を決めるのです。一日30分でも、8時間でも、24時間でも自分で決めた分だけ働けばよいのです」

那尊「個人事業主なので労働者を守るための働準法には縛られません。働準法で定められた一日8時間労働も守る必要がありません」

那尊「報酬も需給に基づきます。誰もやりたがらない、けれど誰かがやらないと大勢が困る業務なら、報酬は高く設定されるでしょう」

那尊「オファーは各個人端末に通知されます。当然、それを受託したり、受託したオファーをキャンセルするのも端末の操作で済みます」

那尊「すべての個人端末に同時に通知され、受託は早いもの勝ちです。キャンセルが出た場合は改めてオファーが通知されます」

那尊「業務によっては受託時に、先例のコンビニ店員のように自分で時間を決めなければなりません」

那尊「通知から業務の開始時刻までの猶予も業務によりますが、即時の場合もあれば数日の場合もあります」

那尊「急を要する業務なら、高額の報酬でオファーが出され、受託した瞬間から開始せねばならないでしょう」

「それで本当に街は社会として正常にいとなまれるのでしょうか?すべての仕事を業務委託にするというのは大きな問題があるように思います」

「誰も店員の業務オファーを受けなかったら、そのコンビニはどうなるんですか?店員がいないのにどうやって客は物を買うんですか?」

那尊「会計はセルフレジで可能です。が、なにか不都合があれば、それはそれで面白いのではないでしょうか」

「お、面白い……?そういう話ではないでしょう。不都合があったら客に対してどう責任を取るんですか?」

那尊「街の運営責任者として店にも責任を持たなければなりませんが、買い物客が少し困る程度なら特に責任を取る必要はないかと」

那尊「弊社としては業務のオファーを出し、報酬を支払う時点で基本的な責任は取ることになると考えます。その先の部分は住民の責任です」

那尊「要は住民の自律心次第なのです。誰もやらなければ誰かが困る。見合うだけの報酬が出る。やる理由としては充分でしょう」

那尊「しかしやらない自由もあるのです。そうして街の運営に支障が出るのも、社会実験としては興味深いではないですか」

那尊「女性だけの街は男性から自立したいという女性の願いを形にしたものです。ならば自立のために皆で協力しなければなりません」

那尊「と、ひどく無責任なことを言ってみたのですが、実はそういったアクシデントにはメリットもあると思います」

那尊「街はいたる場所の映像をネット配信しているのです。はたから見ている側にとってアクシデントというのは面白いものでしょう」

那尊「いわゆる、撮れ高があるという状況です。おいしい展開です。さぞ耳目を集め、たくさん視聴されるに違いありません」

那尊「配信による利益は、街に還元します。すなわちアクシデントが起これば、めぐりめぐって住民の利益になります」

那尊「全世界に見られているということなので、逆に住民は醜態を晒さないように真面目にやるかもしれません。それも自由です」

那尊「とはいえ弊社も最低限のフォローはします。一例ですが、コンビニならホットスナックの調理などで火を使う場合もあるでしょう」

那尊「火の後始末をしないうちに契約分の時間が過ぎ、帰る人もいるかもしれません。それは契約として禁止しますが、うっかりミスもありえます」

那尊「火災が起きそうな場合、あるいは起きた場合は映像や各種センサーで判断して速やかに消防に通報します」

那尊「街の壁の外には重大な事態に備えて弊社の女性スタッフが普段から常駐し、事が起きれば急行します」

那尊「ただ、それでも火災というのは最悪、犠牲者が出てしまう場合もあります。犠牲者が絶対に出ないようにするというのは不可能です」

那尊「その場合は、最後に火の後始末をしなかった者が刑事、民事責任を負うかもしれません。弊社の街の管理責任を完全に逸脱しています」

那尊「弊社の管理化において、住民にはできる限り大きな自由を提供します。しかしそれには相応に大きな責任も発生し得るのです」

「では、受託した業務の成果が悪ければ、やはり相応のペナルティがあるのですか?たとえばコンビニ店員なら、接客マナーが悪いとか」

那尊「軽微なものならペナルティはありません。もとより接客マナーは成果として評価しません。無愛想な態度でもよいのです」

那尊「世の中には店員に無愛想な態度を求める人もいるのです。接客マナーの悪さにペナルティを与えていては、その需要に応えられません」

「でもそんな人はごく一部じゃないですか?普通、店員は愛想よい対応を求められるものでしょう?評価すべきでは?」

那尊「評価したい人が評価すればよいと考えています。投げ銭を投げるのが最も直接的な評価方法でしょう」

那尊「配信で見て接客態度が好ましいと感じた視聴者はその住民に投げ銭をするのです。住民同士でも投げ銭できます。チップのような感覚ですね」

那尊「不器用な人が繊細さの要求される作業をしていたら、小柄な人が力仕事をしていたら、その頑張りを応援したくなるものではありませんか」

那尊「社会一般ではその成果物が不出来なら評価されません。しかし、努力する姿に美しさを感じる人も多いのです」

那尊「女性だけの街では、住民の働く姿がエンターテインメントになり得るのです。そこに社会の風潮を重視する意味はありません」

那尊「とはいえ、業務をどれだけ半端にこなしても許容されるというわけではありません。最低限というものはそれぞれの業務に定めています」

那尊「業務を受けておいて、最初から最後までカメラにも皆目映らないところでサボって時間を潰すというのは許しません」

那尊「それはコンビニ店員の業務とは呼べませんし、エンタメとしても成立しにくいからです。来店客は困り、視聴者は楽しくないのです」

那尊「逆に言えばエンタメとして成立するなら、少しくらい雑でもよいでしょう。来店客が困っても、視聴者が沸けば弊社は許容します」

那尊「もちろん真面目に最低限の業務をこなしていれば、たとえ視聴者に評価されずとも問題ありません。エンタメは難しいのですから」

「その住民が最低限の業務をせず、メラーさんが許さないというのはどういう意味ですか?報酬を支払わないのですか?」

那尊「はい。業務を受託した上で契約内容に違反するわけですから、委託側である弊社に報酬の支払い義務は生じないという見解です」

那尊「ただ、他にもペナルティを与えます。あまりにも契約違反が多く続く者には、その種の業務のオファーを受託しにくくします」

那尊「通常はすべての住民の端末が同時にオファーの通知を受けますが、契約違反の多い者はその回数に応じて通知が遅れるのです」

那尊「オファーの受託は早いもの勝ちなので、遅れた分だけ不利というわけです。最低限すらしなかった者は信用を失います」

那尊「と言っても永続ではありません。その種の業務の直近10回のうち、どれだけ契約違反があったかで判断します」

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