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02話:ポスト101-200

この作品はXへのポストのまとめです。https://x.com/hyogen_tokku

一般的な小説の書き方を大きく逸脱しているため、可読性が著しく劣ることにご注意ください。

那尊「何もない土地を新たに開発するのは、自治体にとってもメリットが大きいはずです。土地が一気に栄えるのです」

那尊「土地は丸ごと弊社の私有地となりますので、たとえば道路のようなインフラの整備費用は弊社の負担となります」

那尊「その他、一般的には自治体が負担しなければならない費用の大半を弊社が賄います。大きな私有地を開発するとはそういう話です」

那尊「野山が街となり、人が集まり、商業活動が起こり、税金収入につながる。自治体が受ける恩恵は計り知れないでしょう。地方が栄えるのです」

「なるほど。街を作るのは地方の活性化になるというわけですか」「すごいすごーい。社会貢献ってやつだね」

那尊「というのは計画がすべて首尾よくいった場合の話です。事業として失敗すれば、むしろ地域のお荷物となってしまうかもしれませんね」

那尊「しかし少なくとも、本来は自治体が負担しなければならない費用の大部分を弊社が持つことだけはお約束いたします」

那尊「これをもって自治体と交渉すれば何らかの優遇措置を受けられるのではないかと……あ、これはこの場では言わない方がいいですね」

「ああ?なんだってんだ」「駆け引きはもう始まってるってこと?」「その自治体がどこか、というのも伏せるべき情報なのでしょうね」

那尊「街をどの地域に作るのかというのは、候補ならいくつかは挙がっていますが、まだ確定していませんよ」

那尊「候補地は後日、公表いたします。当該候補地の自治体から誘致したいというお話が寄せられたなら優先交渉しましょう」

「案外考えてんだな。前はあんな雑な説明で逃げるように話を打ち切ったから考えなしかと思ってたぜ」「正直私もです」「だよねー」

「でもよ、結局どうやって男を排除するんだ?優遇しないだけとか、レディースデーとか言ってたけど本当にできるのかい?合法的によ」

「そうでした、すっかり忘れていました。本日はその議論による世間の分断を治めるためということですので、どうかご説明をお願いします」

那尊「街に入る男性から法外な料金をいただきます。法外と言っても、どれほどの料金設定であろうとも合法なのですが」

那尊「入場料が高すぎて払えない、だから入れないという状況にするのです。無論、女性は無料です」

「ほーん、たしかにレディースデーとやってることは一緒だな。めちゃくちゃに極端だけどよ」「女の子は無料!やったー!」

「それで排除できるのでしょうか?というか、払えないのが分かっているほどの高額を設定するなんて本当に合法なのでしょうか?」

那尊「はい。少なくともこれを禁止する法律は陰上に存在しません。所定の料金を払っていない者が入場する方が違法となります」

那尊「料金に上限を設ける法律はなく、事業者の自由なのです。厳密には寡占事業者などに課される規制あるのですが、この場合は無関係です」

「あの、法律にはあまり詳しくはないのですが、普通ではあり得ないほど巨額の請求は無効にできるという話を聞いたような」

那尊「それは契約した後の話ですね。平常な金額をよそおって契約を結び、巨額をだまし取る詐欺行為でしょう」

那尊「ここで指す契約とは入場料を払うことです。料金が巨額なので払えない、つまりそもそも契約できないので無効もなにもないのです」

那尊「また、平常な金額を装いません。錯誤が起こらないよう明確に料金を表示、周知いたします。悪徳商法を行なうつもりはございません」

「てゆか普通に男の人は入ったらダメ!ってやったらダメなの?そういうお店あるよね」「男子禁制をうたうカフェなどですね」

那尊「ええ、実は男性を排除するには特異な料金体系になどせずとも、それでよいのです」「いいのかよ」

那尊「公営施設であれば男性差別として許されません。憲法で性差別は禁じられており、公人には憲法を遵守する義務がありますので」

那尊「けれど私人にその義務はありません。男子禁制を明示している私有地に男性が入ってきた場合、領侵罪などを根拠に逮捕できます」

「男ってだけで入ったら即逮捕かよ。おっかねえな」「分かっていて入るのが悪いでしょう」「じゃあやっぱそれでよくない?」

那尊「逆に、男性も入ってよくない?と私は思うのです。街に男性を入れるメリットもあるのではないかと」

「すまねえ、もっかい言ってくれ」「男の人、入れちゃうの?」「女性だけの街ではなかったのですか?それでは存在価値が失われると思いますが」

那尊「入れると言っても無制限にではありません。入場料金を払った男性なら入れてもよいのではないかと。それはもう立派なお客様、男性客です」

「でも先ほど、払えないほど法外な料金設定にすると仰っていましたが」「矛盾してるぜ」「もしかして、払う人もいるかもってこと?」

那尊「その通りです。高い料金でも払う人はごくわずかに存在するかもしれません。なにせ、中には数多のアイドルが暮らしているのですから」

那尊「乙女の花園、聖域です。そこに足を踏み入れられるなら、大きな代価を支払ってもよいと考える男性もいるのではないでしょうか」

「えぇ……?なんだかドキドキしてくる話ですね。ムフフ」「エ、エロか?エロいことができるのか!?」「ちょっと男子!」

那尊「いえ、別に公序良俗に反するような行為を認めるわけではありません。アイドルたちの名に傷がつくのは許しません」

那尊「しかし女性だけの空間に男性を入れるだけで大金を稼げるなら、これ以上に効率のよい稼ぎ方はめったにないでしょう」

那尊「もちろんその収入のうちいくらかは、街の運営に充てられます。すなわちその分だけ、街が充実していくのです」

那尊「繰り返しますが、街には数多くのアイドルが暮らし、活動する予定です。道を歩くだけでアイドルとすれ違うのが日常となるくらいに」

那尊「深夜には私服でコンビニにスイーツでも買いにいく場合もあるでしょう。休日の昼下がりには公園で和やかに過ごしているかもしれません」

那尊「男性は基本、排除されています。ごくまれに見かける男性客は多額のお金を支払ったということになります」

那尊「もしかすると、物珍しさからアイドルに声をかけられたり、それだけのお金持ちなら特別に親しい間柄になったり……」

「それ、お色気アニメで見た設定だ。女子校に冴えねえ男子が一人だけ転校してきて」「もう!やめてよ!」

「あの……私も男性として魅力を感じてしまう部分があるのですが、はっきり言ってそれは性の商品化、性接待、性的搾取ではないですか?」

「だって女性性を利用して儲けるのですよね?街の運営側という強い立場から、そこに暮らす弱い立場である女性に接待を強要。女性差別ですよ」

「排除は男差別っつっといて女も差別だなんて矛盾してねーか?」「男性差別と女性差別は二律背反ではありませんよ。同時に成立し得るのです」

那尊「強要しません。むしろ強要は厳しく取り締まります。もう一度言いますが、アイドルの名に傷がつく行ないは許容しないのです」

那尊「特定の男性とのみ親密になるのは、他の男性ファンに対する裏切りと受け止められかねません」

那尊「それはすでにメラーエンタテインメントに所属しているアイドルも同じです。今現在で強要しておらず、今後も強要しません」

「でもさっき言ってたじゃねーか。入ってきた男と仲良くなるかもって。まさか強要なしで現実にそんなこと起きると思ってんのか?アニメ脳か?」

那尊「可能性はあります。たとえば引退を考えているアイドルなら最後にお金持ちの男性を射止めるというのは人生の重大な選択となるでしょう」

那尊「言うまでもなく、弊社はファンと恋愛をしたアイドルとの契約を打ち切ります。自らのアイドルとしての価値を貶める行為なので」

「いわゆる恋愛禁止条項というものですよね。今この場で俎上に載せる話題ではないのかもしれませんが、あれは合法なのでしょうか?」

「人権無視ってよく言われてるよな。アイドル以外の仕事でそんな縛りは聞いたことねえし異常だと思うぜ」「みんな恋愛くらい自由にしたいよね」

那尊「合法ですが、判例をかんがみるに絶対的な拘束力があるわけではないでしょう。人権侵害というのも当然の指摘だと感じます」

「へえ、認めるのかい」「判例って?」「恋愛をしたアイドルが事務所に訴えられてアイドルが勝訴した裁判があるのです。まあ敗訴もありますが」

那尊「弊社は訴えません。毎月更新のマネジメント契約を更新せず打ち切るだけです。それ以上はマネジメントしても儲かりませんから」

那尊「お三方ともタレントなのでご存知でしょうが、アイドルを含む大抵のタレントは自営業、つまり個人事業主です。雇用の社員ではありません」

那尊「事務所とタレントは対等であり契約で業務を委託、受託する間柄にすぎません。一方的に業務の遂行を命令できる労使関係とは別です」

那尊「ならばその時の都合によって契約を更新しないのも自由でしょう。契約の自由は原則です」

那尊「相手のことがなんだか気に入らないから契約をやめる、というのも自由なのです。それこそ縛られてはいけません」

那尊「弊社との契約が切れたアイドルは、言うまでもありませんが街から出ていってもらいます。街の中の住居も弊社の不動産なので」

「メラーさんは建築や住宅販売もやってますからね」「アイドルのおうちは賃貸ってこと?」「運営の気分次第で追い出されるのかよ」

那尊「もちろんアイドル以外もです。ルールを守っていただき、街に住む資質があると判断できる女性はいきなり追い出したりしませんよ」

「契約を切るのは分かったけど訴えないってのは信用できねえな。あんたさっきから儲け儲け言ってるだろ。勝てそうなら訴えるんじゃねえか?」

那尊「訴えないという保証がないのでそう感じられてしまうのは仕方ありません。だからこそ今この場で訴えないと宣言しているのです」

那尊「そういった案件でアイドルを訴えても相場から言えば賠償金は数百万炎、どれほど高く見積もってもせいぜい数千万炎にしかなりません」

那尊「訴えないと宣言しておきながら訴えるとなれば弊社の信用は落ち、アイドルは男性客に近付くことすらなくなってしまうでしょう」

那尊「そうすればアイドルとの触れ合いに夢を見て高い料金を払ってまで来てくれる男性客もいなくなり、結局損をするのはこちら側です」

那尊「目先の数千万炎を得るために将来の数多の上客を遠ざけ、事業全体の信用をも捨てるというのは、ビジネスとして下策ではないですか」

「そもアイドルがそれだけお金を持っていなければ賠償金を取れませんしね」「知ってる。外国の口座に移しとけばいいんでしょ?陽下とか」

那尊「信用は失いやすく得がたいのです。充分な見返りが期待できないのに信用を失うような振る舞いをするわけにはいけません」

「でもあんた、初っ端でそれをやっちまったよな」「え、まさか……前回の要領を得ない説明は、わざとだったのですか?」

那尊「どうでしょうね。さて、話は変わりますが、他にも入ってくる男性がいるのを説明せねばなりません」「あー、なんかごまかした」

「なんだそりゃ。男入りまくりじゃねえか。何が女だけの街だよ」「言い方から察するに、その男性は客ではないのですね?」

那尊「ええ、お客ではありませんが、あまり問題視する存在でもありません。お仕事をするためにやってくるのです」

那尊「街を作るとなると当然いくつもの建造物を建築します。それらはすべて関連する法律にのっとっていなければなりません」

那尊「道路、水道、電気、ガスなどのインフラもです。あらゆる物が法律を守っていると確認し、定期検査する必要があるのです」

那尊「それをするのは自治体側の仕事です。公的に認められなければならないので、私企業である弊社だけではできません」

那尊「要は自治体が派遣した作業員が入ってくるというわけです。それは役所に在籍している場合もあれば、外部業者の場合もあるでしょう」

那尊「その方たちが男性か女性かなど、弊社に決める権利はありません。女性だけの街なので女性作業員を派遣しろなどとは言えないのです」

那尊「もちろんお仕事でいらっしゃるのですから、それと無関係な行為はなされず、済めば速やかにお帰りいただけるでしょう」

那尊「それ以外でも病院、警察、消防、図書館などの社会インフラの従事者には男性が混ざるはずで、しかも街に常駐する場合があります」

「地方公務員ですね。それもやはり民間企業であるメラーさんにはどうしようもない、と」「案外いっぱい男の人が入るんだね」

那尊「とはいえ、その方々には街の中の住居を提供するわけではありません。公務のために街の外から来て、終われば外に帰るのです」

那尊「また、防犯上の事情から一般の街よりたくさんの監視カメラを設置する予定なのでご安心いただけると思います」

「その言い方だとまるで男を犯罪者として疑ってるようじゃねえか。ざけんなよ」「そうやってすぐキレるとこが疑われてるんでしょ」「ああ!?」

「まあまあ落ち着いてください。と言いたいところですが、私も引っかかるものを感じます。男性はそんなにも疑われなければなりませんか?」

那尊「メラーはそれを疑う義務を背負うはずです。街の運営責任者として、おそらく住民から強く求められるので」

那尊「世の中には本当に男性を犯罪者予備軍などと呼ぶ人もいるのです。その人たちに安寧を提供するために防犯カメラを多く設置するのです」

那尊「これはそう思っている女性が数多く移り住んでくるのが想定されるから、というだけの話です」

那尊「たとえば逆に、男性を疑う必要はないと住民の大半が言えば、監視カメラは減らせるでしょう。弊社も無駄なコストは避けたいですし」

「住民を安心させるため、街の運営側は仕方なく男性を疑ってかかるということですね」「ほら、ちゃんと理由があるんじゃん」「うるせえ」

那尊「まあ別の理由によって、防犯用ではないカメラも多く必要になるのですが。それはまた別の機会にご説明します」

「そういえば女だけの街って言ってるけどよ、あんたんとこの私有地なんだろ?そこに警察署や消防署を置くのかい?」

那尊「可能であれば治安維持や防災のために街の中へ、小さな派出所や出張所のようなものでも新設していただきたいですね」

那尊「しかし現行法では、私有地内だと動きが制限されるはずです。設立されたとしても力を存分に発揮できないかもしれません」

那尊「地元自治体との交渉次第ですが、まずは街の周りに併設というのが現実的な落とし所になりそうだと考えています」

那尊「警察には日常的に街の中のパトロールを、消防には災害時に街の中へ出動してもらいたいのです。遊園地なども一般にはそうなっています」


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