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15話:ポスト1401-1500

この作品はXへのポストのまとめです。https://x.com/hyogen_tokku

一般的な小説の書き方を大きく逸脱しているため、可読性が著しく劣ることにご注意ください。

メラーはさらに、少数だが既に街から出ていった元VI演者と連絡を取り、契約を持ちかける。彼女らも快諾して活動を再開した。

早々の引退に落胆し、諦めていたファンたちはこの事態に歓喜している。祝福のために多額の投げ銭が飛び交ったのは言うまでもない。

「VIなんてモデルの他は機材とネットと配信プラットフォームさえあればどこでもできるもんな。街じゃなくてもいい」

「だったら逆になんで街はVIに力入れてるんだよ」「一応はアイドルだからでしょ。VIもグッズや投げ銭でかなり利益出てそうだし」

「でも今まで街のVIってなぜかあまり注目されてこなかったよね。世間の大抵のよりも圧倒的に人気があるのに」

「現実のアイドルと比べてやれる活動の幅が狭いからな。人気があるって言っても単に街自体の人気にあやかってるだけだし」

「歌ったり踊ったりするわけじゃなく皮被って喋ってるだけの存在をアイドルって呼ぶのは違和感ある」「またアイドルの定義の議論すんの?」

「人に好かれる才能さえあればアイドルだって那尊さんも言ってた」「那尊は結局儲かれば何でもいいだけだろ」

「リアルでアイドル活動しながらネットでVI活動するのって可能なのかな?」「やってる住民いるよ。運営は禁止してないし本人も公言してる」

「有名人がVIをやるのはありがちだしな。あれもリアルでの人気を利用してる。いまどき知名度ゼロの素人が後ろ盾もなくVIを始めても失敗する」

「公言してなくても中の人が特定されてるVIは結構多いんだけどね。住民は個人情報の多くを世界中に公開されてる状態だから」

「街を出た後もモデル使わせてもらって続けられるってのは、特殊なことなの?普通はそういう契約になってないの?」

「大して特殊でもないんじゃねーかな。結局どの時点で契約が切れるか。今まで街を出る時点で切れてたのが、そうじゃなくなっただけ」

「演者と企業の契約が続いてたらモデル使って活動していいってのは当たり前だしな」「なら特に驚くような利点じゃないんじゃん」

「世間一般のVIに対する利点というより街の中の普通の住民、特にリアルアイドルに対する利点だろうね。街を出ても引退にならない特権を得た」

「街に移住して知名度上げてVI始めてから街出て活動続ければ一生食っていけるのが確定する。本人にしてみれば素晴らしいシステム」

「なんか街を金のために利用してるって感じで嫌だな」「街も住民を利用してるんだからお互い様じゃん。ビジネスとしてウィンウィンの関係」

「つーか街以外のVI演者も普通にそうやってるしな。企業のマネジメントでデビューして人気出たら契約切って個人に転向」

「でもそれって別キャラだよね。元のキャラは企業のものだから一旦卒業して、自分で用意した新キャラでデビューって形にせざるを得ない」

「ああいう人らってなんで個人に転向するの?ずっと企業にマネジメントしてもらって同じキャラで活動し続けたらよくない?」

「企業だって利益を求める必要があるから、演者に色々と強制しないといけないんだよ。配信時間のノルマとかスポンサー案件とか」

「それに嫌気が差して引退して、でも人気や配信のノウハウはあるから企業に面倒見てもらわなくても個人勢でやっていけるってわけね」

「メラーは強制なんてないもんな。ルールさえ守ってればあとは全部自由だし、演者が企画考えたらメラーは大抵全力で実現してくれる」

「街を出た後もそれをしてくれるなら、やっぱり結構すごいのかも。儲けのための強制はしないのに演者の願いは聞き入れてくれるって」

「人気さえあればグッズや投げ銭だけで充分な収益になるからだろ。長期的にはイメージが重要だから強制するわけにいかないってだけ」

「街のおかげで人気が保証されてる上に、企業勢と個人勢のいいとこ取り。結局これで割りを食うのは街以外のVIだろう」

「街以外でリアルのアイドルをやるのもバーチャルのアイドルをやるのも、アホらしくなるかもね。あらゆる点で街の方にメリットがある」

「しかし、なにもかもアイドルアイドルでワンパターンすぎていい加減飽きてきたよ。街は他に面白いものないのかよ」

アイドルによって街は常にちまたの興味関心を惹いている。次々と新たなサービスが打ち出されるため、話題性に事欠かない。

だがアイドル関連ばかりでは、いつか飽きられてしまう。新サービスでも、同じ方向性ならマンネリ化を避けがたいのだ。

数多の人々に注目されているからこそ、別の方向性が必要となる。が、今までの路線の延長に期待する声を切り捨てるわけにもいかない。

単純に住民の数を増やすことで、今までの路線を延長しつつさらに別路線を追加していけばよいのだ。

街の開業からまだ1年も経っていないが、移住してきた住民のうち少数はすでに契約が切れて外へ帰っている。

男性ファンに対して親密に接してクビになった先のアイドルばかり目立つが、それ以外はすべて自己都合が理由である。

異質な環境のため、出て行きたくなるのも仕方がないだろう。女性だけの街のイメージと現実が違っていたからという者もいる。

メラーはメンタルケアに力を入れているが、それだけで解決しきれる問題ではない。出ていった住民を補充する必要もある。

しかし欠員が出たそばから焦って補充するわけでもない。ふさわしい人材を丹念に見極めればよい。移住応募者は掃いて捨てるほどいるのだから。

開業一周年記念に合わせて街の稼働範囲を拡大する。今までは全体の半分の面積だけだったが、これを全域に増やす。街の開発が完了したのだ。

面積に見合う人材を移住させなければならない。ただしアイドル向きの人材は意図して割合を抑えてある。

すなわち、容姿など他人から好まれやすい魅力は重視しない。それより求めているのは多様なスキルである。新展開には必要不可欠なのだ。

実は今まで、あまりにも容姿に優れた者ばかりが住んでいたので容姿差別だとそしる声があった。少しはその対策にもなるだろう。

街は広大な山野に囲まれており、はるか遠くまでメラーが所有している。街の観光資源はアイドル関連ばかりで、他の要素は乏しい。

今度は土地を切り拓き、新たな観光施設を生み出そうというのだ。ただし作業の一部は業務として住民にもやらせる。

住民が急増するまで手を付けなかったのはこのためである。最低限のスキルとマンパワーが確保できねばならない。

観光資源とする施設は、配信視聴者の意見も参考にしながら住民に選ばせた。メラーの独断ではなく、住民の意見を尊重するのが大切なのだ。

それぞれの施設の建設に率先して関わりたいという住民を募る。特に人数制限はなく、ひとりで複数施設に関わるのも許容する。

施設ごとに担当者が決まれば、建設する場所、規模、運用方法など大まかに想定させる。素人なのでまったくの的外れでも構わない。

案が固まればメラーの抱える専門家が手直しした上で実効性のある計画として具体化し、行政の許可を取って建設を進めていく。

「いいのか、こんな雑な感じで」「きっと那尊さんにしてみれば住民の自主性を重視してるってことなんだろう」

「配信見た限りでは採算性とか全然考えられてない。まるで文化祭の出し物でも決めるかのように簡単に決めてた」

「文化祭の模擬店は赤字出したらクラス全員で負担とか当たり前だけどね」「あれ営利禁止だから逆に黒字でも学校に収めないといけないんだよな」

「前から思ってたけどちゃんと視聴者の意見も取り入れていくのいいよね」「それは強固な信者作るための儀式だよ。俺が育てたって気分にさせる」

「素人考えがベースなのはあまりにも危うい気がする」「まあプロが全部確認してるしメラーの土地でメラーの関係企業がやるんだから大丈夫だろ」

「自分たちの土地だからって好き勝手に山を切り崩せるわけではありませんよ。鉱毒とか採岩権とか林木法とか自治体との開発協議……」

「そういった問題はちゃんと手続き踏んでコストかければクリアできるよ」「いや、最終的に地元が許可しないとどうにもならない部分がある」

「問題を全部クリアできたとして、メラーが工事して完成?何年かかるんだろう」「メラーがやるのは途中までなんだって。最後の方は住民がやる」

「プロがほとんどやってくれるとはいえ、素人が入って大丈夫なの?」「すでに必要な資格取得のための講座も始まっているようですね」

「住民は受講するだけで業務として金もらえるんだろ。羨ましい」「個人配信のネタにもなって投げ銭でさらに儲かるしな」

「キャンプ場なんかは自然をほぼ残すから工事の資格持ってれば個人でも作れる程度の仕事量だったりする。そういうとこは住民がほとんどやる」

「田畑も作るんだよな。重機使えるなら開墾も個人でできる」「女性だけの街の農作物って高く売れそう」「もう完全に街の外だけどね」

「なんでそんなに住民に関わらせたがるんだ?全部プロにやらせとけよ」「そりゃやっぱビジネスだろ。アイドルが作った施設なら人気が出る」

「その割に新しく入ってきた住民はアイドルと呼ぶにはちょっと容姿が……」「まあ平凡だよね」「は?不細工ばっかだろ」「訴えられるぞ」

「みんな他人をとやかく言えるほど自分の顔に自信あるの?」「ルッキズムは人として最悪の差別的価値観ですよ。人間性を疑います」

「応援できるかどうかだよ。見た目が悪い奴なんて応援したくない。人としてっていうならこの感情こそ人として当然。不細工を応援できるか」

「もうやめろ。胸糞悪い」「とはいえ収益を考えるなら可愛い子を入れる方が正解だよね。アイドル業界ってそんなもんだよね」

「見た目に優れた住民が消えたわけじゃないし、今でも外よりは圧倒的にその割合が高いんだから別にいいでしょ」

「俺はメラーがアイドルに力入れるのをやめるんじゃないかと危惧してんだが」「人気コンテンツが方針転換した途端に廃れるってよくあるもんな」

「さすがにここまで成功してるのを一周年って理由だけでやめるわけがない」「成功する保証のない新しいことに手を出す理由もねーじゃん」

「それを言ったら街を始めた理由すらなくなるよ」「軽々しく安定を求めて受けに回らないのがメラーの長所。商売の勘所を心得てる」

「アイドルに飽きて他のこと要求する奴もいればずっとアイドルばっかやれって要求する奴もいるんだからメラーも大変だな」

「キャンプ場作るのも田畑作るのも木の伐採。これも住民にやらせるらしい。でも林業ってかなり死亡率高いんだよな」「え、大丈夫なのか?」

「那尊のことだから死んだら死んだでエンタメになるとか考えてるんじゃないか」「不謹慎すぎだろ。でも那尊さんならありそうで怖い」

「みんなの那尊に対するイメージどうなってんの」「金の亡者」「商売の魔物」「嘘つきババア」「不正やってそう」「お前ら本当に訴えられるぞ」

「那尊さん悪く言われがちだけど普通にいい人じゃね?他人を騙す嘘はついたことないでしょ」「同感。常識外れだけど気前がいいしクリーンだね」

メラーが観光資源の新設のために必要とするあらゆる認可を、行政は最低限の手続きのみで速やかに出した。些事だが、異例の早さである。

すべての住民との間で毎月1000万炎もの大金を往復させるのが効いていた。そのせいで無駄に多額の税金を取られているようだが実は意味がある。

財源の乏しい過疎地の自治体にとって無視できない税収なのだ。街はそれ以外でもあらゆる経済活動で地域に大きな利潤をもたらしている。

ここに来てさらに有力な観光資源が増えようとしているのだから、自治体が前向きになるのは必然である。

もともと街を作る以前の候補地選びの段階で、これについて那尊から関係自治体の長に話が通っていた。

狭凪は進んで乗ってくる自治体などないと高をくくっていたが実際のところ、この話を受けて目の色を変えた首長は多い。

とはいえ不正な献金のようなものではなく、あくまでも法に従ったやり方で莫大な税金を収めるというだけにすぎない。

施設への認可についても、メラー側の手抜かりがあれば行政が法に背いてまで出す必要はないと、那尊はあらかじめ断りを入れている。

これまでの街の成功も、自治体の全面協力があったのが大きい。地域住民の説得や街へのアクセスの整備など陰で支えられていた。

人手に余裕のない地方自治体にもかかわらず、人員を多めに割いて最速の手続きが可能となっているのもその一環である。

また、国も同様に協力的なのだ。元々メラーは国家経済に多大な恩恵を与えているが、女性だけの街のおかげでそれがさらに増大している。

業務委託の報酬や家賃による住民追放は脱法まがいで、本来は省庁が適法との判断を個別の事業に開業前の時点で直接出すこと自体あり得ない。

それもこれも那尊の人脈や周到な根回し、1000万炎による合法的な利益供与が引き出したひいきのおかげと言えるだろう。

法律を捻じ曲げるのは困難だが、法律内で行政の運用を捻じ曲げさせるのはたやすい。那尊は潤沢な財力を背景としてそれを迫るのに躊躇がない。

行政手続きの済んだ施設ではそれぞれ迅速に工事が進められていたが、どれも完成よりかなり手前で工事が止まってしまった。

当惑する住民や世間を尻目に、観光施設の設備改善システム導入をメラーはアナウンスする。内容はライブ会場とほぼ同様である。

ただし改善案を実現させるための工事や機材の設営について、メラーは最低限しか人手を出さない。基本は住民がやらねばならないのだという。

観光客はそれを手助けする権利を与えられる。つまり実際の作業の大部分は観光客が行ない、住民は指示を出す程度となるのが予想される。

観光客が指示に従う義務を負うわけではないが、権利を与えられ住民に請われれば、大抵は言われるがままにそうするだろう。

当初の計画どおりの物を完成させるまでに必要な残りの資材や重機は準備されている。当面はそれを使って作業し、完成させろというのだろう。

特殊な資格が必要な作業はそれを取得している住民が行なうが、観光客ができるなら料金を取った上でやらせる。

施設ごとに利益が資金プールとなり、住民は改善を提案し、メラーが見積もりを出し、住民と客の投票で案に資金が分配され、順次可決してゆく。

しかし可決した案も必要な物がメラーから与えられるだけであり、それを設備するのもやはり住民と客の作業なのだ。

施設の保守管理も同様、住民と客である。あまりにも奇妙なやり方に、さらに困惑の声が上がる。

「ここでも設備改善システム来たか」「施設作るのも今後の改善もメラーがメインでやるのかと思ってたけどほとんど丸投げかよ」

「とりあえず最初の計画どおりに完成させてその間に改善案を固めていくわけね」「未完成の観光施設なんて客来ないから改善資金稼げなくない?」

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