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12話:ポスト1101-1200

この作品はXへのポストのまとめです。https://x.com/hyogen_tokku

一般的な小説の書き方を大きく逸脱しているため、可読性が著しく劣ることにご注意ください。

「てか欲しい物リストの設定は制限がないんでしょ?メラーの提示商品を住民が全部設定すればファンは全部割引で買えるんじゃない?」

「だろうね。でも割引が適用される個数はアカウントごと、商品ごとに限られてる。あと転売防止で個包装にまでアカウントIDが印字される」

「欲しくない商品まで設定したら欲しい商品が視聴者に分からなくなって住民自身が損するんじゃね?まあ口で説明すればいいだけだけど」

人気の高いアイドルと商品の組み合わせがあれば、商品にアイドルの写真をプリントして一般にも売り出す。いわゆるコラボレーション商品である。

ひと手間だけでアイドル人気により売れ行きが伸びるのだから活用しない手はない。街のアイドルはアイドル市場以外でもシェアを奪い始めた。

さらにアイドルグッズの完全新作としてアイドル自身に企画させ商品開発を行なう。これもアンケートでファンの意見を参考にする。

一般的なアイドルグッズとは違い、開発可能な品目は幅広い。メラーはグループ全体で多業種、多産業にまたがっているのでそれが可能なのだ。

ただしこれはメラーとしての利益が最優先である。予算や価格設定など厳しく制限した上で、本来の開発現場の都合がつかなければならない。

物によっては特殊な製造工程や材料が必要になるため足が出てしまうのだ。需要やリピート率など客側の視点も考慮する必要がある。

だが、現場の専門家が細かく監修してアイドルの案をあまり頭ごなしに否定するのは、メラー全体のイメージダウンにつながるので悪手だろう。

そこで、商品ごとの大まかな収支や事前の見積もりを開示する。あくまでも専門知識のない素人向けなので、詳細な情報は不要である。

それを見れば開発や製造、流通にどれだけのコストがかかり、何個売れれば黒字に転換できるのか、あらかた分かるようになっている。

商品として少々不出来でも、儲かれば許容されるのだ。ファンにしてみればそのアイドル特有のおもむきとして受け入れられもする。

実績豊富なアイドルほど大きな予算が認められやすい。ただし元々の人気が高いアイドルは話題性重視で莫大な予算が与えられる場合もある。

実績や人気が乏しい者も、他のアイドルとの共同企画という形にすればその点で優遇される。もっとも、利益は折半となるが。

最初から知名度が充分なため公式サイト上ですら宣伝しない。その方がコスト節約になり、条件も平等に近づく。

ファンの人数、配信の接続数、動画の再生数、投げ銭の合計額などアイドルの人気を表す指標として、新たにグッズの収支が加わったのだ。

アイドルとはある意味でファンの競争でもある。ファンはしばしば自分のお気に入りのアイドルを他のアイドルより人気者ということにしたがる。

そのためには客観的に人気を表す数値が高い方が望ましく、みずからが数値に貢献できるなら時間や労力、金銭の消耗も厭わない。

食料、日用品、衣類など身近なものから高額な家電、スポーツ用品、果ては自動車や住宅にいたるまであらゆる物がアイドルの案で作られていった。

それらはネット通販でも購入できるが、実店舗でも売られ始めた。女性だけの街のアイドルグッズだけを取り扱った総合スーパーが全国に作られる。

「ついにアイドル専門スーパーなんてもんができたのか。そろそろ理解不能だわ」「要はアイドルの写真とか入った商品ばっかり売ってる店」

「そんなの普段使いできないじゃん。買う意味ないじゃん」「観賞用でしょ」「普段使いできるようにオシャレなロゴや模様だけってのも多いよ」

「小売が自分たちで作った商品を自分たちの店で売るのって一般的?」「プライベートブランドというやつですね。割とよくありますよ」

「PBしか置かないスーパーなんてメラー以外は無理だけどな。普通の店は品揃えよくするために色んなメーカーの商品置く。じゃないと客来ない」

「メラーマーケットはなんでそれができてんの?」「色んな品目の色んなバリエーションの商品作れるマンモス企業だから」

「しかもMMは全部PBにして中間業者にかかるコスト削減できるからなんでも値段が安い。引っ越す時はMMの近所の物件を最優先で探す人も多い」

「大抵の産業分野は成熟するにつれて製造と卸売と小売が分業化していくんだけどな。メラーは強引に自分のグループ内でまとめてる」

「それ利点ある?みんな分業してんのはその方が効率的だからでは?」「物流の一本化は利点あるけど品数や店舗数が増えると難度も急増するから」

「工場が売り上げをリアルタイムで把握して生産できるし店舗間で融通し合える在庫が多いから、需要に応えやすく売れ残りのリスクも軽減できる」

「商品パッケージの規格を統一して店ではそれに合わせた特別な陳列棚使ってるから見栄えがいいし品出し作業もスムーズで人件費削減になってる」

「品出し自体が少ないんだよ。機械が棚に詰め込んで懸垂式レールで店頭の棚と入れ替える。店員は安全のために見守るだけ。在庫管理費も少ない」

「専用アプリ使えばどこに何の商品が残り何個あるのかリアルタイムで客も把握できるから店員に聞く必要ないし混雑も少ないし買い物がすぐ済む」

「生鮮食品や惣菜の調理と品出しまで自動化しまくってるから、店員はむしろ機械のメンテと検査が主な仕事らしい」

「メラーのパッケージって大抵は一色の無地に小さく商品名、商品の絵、原材料、成分表が載ってるだけだよね。シンプルすぎない?」

「メラー自体がブランドとして強くて商品の魅力とかいちいちアピールする必要がないからな。テレビCMもほとんど見かけないだろ」

「品目と賞味期限でパッケージの色を変えて色ごとに一律で割引してるからパッと見で分かるのはありがたいわ。赤箱の菓子は今日2割引になってた」

「アカウントIDの下1桁が5だと今週は青地に三角マークの商品のうち1点だけ半額にできるとかね。チラシ刷るより低コストで販促効果あるらしい」

「物流においては小売店舗以前の段階でも規格の統一と自動化が徹底されてる。メラーのトラックは商品の積み下ろしが楽だし早いから低コスト」

「他の業者だと10トントラックのドライバーが数時間がかりで手積み手降ろしさせられてたりする。しかも本来の仕事の契約外。要は強制労働」

「目的地に到着しても前のトラックが作業やってるせいで待たされるのもめずらしくない。メラーなら機械にやらせて数分で終わるのに」

「他の業者も同じようにやればいいじゃん」「機械による自動化ってめっちゃ金かかるから。時給1200炎で人にやらせた方が圧倒的に安く済む」

「じゃあ自動化してるメラーって大赤字なのでは?」「最初だけね。グループがデカくて信用あるからそのうち回収できる」

「MMの自動化は黒字化まで相当早いはず。品出し店員の人件費は支出のかなりの割合占めてるから、それを大きく削減できるのは強い」

「普通は少し儲かっても経営者が私腹を肥やして終わり。メラーは儲けで次々と設備投資して自前の技術によるサービス向上で客に還元していく」

「あと途上国で大量の一次産業従事者と一括契約して原材料から作ったりしてるんだよな」「現地の雇用とか問題起きないのかよ」

「外交ルートすっ飛ばして他国政府に直談判して影響与えられる唯一の陰上企業だから。小国に匹敵する規模の経済力持ってるし」

「でも新しく作られたメラーアイドルマーケットって安くないんだよね。ファン向けのアイドル関連商品だから高いんだよね」

「MMでもMAMの商品をちょっとは置くらしい」「そこで新規層を開拓するっつーわけか」「多角経営だから可能なやり方だよな」

「でもアイドル企画商品のほとんどは公式サイトで買えるんだろ?新たにスーパーなんて建てる必要ない」

「実店舗で実物見てから買った方がいいと思うよ。普通の商品だと思ったら変な仕様になってて後悔する場合も多いから」

「信者向けなんだから関係ねえよ。教祖様を勝たせるためならゴミだろうがあいつらは買う。新商品がリリースされたそばから我先に買う」

「他のアイドルより人気者にするのってそんなに重要かね」「自分の信じる存在が一番じゃないと許せないって感覚はまあままある」

「家買った奴もいるけど素人設計で怖くないのか」「一応プロも監修してる」「激的フロントバックはそれでドエライことになった家あるよね……」

「アイドル印がついてれば質が悪くても売れる。ボロい商売だ」「大抵の商品は低品質ってわけじゃないけどね。変な仕様もそんなに多くない」

「メラー自体が開発力高い上にあらゆる部分で効率化して低価格を実現してるから、同価格帯なら明らかに他のメーカーの物より高品質」

「でもやっぱ利益率のために高い値段設定してる商品多いみたいだよ」「安くしてファンの財布事情に優しいってことで人気伸ばすアイドルもいる」

「利益の一部は開発したアイドルのもので、それとは別に投げ銭とかでも稼いでるわけだよな。もう家賃の月1000万炎くらいは稼げてるんでは?」

「人気アイドルならそうかもな」「じゃあルール違反して毎月固定でもらえる1000が消えても自力で稼いで払えば街から追い出されないの?」

「違反し放題になるわけね。もしかして那尊はそんなに稼ぐアイドルが出てくるのを想定できてなかったんじゃねーだろうな」

「違反したら人気が減って1000稼げなくなるだろ。その上で業務を受けられなくなって毎月固定の1000も消えるんだから家賃払えなくなる」

「結局家賃の縛りは抜けられないのか」「住民へのあらゆるギャラをメラーが握ってる以上はそう簡単にいかんよね」

「なにか最近ずっとお金の話ばかりですね。アイドルというより商売人になってきてませんか?やってることがアイドルからズレてます」

「いや、住民は本来アイドルをやる義務があるわけじゃないし何しようが自由だろ。ただアイドルとして人気が出てるからそう呼ばれてるだけ」

「でもライブするって言ってたのはどうなったんだ?アイドルとしての人気だって最初はライブに向けたレッスンの業務から始まったものだよな」

ついにライブの開催が決定した。初回は街の外周付近の、収容人数が数千人のホールである。日程やメンバーなど情報が発表される。

アイドルたちの技量や曲目数が、ライブをするための最低限にようやく届いたのだ。会場限定販売のグッズも用意できている。

公式サイトでチケット販売が始まると短時間のうちに完売した。この地域、この規模のライブでは異例の早さである。

他人への譲渡や転売は認めていない。電子チケットなのでシステム上その行為は困難だが、何らかの方法で行なえばアカウントごと抹消される。

チケットを購入できるのはアカウントを持っている者に限られる。そしてファン等級の高い者はこの点において優遇を受けられる。

等級1につき1時間早くチケットの販売が始まるのだ。また、疑似通貨による引き換えなので実質は割引購入を意味する。

場所、日程、メンバー、料金などを事前に指定しておけば、条件に合致するライブチケットを自動で購入するシステムもある。

さらに、キャンセルする場合は等級に応じてキャンセル料が割り引かれる。ちなみに会場限定グッズも擬似通貨での購入である。

キャンセルになったチケットは再販売されるが、これも等級の高い者の予約購入が優先である。

また、チケットを持っていてなおかつ等級11以上の者はそのライブの当日に限り女性だけの街への入場料で割引を受けられる。

疑似通貨の割引レートは等級10までしか計算されないが、これについては20まで計算される。

ライブ関連でもそれ以外でも、便利かつ有利になるシステムが数多く導入されており、ファン等級を上げるごとに使用できるようになっていた。

街として初のライブはきわめて平凡な内容となった。アイドルたちの技量は上がってきているとはいえ、まだ素人に毛が生えた程度なのだ。

そして会場の設備はあまりにも簡素である。単刀直入にいえば粗末な作りである。街に関連する他の施設の中でここだけが異様だった。

だがファンにはそんなことは関係なく、意中のアイドルの晴れ舞台に狂喜乱舞する。ライブ自体はファンならおおむね満足できる内容となった。

グッズの売れ行きも凄まじく、大量購入する客が後を絶たない。予測されていたので多めに準備されていたが、それでも完売してしまった。

「行った人。ライブどんな感じだった?」「楽しかったよ」「いや、歌やダンスの完成度の話。ぶっちゃけみんな下手でしょ?」

「うん、まあまあかな……」「その話はやめようよ」「アイドルっていっても数ヶ月前まで一般人だった子が大半だからしゃーない」

「普通のアイドルはデビュー以前から何年も練習してるもんだ。たった数ヶ月のうちにデビューしてライブまでやるとかアイドル舐めすぎ」

「元々アイドルやってたプロとか養成所通いの練習生も混ざってるようだけどね」「その力量の差で余計に痛々しい部分もあったりなかったり」

「アイドルのレッスンは義務でもないしね。メンバー揃わない日も多々あるせいでレッスンの効率落ちてるんじゃないかな」「自由の弊害か」

「街の中では実力トップたちのライブだったんだろ?なのに評価は今ひとつってやばくねえか?」「でもライブとしては成功の部類だよ」

「むしろその程度の技量でこんなに大成功してるのが異常」「メラーに全力でお膳立てしてもらってんだから当たり前だろ」

「メラーの力が大きいとしても最初からこれなら今後まだまだ伸びる余地はある」「むしろ伸び代しかない。可能性のかたまり」

「それよりなんであのホールあんなに粗末だったの?音響とか照明とか」「音割れひどかったらしいな」「設定ミス?」「いや機材が安物なんだよ」

「舞台照明なんて5個だけしかなかった。しかも全部同じ色」「舞台のバックは映像出すスクリーンかと思ったらただの壁だったからね」

「客席に椅子もなかったしな。もう席じゃねえだろっていう。ライブハウスみたいにみんな立ってんの。でも場所は決められてる」

「壁も見た感じほとんど反射とか吸音とか考慮されてなかった。ただのコンクリ打ちっぱなし。会場の外に音漏れまくってたんじゃないかな」

「とにかく全体的に雑な会場だったよね」「なんでそんなことに?手抜き?那尊さんの考えが分からない」「末端がやらかしたんだろ」

「金の問題かもな。街の運営は案外厳しかったりして」「アイドルが未熟でライブがいまいちでも会場のせいにできるからじゃねえの。予防線だよ」

「でもファンは満足だったんだろ」「まあね。好きなアイドルのライブだし。でもやっぱり会場がいい方が体験もよくなるに決まってる」

「会場がショボいなら今後ライブ行かないってファンもいるんじゃないか」「だろうな。お気に入りのアイドルでも、ずっとこれなら限界はある」

「てかライブ以前にみんなレッスンの様子ずっと見てきてライブで何やるか全部知ってたんだろ?わざわざライブ行く必要ある?」

「ライブと練習は全然違うよ。雰囲気とか演出とか。会場がアレでも空間が広いだけでも練習とは完全に別物。全体が観客で埋め尽くされてるし」

「そういえばボランティアがライブで優遇されるって話なかったっけ?」「あいつら間近でレッスン見れるから普段も充分優遇されてるよな」

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