登場人物
■ねこサン
左手をあげた白い招き猫。
春光が6歳の時、父冬五郎と出かけた縁日の輪投げでとった招き猫。父のために願をかけていた。また、春光が家を出た後は冬五郎が春光のことを願っていた。
■猫
右手をあげた金色の招き猫。
冬五郎と春光が修行した中国で作られた招き猫。壊される運命にあったが春光が買い取る。春光が父のことや「ほっこり食堂」のことを願った。
■春光
ねこサンと猫が出逢うきっかけを作った人物。
幼い頃から父への憧れが強く常に父を目指した。ひたむきな性格、父が食堂の店主となったことをきっかけに高校卒業後家を出てフレンチを学び、一時期は父と疎遠になっていた。
■冬五郎
「ほっこり食堂」店主。
父永春の影響で中華を学ぶ。幼い頃から父の作った餃子と天津飯をこよなく愛し20歳から中国で修行、帰国後国内有数の一流ホテルのシェフを務め上た後地元で食堂を営む。幼馴染の千春と26歳で結婚、2年後28歳で長男春光が誕生。
■夏樹
次男。春光と2つ違いでよく喧嘩をしていた。明瞭活発で行動力があり、少々生意気だが実は兄に憧れて都心で流行っているフレンチの店の店長を務める。
■秋実
末っ子で兄弟達とは違い食に興味がない。いつも兄弟や両親の移りゆく姿をみて、それを残していきたいと感じ写真家へ。春光とは8つ違いで、父親のように感じつい甘えてしまう。
■千春
冬五郎の妻。幼馴染で冬五郎の夢を支えた。笑顔を絶やさず穏やかで、涙を見せない強さがある。普段は控えめだが頼れる女性でもある。
■志乃原永春
冬五郎の父。
自身の父が満州にいたことから食堂を営んでいたが、地上げなどの問題に巻き込まれ最後まで抵抗した結果土地を離れた。十分な資金もなく朱塚台へ越してきた苦労人だが、義理堅く情け深い人柄で朱塚台の最有力者である菱形家当主が永春に惚れ込み様々に世話を焼いた。
■坂田金太郎
冬五郎と千春の幼馴染で2つ上の先輩。
有力な地主一家の一人息子。変わり者の家系で商店街では何故かなんでも屋を営む。菱形一族とは因縁のある関係、金太郎も慶次と仲良く連れ添うことはないが地元の問題解決には協力し合う。
■菱形慶次
この町の有力者、菱形四天王の長男で冬五郎達とも同級生。
幼少の頃千春に初恋、一途に想い続けて春光の出生にも立ち会い息子のように溺愛する。春光もまた父親のように慕っていた。千春会いたさに家賃を現金で受け取りに来る。
【補足】
■冬五郎
父は長男で永春、冬五郎は永春の末っ子で両親が高齢だったため最も可愛がられた。冬五郎の祖父は満州にいたことがあり中華料理が得意だった。永春は父に倣い小さな食堂を経営していた。
冬五郎は、19歳(満20歳)に中国で修行をするため家を出る。23歳で帰国後日本のホテルで修行、26歳で千春と結婚し、28歳の時に春光、30歳で夏樹、34歳で秋実をもうける。またこの34歳の時にシェフに就任。10年目の平成10年ほっこり食堂を開店。
■春光
15歳の時に父がほっこり食堂を開店してから反発、平成15年20歳の時にフレンチを学ぶと言って家を出る。平成20年25歳の時に、父が初めて家族をもった年齢(千春と結婚した年)26歳で跡を継ぎたいと会いに来たが父が反対。平成22年27歳から中国で父と同じ中華の修行へ出る。父がシェフになった年34歳で跡を継ぐためで、33歳の平成28年に帰国するはずが延期、平成29年も中国と日本を行き来しながら修行をした。翌平成30年、やっとめどが付いて帰国するが……。
■ねこサン
平成元年、春光達の住む街の秋の祭りの縁日で6歳の春光と出逢いもらわれる。以来春光の家のリビングに飾られていた。ねこサンは春光からことのほか大切にされていたが、平成10年のほっこり食堂開店から春光がふさぎ込むようになり寂しがっていた。そして、平成15年春光の家出をきっかけにほっこり食堂へ置かれるようになる。春光と出逢って14年目だった。また、平成29年2月には、春光が連れて来た猫と出逢い、以降隣に並ぶようになった。
■猫
平成10年、冬五郎が修行していた老舗料理店王氏の友人が日本へ行った時、修行に来ていた若い日本人が由緒あるホテルのシェフだったと知り、帰国後早速王氏が話していた招き猫を作らせた。冬五郎の名前と幸運を謳い文句にして大量に生産したが、あっという間に流行が過ぎて売れ残りができた。その1体が猫。王氏の友人は商売好きで、右手をあげている招き猫はお金を招くというのでわざわざ貯金箱にして作らせた。売れ残った猫達は王氏の店の広い裏庭ヘ移されることになり、王氏のサイドビジネスで売られるようなったが日毎傷みの烈しい招き猫は壊されていた。
平成24年、王氏の料理店は息子が跡を継ぎ、そして、そこへ春光が修行に来た。春光はふとしたきっかけで猫を助けるべく買い取り、平成29年2月日本のほっこり食堂へ持ち帰った。