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あらすじ
ほどよく賑わう町、朱塚台。駅は急行電車も停車し商店街は華やか。住宅も多く地主が多い土地柄、最近はマンションが増え若い家族や子供達も増えた。古くからのアパートには学生や外国人といった住人も多く、駅近の富士ノ山商店街には、多くの個人店舗が軒を連ね毎日活気づいている。
この商店街の入り口角、商店街の看板とも言える場所に「ほっこり食堂」はある。本来この場所は町内や商店街の組合から厳しく規制を受ける場所だが、店主の志乃原冬五郎は気性もよく愛される人で、有名ホテルのシェフを務めたということもあり満場一致でこの場所を譲り受けたのだった。
さて、この「ほっこり食堂」には神棚の横に招き猫達が並んでいる。
向かって右の白い招き猫はここへきて15年目、向かって左の金色の招き猫はまだ2年目、少々見た目が違う。が、誰も関心を持ったりはしない。商売をする場所に招き猫がいて当然、とばかりに。
だが、この招き猫達には、ほっこり温かくせつない思い出があるのだった。