ヒーローキングダム⑤
縛りワード 窃盗団 ネオンライト 妥協
ネオンライトに包まれたデトロイトとは少し離れた郊外で、窃盗団”ツメノアカ”は今日も空き巣に入り盗みを働いていた。
コビン『ウヒョッこの屋敷は良いお宝が見つかりそうでゲスねぇ、ダービーオヤビン♪』
ダービー『グッヒッヒ!そうダビーなコビン!』
アニー『あんたら少しは声をひそめたらどうだい?塀から蹴り落とされたいのかい?』
コビン&ダービー『『す、すまねぇアニーの姉御ッ‼︎』』
アニー『今日は久々の仕事だ。妥協せず盗めるだけ盗むんだよ。あんたら』
コビン&ダービー『ハヒッ!姉御ッ!』
3日3晩張っていたので家族旅行で家を開けてると言うことは知ってる。
そんなこんなで屋敷の中に入る3人。
??『おやおや、お客さんかい』
3人『⁈⁈』
住人は留守のはずだったが、
暗い部屋の中、そこには暖炉の前でロッキングチェアでくつろぐ一人のおばぁさんがいた…。
コビン『ど、どうしよアネゴ…』
アニー『落ち着きな!相手は耄碌したばあさん1人こっそりやればバレやしないよ』
老婆『最近目が悪くてねぇ。もしかしてお隣のルイスさん家の倅かい?よく来てくれたねぇ、ゆっくりしていきな』
アニー『あ、そうなんです!ありがとうございます!(ほらね!)』
老婆『ちょうど今ビスケットをね、手作りしたんだよ。よければ食べていきなさい』
アニー『いいんですか?喜んで♡』
美味しい美味しい、と言いながら老婆からの
ビスケットを食べる3人
トイレをお借りします、といって暖炉の部屋を出てこっそり階段で2階に登り金品を漁ろうと
したその時3人の様子が急変する。
アニー『あった!こんなわかりやすいところにダブルイーグルの金貨がザックザクと…♡』
ダービー『アネゴ…オイラなんかお腹空いてビスケットが食べたくて仕方なくなってきたダビー…この金貨ビスケットみたいダビー…バクバクバクッッ‼︎』
アニー『あっ!コラなにやってるんだいあんた!金貨を食べるやつがあるかい!…あれ…私もお宝なんかどうでもよくなって、無償にビスケットを作りたくなってきた…』
コビン『オヤビン、アネゴ…俺っち…ビスケットになりたいでゲスゥ……』
老婆『効いてきたみたいだねぇ』
3人『???』
老婆『私の名はヒーロー、”ビスケットグランマ”。私のビスケットを食べた人間はビスケット以外のことは考えられなくなるのさ』
そう言ってビスケット型のリモコンのスイッチを押すと
床がガタンと開き、3人は地下へと落ちてゆく。
ビスケットグランマ『地下は核シェルター兼ビスケット工房だよ。なぁに悪くはしないよ。
お前らみたいな盗人ネズミどもがいっぱいいるから。仲良く一生ビスケットを作り続けるだけさ。ハッピーだろう?』
そういってグランマはケタケタと笑いながら暖炉のある部屋へと戻るのであった。