表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポン太郎物語  作者: 玉城まりも
5/22

5 ポン太郎とボーとしている

ぼくは世界の真実に気づいてしまったかもしれない。


それは、世界は地球で宇宙だということだ。


小さい頃、月光町で一番大きな建物である(ふく)(はた)デパートを見て、すごく大きいと思った。


でも、(ふく)(はた)デパートよりも地球の方が大きくて、そして地球よりも宇宙の方が大きい。


この前テレビで、宇宙は大きいからロケットで飛んで行っても宇宙の端にたどり着けない、といっていた。


それぐらい宇宙は大きい。


「ポンちゃんそんなにゆっくり朝ごはん食べてると学校に遅刻するわよ」

どこからかお母さんの声がした。


地球は最初小さい石だった、これもテレビでやっていた。


小さい石だった地球は長い時間をかけて地球に成長した。


成長するということは庭にある小石も水をかければ大きくなるのだろうか?


庭にある小石もいつか地球になるのだろうか?

「ポン太郎、そこオレの席だからどけ。昨日席替えしただろ」

太が声を掛けてきた。

「あぁそうだった」


席替えしたことよりもぼくはとても大切なことを考えている。


地球にはぼくも含め沢山の生き物が生きている。


水があり空気があり光があり・・・・・・・その他もろもろ。


水や空気は限りがある、と誰かがいっていたな。


ぼくは水と空気とおむすびが無ければ生きていくことができない。


もし水と空気とおむすびが無かったらぼくはすぐに死んでしまう。


水と空気とおむすびは大切である。


けれど、ぼくが大きくなったり増えたりしたら、地球の空気を吸いつくしてしまうかもしれない、水を飲み干してしまうかもしれない。


おむすびは頑張って自分で作るから大丈夫だけど。


ぼく一人で水と空気を使ってしまったら大変である。


他の人が『水と空気を寄越せ!』と怒るかもしれない。


「そこ女子トイレだよ。・・・・・だから女子トイレだっていってるでしょ!」

猫のミミがぼくの服の袖を掴んだ。


「何あんた普通に女子トイレに入ろうとしてんの!バカじゃないの!?」

ミミに怒られてしまった。


いつか宇宙も太陽も地球も寿命はくる、と『宇宙のおはなし』という本に書かれてあった。


宇宙に寿命がくるんだったら、地球にロケットをつけて逃げる。


太陽は寿命がくるとき爆発するといっていたから、たくさん水を掛ければ大丈夫。


地球に寿命がくれば宇宙船を作って新しい大地を目指す。


もし宇宙船が本当に作れるんだったらロボットの形がいいな。それで、ビームが出る剣を持って宇宙大怪獣と戦うんだ。


「山野、山野!」

「はい先生」

「教科書十八ページ、三行目から読んでみろ」

「・・・・・・つぎの計算をしてみましょう」

「・・・・・今は社会の時間だぞ」

「・・・・・・・あれ?」

給食の時間になった。


ぼくはモグモグと給食を食べる。


そういえば、生き物の始まりはなんだっけ?


たしか宇宙からやってきた、とか地球から生まれてきた、とか聞いたような気がする。


宇宙からやってきた、というのはどういうことだろうか?


宇宙人が地球にやってきてタヌキという生き物を連れてきたのだろうか?


地球から生まれてきた、というのはどういうことだろうか?


昔、地球は妊娠してタヌキのタマゴを産み出したのだろうか?それともリンゴの木みたいにタヌキの実をつけたのだろうか?


もし地球から生まれてきただったら地球をお母さんと呼ばなければならない。


「おいポン太郎、さっきから何考えてるんだよ」

太がボールを持っている。

「地球はぼくのお母さんかもしれない」

「はぁ?そんなことより昼休みにドッチボールをやろうぜ!」

ぼくは太に引っ張られ校庭に出た。


さっき地球をお母さんと呼んでしまったが、もしかしたら地球はお父さんかもしれない。


地球はとても頑丈である。前にクラスで大縄跳びをしたとき十人一斉にジャンプしたときがあり、地球はビクともしなかった。


地球と力比べをしたいと思い、鉄棒に縄跳びを巻き付けて思いきり引っ張っても地球はビクともしなくて、力比べではぼくの負けである。


大きくなって自動車の運転ができるようになったら大型トラックを使ってまた地球と力比べをしたい。

「フォーメーションAだ!今日こそポン太郎を倒せぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

「作戦変更!フォーメーションBだ!」

「おらおらおらおらおらおらおらおらおら!!!!!!!!!!」

「ダメだ、こうなったらフォーメーションXだ!!!!」

「当たれ当たれ当たれ!!!!!!」

ぼくは少し速く動いてボールを避ける。


「すげぇポン太郎のやつ・・・・・・」

「明らかにボーとしているのに、五つのボールの嵐をすごい動きで避けてやがる」

「この前猿川が『オレ一人じゃ倒すことはできない。でも、みんなで力を合わせればポン太郎を倒せる!』とかいって作戦立ててたぞ」


ぼくはひたすら考える。頭の中のモヤモヤを晴らすためにひたすら考える。


結局地球はお母さんなのかお父さんなのか、ぼくの頭では分からない。


もし地球の隣にブラックホールができたらどうしよう?


もし地球がブラックホールに飲みこまれたらどうなるんだろう?


もしかしたらぼくはぼくでなくなるかもしれない。


ぼくはタヌキではなくレッサーパンダになるかもしれない。


レッサーパンダになってもおむすび食べられるかな。


地球はどうなるんだろう?


地球は土星になるのかな?オリオン座になるのかな?いやさそり座になってるかもしれない。

音楽の授業にて。

「山野、知ってる曲をいえ」

「・・・・・・・・さそり座の女」

「渋いな!」

鬼瓦先生が驚いた。


気が付いたら放課後になっていた。


ぼくはひたすら宇宙について考える。


宇宙空間は黒色だと聞いたことがあるけど、宇宙人が墨汁をこぼしたのかな?

「ねぇ、ポン太郎。今日一日ず―――――――とボーとしてるけど何考えてんの?」

ミミが飽きれた顔でそういってきた。


「もしかしてタヌキテングタケでも食べた?」


「食べてないよ。ただ・・・・・・宇宙について考えてて・・・・・」


「あんた程度に宇宙の何がわかんのよ」


「宇宙はすごいってことがわかった」


「でも何で宇宙を考えてたの?宇宙という漢字をど忘れしてずっとモヤモヤしてるとか?」


「違うよ。宇宙っぽい名前の花があったような気がするけど何だっけ?宇宙を考えてたら思いだせるかな?って思ってた」


「・・・・・・()()()()?」


「そうだ!(こす)(もす)だ!ありがとうミミ!」


「バカじゃないの」


頭のモヤモヤがやっと取れた。


頭のモヤモヤが取れたから、今朝とは違う世界に見える!


「そりゃ夕方だからね」


校庭でカラスの子がカァカァ鳴いている。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ