究極の大魔王アルティメットアンゴルモアラグラノク
今年もなろうラジオ大賞に参加させていただきます。
いつもながら、くだらない物語となってしまいました。
オチはいつもながらのやつです。これしか書けないみたいです。
勇者は扉の前にひとり立っていた。
彼の周りには、7つの首を持つ大蛇の骸、そして血の匂い。
重騎士の石像。いや石像にしては精巧、まるで生きているような躍動感だった。
「グラント、ありがとう。
ここまでついてきてくれて…」
勇者は石像に頭を下げる。
そう、石像は勇者をかばって石化した人間だった。
そして、勇者の最後の仲間だった。
ここに来るまでに、勇者の仲間はひとり、またひとりと倒れていった。
そして、ついに勇者は一人となった。
ここに来るにはそれくらいの犠牲が必要だったのだ。
悪鬼十人衆、魔界七将軍、地獄の五本柱、魔人八門、魔女軍団四十八。
そして、この大蛇が最後の魔王四天王だったのだ。
あとは…魔王だけ…
満身創痍の勇者。いちど仕切りなおしたほうがいいのかもしれない。
しかし、勇者は引くことを全く考えていない。
扉は魔王城の最後の部屋、魔王の部屋の扉であった。
人間がここにたどり着いたのは、実に一万年ぶりのことだった。
この世界はゲームでいえば難易度高すぎの無理ゲー、クソゲーといわれるものだった。
しかし、ついに勇者はここにたどり着いた。
あと、大魔王を倒せばすべてが終わる。
しかし、言い伝えによると、それは簡単ではない。
大魔王は今も進化し続けていると言われるからだ。
大魔王は一万年前の魔王ではない。一万年分進化しているのだ。
勇者は最後のエリクサーを飲む。
そして、扉を開く。
「大魔王アルティメットアンゴルモアラグラノク。
俺は勇者エドモンドだ。
お前を退治しに来た!」
勇者は玉座に剣を向ける。
剣が向けられた玉座には、究極の進化を遂げた大魔王がいた。
長い間戦う必要のなかった身体はウサギくらいに小さくなり、鋭い爪も普段歩きにくいのか肉球の間に収納され、薄ら寒い部屋に合わせて黒いモフモフの毛におおわれ、暗いこの部屋でも自由に動き回れるようにひげを生やし、食べ物を食べやすいように牙も短くなっていた。そして、丸まって眠りやすいように柔らかい身体を持っていた。
それだけではない。
魔王は勇者を丸い目で見上げて、愛らしい声で鳴いた。
「ニャーゴ」
そう、一万年の時は魔王から言葉も奪っていたのだ。
勇者は剣を下し、大魔王の前にひざまづく。
そして、つぶやくのだった。
「斬れない!おれには猫ちゃんは斬れない!」
勇者は頭をかかえる。
その前で魔王は退屈そうに欠伸をして、クルンと丸まるのだった。
★これからもいろいろな猫ちゃんのお話をどんどん書いていこうと思っています。
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