表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

酒井家の10月1日(酒の日)

酒井家にーちゃんねーちゃんおとうといもうと・に起こった10月1日問題。

ティーンズラブ的な内容です。 @短編その52


★ タイトル変更した。ティーンズラブはええぞ。


ティーンズラブって、酒がきっかけで始まることが多いよね。

普通お持ち帰りされて、やり逃げされることが多いのに、ドリーム展開。

さすが、ティーンズラブ界、すげえ。

長男・栄side ************



「うわ」


となりに飲んだくれの女が寝ていた。すっぽんぽんで。


昨晩ちょっと飲んで行こう、なんて思わなければよかった・・・


俺は酒井栄、30歳。独身。ちょっと有名な企業の課長。有能なので30で課長なのが自慢だ。


昨夜、同じ部署の同期である毛利葉子といきつけの店で遭遇、初めてふたりきりで飲んだ。

これがまた楽しかった!

くそ部長をこき下ろし、社長が最近派手なカツラを購入して地毛と色が違うから『段差』とか、ふたりで大笑いして、酒が進む進む・・・

会計を済ませ、タクシーに乗ったところまでは覚えているんだ。



ここ、どう見ても俺んちじゃ無い。

ラブホでも無い。

多分、毛利のうちだ。彼女の性格からして、こういうきちんと整頓された・・居心地いいな・・って違う!!

うわあああ・・・会社のおんなと同衾だけは避けてたのになぁ・・

はっ!!本当にしたのか?した感じはするんだが・・

ご、ゴ○!!俺、持っていたけど、使ったか?!俺は慌ててベッドから這い出し、バッグを捜す。

ミニポケットに入れている・・あ、そうだ、ゴミ箱・・・俺のゴ○の色だな?パッケージも俺が買ったのと同じだ!

でも毛利の彼のかもしれん。まだ毛利、寝てるな・・・起こすか。

6時か。携帯で地図検索・・○事駅近くだな。俺んちから意外と近いな。家に帰って着替えも出来るな。

逃げるか・・・

でもこういうのって、マンガだと女が先に起きて、男を置いて帰るってシチュエーションだな。

男が帰ると、いかにもやり逃げだな。

会社の同期で部下だ。逃げると後々困るな・・・えーーい!!男は責任ももてないなら誘ってはいけません!!

お覚悟案件になるくらいなら、自首します。


「おい、毛利。起きてくれ」

「にゅ・・」


むにむにと奇妙な声を出す。30の女が出す声か?

あ。昨日、すげえ可愛い声、って。おお、覚えてたぞ、俺!!

やっぱりやることやってるぞ!!ますます逃れん。


「おい、毛利!・・・・よーーこちゃん、よーーーこちゃーーん。そろそろ起きてくれないかな〜〜」


耳元で囁き声よりは大きめに声を出す。


「は・・?あ・・・酒井くん・・おはよー・・・さ、か・・・・えええええええ!!!」

「おお。やっと覚醒したか」

「わ、あ、え、ひええええ・・・酒井くん、もしかして」

「おお。抱いたぞ」

「どひぃいい」

「30女がそんな情けない声出すか。冷静になれ」

「あんただって30じゃん!!」

「おう。お前んち、ゴ○あった?」

「ないわよ」

「彼氏は?」

「いたらこんなことしないわよ!いたら家にあげるなんてしないし」

「男日照りとか言って嘘泣きしてたからな。俺はどうだった?」

「・・・・・・・・・」


急に黙った。ん?なにか考え事・・・ほう?


「おお、思い出しましたか。顔が真っ赤ですね。俺のテクはご満足いただけましたか?」

「やだーーーーー!!ばかーーーーー!!」


枕アタック炸裂。ちっとも痛くない。


「照れるな。こっちまで照れる。合格だったか?」

「図る目安対象なんかいなかったわよ」

「え。やっぱし初めてだった?まだ痛いか?」

「(やばっ)・・・・ん・・」

「そうだよな。どうもおかしいとは思ったんだよな」


お?むっとしてる?何故だ。


「どこらへんがおかしかったんでしょうねえ?教えていただければ、今後の参考にさせていただく所存」


もう笑ってしまうほど挙動不審な彼女が、日頃の落ち着いた彼女と違ってて、なんか新鮮で。


「だから、経験ないのかなーって」

「どの辺で?と言うかどうして分かるの??」

「きつかった。そして、痛がった」

「ひゃっ・・」

「痛いか?まだ」

「・・・・」


そして上掛けを剥ぐり、シーツを見る。あー・・汚れてる。


「あ。ゴメンな?初めてとは思わなかったから、ちょっと荒っぽかったな。でも入れる前にちゃんと一回はイかせたし、十分濡らし」

「ひええええ、言うな見るなーーー!!」

「あだあ!」


毛利がシーツを強引に剥がすから、俺はベッドから転がって落ちた。

彼女はすっぽんぽんなまま、シーツを抱えて洗面に駆け込んだ。

少し後にシャワーの音がする。

・・・うーん。なんか、なんかな?

不思議とこういうの、いいなって思ったんだ。



「スーツなら同じでもいいわね」

「下着を替えたいけどな。靴下とネクタイは替えを持ってるんだけど」

「私の履く?」

「履けねーよ。いや、履けるか?女のパンツってすごく伸びるし、お前ケツでかいし」

「なんだとこらー、そのケツになにしやがったー」

「キスマーク4つほど付けといた」

「ぎゃあああ」

「俺を言い負かそうとは、片腹痛いわ」


よーこちゃん、手早く朝食を作ってくれて、俺はシャワーを浴びて汗だけ流して昨日の服を着る。

そして二人で食卓を囲む。

うわぁ〜・・和朝食とか。手間だろうに。

わかめと豆腐の味噌汁。赤味噌が嬉しい。我が家は赤味噌派だからな。出汁はアゴか。へえ・・・

卵焼きは白だし味。俺んちは甘いの好きじゃないんだよな。卵焼きの横に、ほうれん草のお浸しまで添えてある。白ゴマがアクセント。そして、炊き立てのご飯。おや、ふりかけと『ご○んですよ』まである。いいよね、『ごは○ですよ』。

なにこれ。俺好みの朝食・・・


「よ〜こちゃんは和朝食派か?」

「またよ〜こちゃんって・・月水金はパン。火木が和。今日は木曜だから」

「ふーん」

「火木は弁当の日でもあるの。でも、お弁当分は酒井くんに出しちゃったのよねぇ〜」

「あ。悪い。ランチ、おごる」

「・・・・照れちゃう。ふたりでランチなんて行った事無いじゃないの」


おやおや。顔、赤いな。俺もなんか顔が熱い。同じになってるか?


「いいじゃん。会社のやつ、誰も知らんだろ、昨夜の事なんか」

「そうだけど。あー、今日仕事、ヘマしたら酒井くんのせいだぞ?」


ちらと、上目使い・・・うへ、可愛いな?30なのにさ。

仕事が出来る女で、俺と張り合ってた時期もあったけど、今は係長で俺の部下だ。


「上司として、というか同僚としてフォローしてやる。存分に失敗(しくじ)れ」

「やーよ!ミス無しミスって言われてるのに」

「誰だよ、そんなムカつくあだ名つけた奴」

「下の子たち」


女だけじゃ無いんだな、そういう事言うやつ。・・・ちょっと許せんな。庇護欲きました。


「本当、男も女も仕事出来ねーやつってクソだな。俺に言え。みっちり絞ってやる」

「えー。『酒井さんにちくったなんて、まるで彼女面しちゃって』って言われちゃうじゃん」

「言わせていいから」

「え?ちょっと」

「『私の彼ですが何か?』って言ってやれ。言わせてやるから、俺の女になれよ」

「ええええ」

「ダメ?」


今度は俺が上目使いをしてやった。おお。顔が紅玉並みに赤い。血管切れたらどうしようか?


うん。彼女がいい。昨夜の事、じわじわ思い出している。体の相性、凄く良かった。


大学から知っている彼女(よーこ)とは、12年近く一緒だったからな。

気心知ってるし、知り合いも丸かぶりだし、部署まで一緒だ。

話が合うっていうのは、一番いいんじゃないかなーー。俺の()()()()()とも顔見知りだし。

よーーし、囲い込むとするか!!俺のコミュ力を駆使してやろうかな!将棋でいうところの穴熊だ。

ちょうど今手が空いているし。半年後には嫁にしてやろう。俺も30だし、彼女も30だ。

次のプロジェクトまで、提案期間で手が空いてるもんな。グッドタイミングってやつ?


「という事で、覚悟しろよーこちゃん」

「よーこちゃん?!酒井く・」

「俺をえいちゃんと呼んでいいよ。さかえでも可」

「おとーとくん、栄次(えいじ)くんじゃん。被るよ」

「じゃあ、さかえさんって呼ぶんだなぁ〜〜?さあ、呼んでみたまえ」

「え・・」

「さあ、カマーーン」

「さ・・かえっ!さかえっ!!・・・さかえ」

「お。おう・・。よーこ」

「ひゃ、いっ!!」

「変な返事、ぷっ」

「なにおーー!」


あー、楽しい。気楽に話ができるのも、良い。

ずーーっと友達だった。張り合った時もあった。部下として良い関係だった。

もうワンランク、いや思い切り持ち上げて良いんじゃ無い?


「さあて、そろそろ行こう。遅刻するぞー」

「先に行ってよ」

「いいじゃないか。一緒に行って、見せびらかそうぜ」

「きゃーーー、無理無理無理ーー!!!!」


顔を真っ赤にして先に行く彼女に、俺は呼び止める。


「鍵、俺にもくれーー!無いから鍵掛けれないぞーーー!!」

「あ!はいーーー!!」


きゅるっとUターンして戻ってきた。

よーこの鍵、ゲット。ふふふ。


「明日、俺んちの鍵やるから」

「はぃ・・・押しが強いぃ」

「何か言ったかーー?さあ、行くぞ」

課長(仕事モード)だー・・」

「あははっ!」


面白いから手を繋いでみた。あー、よーこ脳血管切れそうなくらい顔が赤い。

慣れてもらわねば。チャ○ミーグリーンの爺婆に向かう岐路に来た?




会社に行ったら俺たちのオーラ?が怪しかったようで、同僚からどえらい聞かれた。

『なあ、お前、毛利さんとなんかあったか?』だって。あっれーー?

なんで分かるんでしょうねぇ・・・

顔が真っ赤な程度で分かるか?まだランチにも行ってないのに。

それに会社近くでは手を繋いで無いぞ?


「お前、すっげー毛利をチラチラ見てる」

「あちゃー」


俺でしたか。すまん、よーこ!



そしてランチに一緒に行った事で、確定された。いいよ、バレても。

そんなわけで、周りが勝手に囲んで、穴熊してくれました。あわあわしてるな?落ち着け。むふふ。

やーい、よーこ。もう投了したまえ。もう逃さないぞー覚悟しろー。





長女・栄子side ********



やばいやばいやばい。

昨日、超高級ホテルでレセプションがありましてな?お誘いがあって出席しましてな?

美味しいつまみ、シャンパンにワインに洋酒を飲み放題でしてな?

カクテルも流石に高級ホテル、美味いんでしてな?ぐいぐいいっちゃいましたよ。

勿体無いお化けに呪われた酒井家の人間ですもの。

バイキングにブッフェに飲み放題、もう腹一杯頂かなければと使命感に燃えましてな?


「酒井、大丈夫か」


誰かが私の名を呼びます。


「大丈夫!無問題!!あのおつまみ美味しそうです」

「まだ食べるのか。よく入るな、こんな小柄なのに」

「それなんて名前ですかー」


あー、酔っ払ってるかも?この声はー、誰だっけー。誰だったかなー。いや知ってる人ですよ。イケボの・・


「ブルスケッタだ。本当に入るのか?」

「食べますよー。ワインに合いそーな味ー。私は小柄ですが、兄と弟は180超えてますよー」

「そうか」

「さー、社長。シャンパンをどーぞ」


はい。私の上司、高坂社長ですー。名前は聖さんですー。でも年上ですー。40過ぎですー。かっこいいです。

だから私みたいな若造は、守備範囲では無い・・・私、28だったわー。アラサーだわー。守備範囲きた?

なんか・・・酔いが・・・うおお・・・目が回ってきた・・・


「俺はいい。本当、酒井呂律が変だぞ」

「・・・・」

「はっ!!酒井!!まだ我慢しろ!!我慢しろよ!!」


私の記憶はここで途切れている。酷い状態ですみません、社長・・




そして今の状況はというと・・・


隣に社長が寝ているーーー!!!!肩が丸見え。上半身、裸確定。

そっと上掛けを剥ぐって覗くと・・・わーーーん!!社長、パンツ履いてないよぅーーー!!

あそこがくたっとしてるよぅ・・でもくたっとしてるくせに、大きい・・

そっと上掛けを戻し、自分の体を見る。

裸だ。

見まごう事なくすっぽんぽんだ。

しかも・・・体になんか・・・赤い跡があるよ?キスマークって言うのかな?

ひえええええ・・・食べられたーーー!!!

社長!!社員に何してるんですかーーー!!

私は28歳、アラサーですよ?もっと綺麗な女の子にして下さいよーー!!

『うん、可愛いな』

昨夜、社長が耳元に囁いた言葉が、脳内でリフレインした!

しゃちょおおおおお!!もう、えっちーーー!!!

思わず社長の胸板に、ポカポカ拳で殴っちゃいました!


「肩にしてくれ。へなちょこ猫パンチめ」


がしーと両腕を回され、閉じ込められてしまった。


「はなせー」

「ははは。大人しくしなさい」


うわー、社長のイケボーー。笑い声だけで私をへなちょこにしてしまう。

・・・魔法使いか?

社長は42歳。だけど見た目30代に見える。若作りめ・・女の子にモテモテだもんね。イケメンだし。

むかー・・・ちょっとやきもちですな?今日はやいてもいいよね?

今日は金曜。会社あるから、だらだらと社長と同衾はやめなくちゃ。


「しゃちょー、起きませんか?」

「チェックアウトまではまだ時間があるぞ」

「そうだけどー」

「よし、もう一発」

「こらー」






社長凄くニコニコ顔です・・・時計は11時前です。


「もう一泊するからな」

「ばかー、仕事どーすんのー。さぼっちゃったよ!!」

「メール入れといたから。うん、可愛い可愛い」

「本当ぉー?」

「だからお嫁においで?美味しいもの、毎日食べさせてあげるから」

「迷うー」

「迷うことか?俺がおじさんだからか?」

「私だって、もうすぐ30だよー」

「俺なんか42だぞ」

「なんでその歳まで独身なんですかー?まさか、何か病気でも・・」

「馬鹿者。いいと思う女性との出会いがなかった」

「えー」

「本当だぞ?本当に出会いがなかったんだぞ!信じろ!」

「社長モテモテじゃないですかー」

「俺が良いと思う女ではなかったんだ」

「ふーん・・私みたいなちんくしゃ相手でいいんですかー?」

「うちで買っていたマンチカンに似ている・・特に顔」


マンチカン?あのダックスフンドの猫版ですか?!短足と言いたいと?


「マンチカンですか。短足と言いたいんですかな?」

「溺愛してたんだ。6年前の春にに死んでしまった・・そして4月に、お前が入社して、運命だと」

「馬鹿ですか?」

「えっこちゃんって名前だった」


私は子供の頃、えっこちゃんと呼ばれていた。今も母はそう呼ぶ。

やばい、運命感じちゃった。


「どうしてそんな名前を?」

「かわええ子からえっこになった」


あら可愛い、社長。お?社長の顔が近付いて、耳元に・・・


「えっこ」

「ぶっふぉ!!!」


イケボ攻撃、きたーー!!

42歳。でも大きな会社の社長、そしてイケボでイケメン、そしてエッチがうまい。

これは優良物件ですよね?ですよね?


「結婚、しようよ」

「しかたがないですねー。マンチカン、社長の家に住みついちゃいますよー」

「やった!」



そして、この土日で引越しを済ませて社長のお家に入居しました。

さすが仕事モードの社長は迅速です。



今は夫婦別姓もザラですので、暫くはこのままで。

そのうち社員に発表しようと。


マンチカンな私は、社長の膝に横抱きされてまったりするのです・・・

社長夫人よりはマンチカンでいいです。




次男・栄次side ********




やったぜ。

ヤったぜ。

酒でグテングテンにしてお持ち帰り。卑劣。

人として倫理観がちくちく胸を指すけど、もう手段は選べない状態だ。

ごめんね、亜李子ちゃん。


亜李子ちゃんは俺の幼馴染みの彼女だった。・・・3日前まで。


昨夜入った店に、亜李子ちゃんがカウンターでチビチビ飲んでいて。

最初俺を敵視していたんだよね。元彼の幼馴染みだから。

知ってるんだよ。

あいつ、亜李子ちゃんいるのに浮気してて。

俺は注意とか警告とか、してやらなかった。

別れてしまえって思っていたから。


俺の方が先に知り合っていたんだ。

ちょうど街であいつと出会して、俺が紹介しちゃったんだ。そのうち彼女にするつもりだったから。

俺が亜李子ちゃん好きなこと知っていて、あいつは先に告白して・・・取られた。

でもあいつ、俺から取るだけが目的だったからね。

1年よく持ったよ。

付き合い始めてすぐに、他の女と遊んでいたしね?


「ごめんね、知ってたけど・・言いづらくて。あいつに()()()んだけどね。浮気すんなって」


言いませんよ?俺をいい人に見せる演技くらいしてもいいよね?

俺から亜李子ちゃんを、あいつは取ったんだから。

あいつを悪役にしてもいいよな?そして、俺は全開の甘々モードだ。


ああ、あいつのために泣くな。

泣くなら俺の胸で泣きなよ。

俺は一筋だから。あいつみたいに泣かせないから。



会計を終えて、外に出ると『ありがとう』って言われた。

帰さないよ。

ひとりになんかさせないから。

俺が上書きするんだから。





そして俺んちに連れ込んで。


シャワーなんか浴びずに、速攻ベッドに連れて行って押し倒した。




・・・・え?

なんで?


初めて???





そして亜李子ちゃんが全てを告白したのだった。


なかなか俺が告白しないから、やきもち妬いてもらおうと思った?


で、それをあいつは承諾して、付き合うフリをした?


そのうちあいつが本気になって、付き合ってと言ってきたから別れて欲しいと言った?


そしたらあいつにストーカーみたいな事をされたり、強引にされそうになって、逃げていた?


俺に全部言おうとしたけど、あいつと交際している事になっているから言えなかった?


つまらない作戦を企てた、馬鹿な事をした、あいつを傷付けた、酷い女なんか・・・


店での態度は、俺を寄せ付けないように防御態勢だったから。だからあんなにつんけんして、睨んだのか?

涙をポロポロ零して語った真実に・・・


「こんなことする女なんか、好きになってもらえないと思ったから・・」

「うん。馬鹿なのはわかった」

「・・・」

「俺がちょっと勇気を持つだけだった。俺が馬鹿だった。だから亜李子ちゃん達を苦しめた」


涙顔の亜李子ちゃんは、くしゃくしゃになっているけど、それでも俺には可愛い。


「馬鹿な俺でもいい?亜李子ちゃん」


やっと腕の中に彼女がいる。


「ずっと大好きです。俺の彼女になってください」


腕の中の彼女はわんわん泣いて、刻々と何度も頷いて。




翌朝、あいつに二人で謝った。あいつが、


「一発、いや二発殴らせろ」


と言ったので、了解して気が付いた。しまった、あいつ、空手部・・・


痛てえ・・・良い音しました!!!


「暫くオレは笑えないから、声掛けるなよ」

「許してくれる気になったら、連絡してくれ」


こうしてあいつと暫く付き合いが無くなった。

俺がさっさと告白してたら、こんな事にならなかった。猛省だ。


「ごめんなさい・・・私がつまらない事を思いついたせいで」

「そうだね。反省してもらおうかな」

「・・どうすればいい?」


さあて、お約束、おしおき案件です。


「俺の事、もっと好きになってもらう。頑張ってね」

「はい!」


亜李子ちゃんを彼女にしたら、どこに行こうかとかずっと考えていた事に付き合ってもらおう。

亜李子ちゃんはケーキが大好きで、作るのも上手で。お弁当もいつも作って持ってきていて。



今日のお弁当は、生姜焼きのアスパラ巻きと、ソーセージ卵焼きにひじきの煮物。全部手作り!

おやつはブルーベリーとチーズのマフィン。凄いな!!


「あいつにも作ってやった?」

「一度も作った事ないの・・悪いことしちゃった」


ああ、ごめん。本当、済まんかった幼馴染みくん!!

付き合い再開したら、3回は奢る!!好きなものを頼んでくれ!!


というわけで、俺と亜李子ちゃんのキャンパスライフは続くのだった。




次女・栄美(えみ)side ********




昨夜、年下の男の子と飲んだ。会社の後輩だ。時任喜理矢ってかっこいい名前だ。

26歳の誕生日を祝ってくれたんだよ。うれしーな!誕生日は10月2日だけど、土曜だからね。

1日早くお祝いしてくれたんだよ。

思わず嬉しくて、はしゃいで・・・調子に乗って飲み過ぎた。


「今日10月1日、知ってます?酒の日なんだそうですよ」

「おお、蘊蓄王ねー。知らなかったー」


後輩くんは有能で、多分今度の人事で出世して違う部署に行くと聞いた。

多分確定。

私の上司にならないからほっとした。上司になられたら、4年の頑張りが悲しくなる。

まあ優秀なんだから仕方がない。私の頑張りではダメだったんだ、羨むなんて・・・ううう。

飲んでやるーーー!!

だから遅くまで飲んでも良いように、栄兄のマンションへ泊めてと打診してある。良いって言ってたし。

彼女さんがいても大丈夫!栄兄のいえ、3部屋あるもん。タクシー乗っても二千円いかないし。

マン喫は寝にくいし、女性部屋が近くには無いからね。

だから全然安心して飲んでいたの。


「このカクテル美味しいですよ」

「はー。色も綺麗ーー」

「エメラルドミストです。僕も気にいっているんです。おすすめですよ」

「うん、キリッとして美味しいねー」

「ここのワインも美味しいですよ。カベルネ系のアルゼンチンワインで、カテナ・サパータ・アンヘリカ・サパータ・アルタ・カベルネ・フランって言う名なんです」

「長いね!!」

「最近の南米産ワインは本当、安価で美味しいんですよ」

「本当だ!さすが蘊蓄王〜〜」

「そして、シングルモルト。国産の山崎は日本の風土に合う味です」



ちょっとづつ飲んでいたのに、なんか、頭がぽわ〜〜んと・・・





今思うと・・・ちゃんぽんだったよね?

多種のお酒飲むと酔いが早いよね!どれも度数高かったし!!

でもいろいろお勧めしてくれるし、美味しかったから、ついつい飲んだ。


「起きた?栄美さん」


隣にいるのは・・・・後輩くんじゃん・・・

なんか、私抱きしめられてるんですけど?腕枕されてるんですけど?

しかも、なんか・・・下半身が、なんか、なんか・・・感触が・・変。


・・・・・・・・・。


もしかして。

もしかして!

嵌められた?

酒をちゃんぽんで飲ませて。

ぐてんぐてんにして。

嘘!

そんな後輩()だったの?

人が信用出来なくなっちゃうじゃん!!

それに私は十把一絡げ、美人じゃ無いし、スタイルは平凡だよ?身長は姉は149なのに、私は166!

兄と弟はどちらも180センチ。それはいいか。

平々凡々な私を襲って何がしたい?

まさか、ドッキリ?罰ゲーム?


「何考えてるんです?罰ゲームでも、ドッキリでも無いですよ」

「心読まれた!!」

「僕、今度部署変わるんです」

「知ってた」

「部署変わったら、栄美さんと会えなくなっちゃうんで」

「そうだね」


あの部署に行ったら、本館に行く事になる。

本社ビルは双子ビルで、私のいる部署は第2館。滅多に会う事は無くなる。


「だから、もう栄美さんに告白・・・と思ったんですけど」

「はい」

「『またまたー。冗談はやめてくれくれタコラー』という謎生物ぶっ込んだギャグであしらわれると思って」

「あ、はい」


母がね、よく言うんだ。『やめてくれくれタコラー』って。昔の子供番組だったんだって。ググって。


「だからもう、強硬手段で体当たりで。栄美、好きだ。結婚してください」

「え!!彼女になって、じゃなくて嫁?嫁なの??」

「はい!!君に決めた!!」

「ひえーー、ボール無しでゲットだぜーですか?」

「僕、もう家も購入予定なんです。栄美好みに設計しますから!」

「凄いね、若いのにしっかりしているね。その半分でいいから、しっかりしたとこ欲しい・・」

「じゃあ、僕が仕込んであげますよ!ほらほら、僕みたいな優良物件、断る道理は無いですよね?」

「はい・・よろしくお願いします」


ぐいぐい来られて、つい返事してしまいました。

有能で出世頭で醤油顔。なんとなくイケメンで、中肉中背174センチ。ヒールもう履かない。

しかも、上手というか私に合っている。()()大事って友人が言ってた。

喧嘩しても()()()仲戻るって。




で、次の週末に親に合わせた。


「お前も?今金欠で式上げてやれない!」


だって。いやいいよ。二人だけ挙式、海外へ新婚旅行に行ったついでに済ますから。


え?栄兄と、栄子姉が結婚する?

写真見たら見覚えがある女の人だった。確か大学の同級生だったよね。

次に長姉のお相手の写真を見る。社長42だって!!いいの?って聞いた。


「いーの。聖さんイケメンでしょ?」


本当、30代に見えた。すごくイケメンだけど、長姉が惚れたのは声だった。

声聞きたいと言ったら、電話してくれた。マジイケボだった。くらっとしたーー。




笑っちゃう事に、話聞いたらきょうだい四人で10月1日になんか色々あった!!

で、長兄長姉が結婚式の代金の事で親に、


「親の金など当てにしない。老後に蓄えろ」

「聖さんが出すって」


長兄長姉二人が言う。さすが長男長女、しっかり者です。

二人とも高収入だしね。長姉に至っては、結婚相手が社長だもんね。

弟も可愛い・・え?めっちゃ可愛いぞ?!・・・彼女が出来ていた。優良遺伝子が加わるぞ!!やったね!!


「あんた。年下彼氏の気が変わらないうちに結婚してしまえ」


母と長姉が言ってきた。

あ、うん。

私の彼が一番普通の人だよね。

モテモテって感は無い。でも、既婚者は突然モテ期に入るらしいから注意はする。



そういうわけで・・・

私たちきょうだい四人にとって、酒の日が記念日になったのでした。



タイトル右の名前をクリックして、わしの話を読んでみてちょ。

4時間くらい平気でつぶせる量になっていた。ほぼ毎日更新中。笑う。

ほぼ毎日短編を1つ書いてますが、そろそろ忙しくなるかな。随時加筆修正もします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ