螺鈿の星屑
街の音を遮る心の厚壁が緻密な振動を通わせて僕の意識を蝕んでいく。
羅列した名前の数々が僕を惑わせる。
隠された縷縷の恵みが呼吸を通して全身の毛細血管の隅々まで満たされていく。
魂は分岐点を彷徨いどちらへ行こうとも結果は知れない。
毎日の心の穢れを洗い流す事さえ叶わずにどこまでも落ちていく。
前には上昇する壁があり僕はただ下降していった。
わざとらしく汚らしい罪の煙が汚人の口から吐き出されていて僕の肺に到達すると息が苦しくなり僕は汚人に対し裸の殺意を抱く事になる。
僕は既に穢れているのだろうか、であったら何をしてもいいのだろうか。
穢れを穢れで隠してしまえばいいのだろうか。
一体何を期待してこの吐き気のする想いをさせるのだろうか。
幸せに生きる事がこんなにも難しいだなんて知りたくはなかった。
立ちはだかる壁は幾重にもまさに立ちはだかり僕を絶望させる。
払い除け進もうとも霧の様な細かい粒子となって何度となく体に纏わりつき離れない。
何故生まれてきたの。