怒りってどうやってコントロールするの?(瞬間編)
なろう主人公のようなこんにゃくメンタルになるために、怒りをコントロールする方法について書いていきます。
怒りは「自分を守るために自然に湧いてくる感情」というのは既に説明してきましたので、お分かり頂けていると思います。
頭に血が上った時、人は冷静な判断ができなくなります。
傷害や殺人事件の動機で「カッとなって思わずやった」「魔が差した」なんてのは良く聞く話です。
他人をいたぶって喜ぶSの場合は、より苦痛がある方法にするとか他人にバレないようにするとか考えてますが、それは怒っているのではなく楽しんでやっているからです。
カッとなった瞬間、体の中では交感神経が働き、外敵に対してすぐ動けるように切り替わっています。
医学的に言うとノルアドレナリンが分泌されて、手足の先や運動に関係ない(胃腸関連)血管を締めて心臓に血液を集め、筋肉に行き渡らせようとするのです。
その結果、瞳孔が開いて、ドキドキハァハァして、口が乾いて、手足が冷たくなって、筋肉が緊張して武者震いしたりします。
脳内では「考える事によって生じる隙」を排除するため、強制的に冷静になれない状態を作り出します。
頭のスイッチをオフにして、体に全神経を集中させると思って頂ければ分かりやすいかもしれません。
本能のままに行動する野生動物に戻っているようなものなので、言葉による説得は受け付けなくなります。
スキル的に言うなら、バーサーカー・狂戦士モード。
子どもの「ウギャー!」と泣きながら暴れる癇癪はまさにこれ。
ホルモンの調節や理性がまだ未熟なので、大人よりも頻度が多くて持続時間が長めです。
極度の興奮状態は体への負担が大きいので、無意味に長引かせないよう、状況に応じてすぐ臨戦態勢を解除できるようなシステムができています。
理性を司る大脳新皮質が働くまでの時間は、約5~6秒。
それ以降は、本来なら冷静に考える事ができるはずなのに、分泌されたホルモンの惰性で怒っている状態だと言えます。
じゃあ、その5~6秒の間をどうしたら良いのか。
冷静になれないだけで、考える事自体はできるのです。
人体は賢いですから、本能のみで行動すると視野が極端に狭くなって命の危険に繋がる可能性がある事を、きちんと分かっています。
完全に理性を消失させるような愚は犯しません。
故に「やり過ごす」事に意識を集中させれば、時間稼ぎができます。
その方法は5つ。
とりあえず全部は試してみて、ご自分に合ったものを使い続けて下さい。
①腹式呼吸(特に吐く時に長くする)
肺は五臓の中で(肺・心・脾・肝・腎)、唯一意識的に動かせる臓器です。
やってみれば分かりますが、安静にした状態で心臓や胃腸を「もっと動け!」といくら念じても、変わりません。
危機を感じた体は、できるだけ多くの酸素を血液に取り込んで筋肉を動かすために「息を吸う」事ばかりやらせようとします。
吐く時間が減って呼吸が浅くなり、それが行き過ぎると過呼吸になります。
そんな呼吸の乱れを整えるのが、腹式呼吸。
血流量が多い内臓の血管を、腹筋を使ってできるだけ締めます。
限界ギリギリまで押し出すつもりでググーーーッと力を入れると、自然と息が吐き出されていきます。
息を吸う時に力を緩めて心臓により多くの血液を送り込む事で、体や脳が「酸素は十分に取り込めた」と認識でき「厳戒態勢解除」の指令が出るのです。
一度でもしっかりお腹を意識した呼吸ができたら、こっちのターン。
もうノルアドレナリンの好きにはさせないぜ!(ドヤ顔
全力でやると結構時間がかかりますから、息を吐いた時点で既に6秒近く経っていると思います。
あとは、冷静さを完全に取り戻すまで腹式呼吸を繰り返せばOK。
手先が温まり筋肉が緩んできたら、頭はクリアになっているはずです。
②その場から逃走する
ストレス源(脅威)から遠ざかるのは、シンプルかつ理にかなった行動です。
仕事や学校の時は無理でも、プライベートでは選択肢の一つとして挙げておくと良いでしょう。
喧嘩した時に「もういい!」と言って部屋を出て行くのは、よく見られるシーンの一つですよね。
あれはちゃんとした事実に基づいた、冷静さを取り戻すための有効な手段だったりします。
③ストレス源(脅威)から気をそらす
実際に襲われている時にやるのは自殺行為ですけど、精神的なストレスが多い現代社会においては有効な手段です。
カウントダウンが一番やりやすいです。
6、5、4、3、2、1、0。これだけで大丈夫。
あとは13を足していくとか、100から3を引いていくとか、計算をするのも良いです。
プ○チ神父の「落ちつくんだ…『素数』を数えて落ちつくんだ…」でも可。
私はそんなにたくさんの素数を憶えてないので、235711えーと?と考えている間に6秒経ってます(笑)
数字を使うので理系の人に合っているかも。
④落ち着く言葉を頭の中で唱えたり、好きな物を見たり触ったりする
「大丈夫」「ちょっとまて」「頭を冷やせ」等行動を抑制する言葉や、好きな物や動物の名前を繰り返します。
小さい写真やキーホルダーを持ち歩いて、いざという時にすぐ見られるようにするのも良いです。
リラックス効果のあるふわふわの毛玉やクッションをポケットに入れておいて、モフるのも有効。
注意点としては、好きすぎてテンションが上がってしまうと冷静さが戻ってきません。
ほんわかふんにゃり和むような対象を選んで下さい。
言葉や五感を使うので文系の人に合っているかも。
⑤怒りメーターをつける
怒りの度合いを数値化する癖をつけます。
どうやるのか分からない方は、ネットで「怒りレベル」で検索すると表が見つかりますから、そちらを参考に。
比べる事さえ意識できれば、既存の表に縛られる必要はないと思います。
解説者になりきって「ただ今の怒りレベルは……(ドラムロール)4!○○された事により、そこそこ怒っているようです」と時間稼ぎをしつつ、冷静な思考ができるよう誘導すると良いです。
以上が瞬間的な怒りを抑える具体的な方法です。
頭が冷静な状態に戻りさえすれば、あとは以前紹介した「自分を知り」「敵を知る」思考をしていって、気持ちの整理をしていきましょう。
2000字超えたので、次はやり過ごした怒りの発散方法について書いていきます。