第四話『ご馳走』
「で?どうしたの急に?」
「決まってるだろ!!お前に会いに来たのさ♪」
「お兄ちゃん♪」二人はまた抱き合っていた。
「取り込み中失礼♪お、兄貴お帰り。姉ちゃんもお帰り」
「光くん、ボクはお姉さんじゃないよ〜」
「そんな恰好している奴が兄なわけないだろう。それに、男の恰好したら似合わない」
「ひ、ひどい…」
「ははは。泣くな『一応弟』よ」
「お兄ちゃん…グスッ」どうみても女の子だった。紹介が遅れたが光とは東条 光。つまり月と恵の弟の事である。恵を姉として見ている。シスコンで恵の事が大好きなのである。歳は15歳。中学三年である。
せっかくなので東条家の紹介をしておこう。父真母綾の五人だ。両親は見た目20代だが40を過ぎている。
そんなこんなで今日は家族で焼肉パーティーだ。『恵脱引きこもりパーティー』だ。
「恵。お肉焼けたぞ」
「お兄ちゃん、ありがとう」
「姉ちゃん。にんじん焼けたよ」
「うん。ありがとう」片隅で両親は苦笑いをしていた。
いよいよ寝るために風呂に入った恵。
肩は撫で肩、体毛や日焼け一つしていないスレンダーな身体。見るとやはり男のアレは健在だ。だがいじった様子はなく、とても綺麗だ。髪も腰に届くくらいの真っ赤だ。太ってはいないが女の子に似た体型だ。正に女の子の様に一つ一つを綺麗にスポンジで洗っていく。因みに足のサイズは24センチとかなり小さい。
いよいよ身体や髪を洗い終わり湯舟に浸かる。
「はぁ…ボクは男なのに…」
「でも、ゆうくんのおかげで引きこもりじゃなくなったんだよね…裏切ったりしないよね…」恵は湯舟に浸かりながらぷくぷくっとやった。