第一話『出会い』
恵は高校には入学したが初日から行かず、もう一ヶ月が経つ。きっと誰も恵のことを知らないだろう。まぁ、外出しないわけではない。ただ、ばれないように女装してだが。
今日も新刊とCDを求めアニメイトへと足を運ぶのだった。
外見を紹介しよう。天然の赤い髪はポニーテールに愛用の赤い近眼メガネ。そして、白いパーカーに水色のTシャツに黒のミニ。ブーツをはいていた。スカートから見える生足がなんとも言えない。
何故だか恵には体毛が生えて来ない。声も声変わりしなかった。色白で身長145センチとパッと見何処から見ても女の子なのである。ナンパされる事がしょっちゅうな恵は今日もナンパされていた。
「君かわいいねぇ」
「え、あの…」耳にピアスをつけ、金髪オールバックの男が恵を口説いていた。何も答えられない恵。逃げようと走り出したところを男に手を引っ張られ転んでしまい涙目になった。そこへ一人の少年が現れた。
「恵。こんなところで何してる。さぁいくぞ。」少年は恵を連れて逃げた。
「ハァハァ。ありがとう」
「いいや、いいって。」
「あの!!恵って…」
「ごめんごめん。妹の名前。俺、名塚 勇助。君は?」
「…恵。東条 恵…」
「え!?恵って名前だったの?」
「うん…。それに…」
「な!?男だと?」
「うん…。ボクはいわゆる引きこもりというかなんというか…。で、自分を隠す為に外出するときは女装してるんだ…」
「そっかぁ。そうだ友達になろう。いいだろ?」恵は嬉しかった。まさか友達が出来るなんて思わなかったからだ。
「うん」二人は握手した。