表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/98

九話・ミルナの頼み事


「ん、どうしたの?そんな顔をして?

嗚呼!さては、僕が突然いなくなったから

寂しかったんでしょう!」


「そ、そんな訳、あるか!」


「もう...照れるな、照れるな♪」


ミルナは俺の表情を見て、

ニヒヒと口角を上げ、ニヤニヤしている。


「それで...突如、ギルドから消えたのは

一体、何故なんだ?」


「何々~やっぱり、気になっちゃうの?」


「そんなの当たり前だ!突然、目の前から

消えられて、どこを探してもいないんだ!

どうしたのかと、心配して当然だろうっ!」


ミルナの不真面目な態度に、

俺は少し、憤怒のこもった叫声を吐く。


「うん...そ、そうだよね!

ゴメン、心配させちゃった...反省するよ!」


ライの心痛な言葉を心に受けたミルナは、

シュンっとなり、その表情は反省の色を見せている。


「ああ...!こほん、ま、まあ...今度から、

気を付けてくれればいいさ!」


俺は、その場の空気感を変えようと軽く咳払いをして、

ミルナに反省しろと言葉をかけた。


「ありがとうライ、心配してくれて!

今度からは、突然いなくならない様にするね!」


ライの思いのこもった言葉に、

ミルナは頬を紅に染め、素直な言葉を口にする。


「そ、それでね...改まって何なんだけどさ、

ちょっとライに頼みたい事があるんだ...」


「お、俺に頼み事?」


「うん。どうかな?僕の頼み...聞いてくれるかな?」


両手の指先をちょんちょんとしながら、上目遣いで

頼み事をしてくるミルナ。


「それで...その頼み事の報酬はいくら出すんだ?」


俺は冒険者らしく、報酬の事を

ミルナに問いかける。


「ええ~!僕からお金を取るつもりなのっ!?」


「当然だ!俺は冒険者なんだぞ、

クエスト達成の報酬を貰うのは当たり前の行為だ!」


叫喚するミルナに、俺は冒険者のなんたるかを、

ビシッと教え込む。


「ぶぅ...お金はないしなぁ...しょうがない。

お金の変わりになるものでもいい?」


「ああ、クエスト内容と、

その報酬が見合う物なら構わないぞ!」


「それじゃ...恥ずかしいけど...ハイッ!」


ミルナは表情を紅に染めながら、

ライの前に立ち、そっと胸を突き出した。


「ハイッ!って...何故、胸を突き出して

ジッとしているんだ?」


「いやだな~報酬だよ、報酬!」


「報酬?」


「そう、僕のオッパイを好きなだけ揉んでいいから、

その代わり、僕の頼みを聞いてね!」


「好きなだけか......って、揉むか!」


俺はミルナの発言に慌てふためき、

顔を真っ赤し、視線を横に向けて叫喚する。


「ええ!だって、ギルドに向かう途中で

そんな事を心の中で叫んでなかったっけ?」


「ちょ、だから何でわかるんだよ!

やっぱりお前、テレパスが使えるだろう!?」


くそ...これから、こいつの近くでは、

迂闊な事は考えられないぞ...。


「く...これでも駄目なら、致し方がないが、

ライなら別にいいかな...」


「ち、ちょっと待て~!な、何で服のボタンを外している?」


「服の上から駄目なら、じかにならオッケーかなって思って!」


「だあぁっ!て、定食だ!定食を奢ってくれればいいっ!」


ミルナが服のボタンを取り終わる前に

俺は突然、思い付いた報酬を口から叫声する。


「定食ってどういう事?」


「この町の食い物通りに、新しく食堂が出来たんだが、

そこの特上定食っていうのが、美味しいって評判で、

それを奢るのが、お前の報酬って事でいいよ!」


「いや...別に僕は、オッパイをじかに――」


「だああっ!定食を奢るでいいと言ってるだろうが!

それで決定だ、それ以外はなしっ!」


俺はまだ、ボタンを外そうとしているミルナに、

報酬の決定の言葉を叫ぶ。


「わ、わかった...それでいいんだね。

ありがとう!僕の頼みを聞いてくれて!」


ミルナは、頼み事を引き受けてくれたライに、

破顔した表情で感謝の言葉を述べる。


「でもそっか...ライ的には、僕の生オッパイは

定食以下なのか...」


ミルナの口から、無念の言葉が洩れる。


「そんな事はない。生オッパイ大歓げぇ···

...って、うぉわっ!?」


危ねぇ、危ねぇ!思わず、口走るところだったっ!


本音を洩らしそうになった俺は、

慌てて口を手で押さえ、言葉を飲み込んだ。


「え!今、何か言った?」


「イヤ!別に何も言ってねえし!」


「嘘だ~!ほれ、正直に言ってみぃ!」


ミルナは、鬼の首を取ったが如く

ニヤニヤした表情で、ライの頬を人差し指で

ツンツンとしてくる。


「うるさい!これ以上言うなら、

クエストを受けるのを、取り消すぞ!」


「だあぁ!それは困る~!」


ミルナは慌ててライから離れ、両手を合わせ

謝ってくる。


「たっく...。

それで俺に頼み事というのは、一体なんだ?」


俺は気を取り直し、ミルナの頼み事は

何かと問う。


「うん...それはね、

僕のLV上げに付き合って欲しいんだ!」


「LV上げ?」


「僕...あるパーティにいたんだけど、

込み入った事情で、そのパーティ連中の一人と

LV上げをしなきゃいけない事になったんだ。


「ほうほう、それで?」


「でもさ、そいつとは全然、相性が会わなくて

ある日、とうとう我慢の限界がきてちゃってね、

後は、自分でLV上げをやるって、

啖呵を切って、そこから出てきたんだ...」


「ふ~ん、啖呵をねぇ...」


まあ、ミルナみたいな性格とは合わないって奴は

ごまんといそうだしなぁ...。


俺は、ミルナのこれまでの態度を心の中で

思い出し、うんうんと頭を垂れる。


「それでも、LV上げはしなきゃいけなくてさ...」


「さっき、出てきた込み入った事情でか?」


「うん。でも、一人でLV上げは

やっぱり、ちょっとキツくてさ...そこで...」


「俺が、そのLV上げを手伝うか...」


「どう?引き受けてくれる?」


「さて...どうするかな?」


「じゃ、やっぱ...定食と合わせて、生オッパイを...」


面倒事が基本的に嫌いなライが、

どうしようかと頭を悩ませていると、

やれやれ、このスケベさんが...とでも言いたそうな表情で、

ミルナが服のボタンに手をかける。


「だああっ!引き受けるから、手をボタンに

持っていくんじゃない!」


「引き受けてくれるの!ありがとう~!」


「うわ!突然、抱き付くな!」


「いいから、いいから!お礼の感触を受け取って♪」


「たっく...」


そう言いつつも、満更ではない

俺なのであった...。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ