表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

89/98

八十九話・今度はロザリー達に...


俺は婚約発表はあくまでも、その後に(仮)はつけて下さいねっと、

一応の釘を指して、ダーロット城をあとにする。



それからしばらく歩く事、数十分後...。



「ハァ...」


俺は表は婚約を認めたが、心がまだ婚約に対して納得していないのか、

先程から溜め息がつきないでいた。


「もう、主様!いつまでもウジウジと悩んでないで、いい加減、

腹をくくって現実を受け入れるッスよっ!」


「そんな事を言われてもさ~!やっと、お前という現実を受け入れたって

いうのに、その隙もなく姫様三姉妹が婚約な展開なんだぞ...。俺のキャパを

遥かにオーバーなんだよ!」


本当、何なのこの怒涛のイベントの嵐は...。ミルナと出会ってからここ最近で、

現実離れした展開がいくらなんでも増え過ぎじゃないの...!?


「ハァ...これって、完全にのんびり破滅へのカウントダウンが入っているよね...」


俺は今までに起きた数々の展開を頭の中で思い浮かべると、ゾゾッと寒気が

全身を走り抜け、その身が震えてくる。


「ハァ...今度はロザリー達にサイカの事を話さなければいけない訳だが...

絶対にイヤな予感しかしないぞ...」


「あ・る・じ・様~!さっきから聞いていると、な~んか溜め息が多い気が

するんですけど...まさか、気持ちがネガティブになっているんじゃ...!?」


ライの顔をサイカがジィィッと見つめながら、真面目な口調でそう述べる。


「うわ、そんな事ないです!ネガティブなんて、全然なっていないです!

だから、その顔と丁寧語はやめてぇぇ―――っ!!」


もう、あの轟音唸る鉄拳を食らうのは、死んでもイヤだぁぁぁぁ―――っ!!


俺はギルドの壁をぶち抜いて吹っ飛ばされた事を思い出して、喫驚しながら

慌ててサイカと距離を取る様に後退りする。


「だったら、ほら!シャキっとするッス、シャキっとっ!」


「はういっ!?」


元気な声でサイカがそう発すると、俺のお尻を思いっきりバンッと

叩いてきた。


「イテテテテ...。ちょっとサイカさん!お尻を叩く威力があり過ぎて、

もはや気合を入れるって、レベルを凌駕してるんですけどっ!

おかげで、お尻が二つに割れちゃったんですけどっ!!」


「何を言っているんッスか...元々お尻は割れているじゃないッスか...」


「うわ...何て、冷静で面白味のない解答なんだ...。俺はサイカの...」


「えぇぇっ!?だ、大丈夫ッスか、主様っ!?お尻が割れてるなんて、

それは一大事じゃないッスかっ!?」


「...と言う、サイカの可愛い反応が見たかったのに...」


俺はサイカの事をジト目で見ると、やれやれと言う口調でそう述べ、

口から深い嘆息を吐いた。


「そんな事を言われても困るッスよ。大体そのシャレって、何百年も

昔から存在するシャレじゃないッスか!それに反応するのは流石に、

難しいッスよ...」


「ちょい、サイカさん!真面目な顔をして、ド正論を言わないで~!

何か、こっちがめっちゃ恥ずかしくなってくるからぁ~っ!」


...って言うか、このシャレって...そんな大昔から存在するの...!?


そんなやり取りをサイカと続けていると、ロザリー達の屋敷門前に

辿り着いた。


「嗚呼、ライさん、やっと来ましたか。少し遅かったですね?

おかげでメチャクチャ心配しちゃいましたよ!」


門前で待機していたアーミカがライを見つけると、暗かった表情が、

ライを見て安心したのか、少し安堵の表情へ変わる。


「ごめん、ごめん!少し込み入った事情が発生してしまって...」


「込み入った事情...ですか?」


濁して話すライの言い訳に、キョトンッとした顔でアーミカが首を傾げる。


「はは...それは後で、おいおい話すとして...ロザリー達はもう屋敷に戻って

きているの?」


「ロザリー様達ですか?ロザリー様達なら、屋敷に戻ってきていますよ♪」


「そっか、戻ってるんだね。それなら急いで戻るとするか!んじゃ、行こうか

サイカ!」


「ハイハイッス!」


ライに呼ばれたサイカが馬車へ一緒に乗り込むと、屋敷に向けて移動する。



馬車に揺られる事数十分後......。



「お待たせです、ライ様!無事に我が主の屋敷へ到着です!」


アーミカが馬車の外からライ達のいる中へ顔を覗かせ、屋敷への到着を

告げる。


「ふう...ご苦労様、アーミカ!よいしょっと...!さて...屋敷の中に入ると

しますかね...」


俺は馬車から降りると、アーミカといったん別れて、サイカと共に屋敷内へ

移動する。


「ただいま~!ライ・シーカット、無事に帰ってきました~!」


「「「お帰りなさいませ、ライ様!」」」


俺が元気よくご帰還の挨拶をすると、玄関先で待機していた執事達やメイド達が

その挨拶に返事を返してくる。


「嗚呼、ライじゃないか!今まで一体どこに行っていたのよ!心配したんだぞ!」


執事やメイド達の後ろから、ロザリーが掻き分ける様に現れると、ライが屋敷に

いなかった事へ対し、プンプンと腹を立てている。


「ごめん、ごめん!ちょっと暇だったから、クエストをしにギルドへ行ってたんだ!」


「ギルドに...?」


「あれ..でも.おかしいな...?確か、アーミカに門まで送ってもらった時、その事を

言付けとして頼んでおいたはずなんだけど...?」


うん...間違いなく伝えたよな...?ほら、サイカも縦に首を振って、そうだと

言ってるし...。


「え...アーミカから......?嗚呼っ!?そうそう思い出した!そう言えば...何か、

そんな事をアーミカが言っていた様な気が...?」


「もう...ちゃんと聞いた事は覚えていてよね...」


その言付けの事を今ロザリーが思い出したのか、誤魔化す様にニガ笑いを

こぼしている。


「だって、しょうがないじゃない!聖剣の事で、ウチらやダーロット城が

てんやわんやしていた時に聞いたんだもん...」


言い訳をしながらロザリーが、プク~ッと頬を膨らませてふて腐れている。


「所で...ライ?さっきから、その...気になっていたんだけど...その後ろの娘...誰?」


ロザリーがライの後ろに立っているサイカに指を差して、何か疑っている表情を

浮かべて聞いてくる。


「え...自分ッスか?私はサイカー・フォースって言う者ッス!」


「へ...さ、サイカー・フォース...!?その名前...確かどこかで聞いた事が.........

...って、あるわ!それって、聖剣と一緒の名前じゃないか!」


ロザリーがサイカの名前を聞いた途端に目を丸くして、この間のライと同じ様な

ノリとツッコミを披露する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ