八十八話・婚約発表
「さて...ダーロット王、俺達はそろそろ屋敷に戻って、サイカの事を
ロザリー達に教えたいと思いますので、この辺で失礼させて貰いますね!」
俺は大広間の椅子をスーッと立ち上がって、ダーロット王に一礼すると
早急にその場を去る為の準備をする。
「お...そうじゃな。ロザリー殿達にも、サイカ殿の事を教えんとな...」
「はい、そう言う事なので―――」
「あ、そうじゃ、ライ殿!数日後に三人の婚約発表を兼ねたパーティーを
したいと思っておるんじゃが...どうじゃろうか?」
「ぶぅぅぅ―――――ッ!?」
突如ダーロット王の口から発された衝撃発表に、俺は目を見開いて
ビックリしてしまい、思わず吹き出してしまう。
「ちょっと、ダーロット王!?婚約発表ってなんですか!?」
「それは娘達へ悪い虫が付かない様、さっさと婚約発表して、わしの娘達は
ライ殿のモノじゃぞっと、皆へ知らしめておきたいからじゃよっ!」
「ぶぅぅぅ――――――ッ!?」
ダーロット王の言葉を聞いて、再び俺は吹き出してしまう。
「ま、お父様ったら...そんな事を発表せずとも、私はライ様に首ったけ
ですわよ!」
「もしそんなのが来たって、ぶっ飛ばすだけだけどな。でもまぁ...オレが
ライにぃにのモノって事は、みんなに知ってほしいかも♪」
「ふふ...ライ様の...うふふ...」
ダーロット王の言葉を聞いてリオ、ネイ、ガーネットが頬を染めて
喜んでいる。
「し、しかしダーロット王!婚約を発表するにしても、数日後って言うのは...
いくらなんでも、早すぎるのではありませんかっ!?」
どんどん進んでいくリオ様達との婚約状況に、思いっきり焦りを見せた俺は、
ダーロット王に時期相応では進言する。
「それにさっきは成り行きで婚約を認めましたけど、やっぱり冷静に考えると
リオ様達三人と婚約って、一体全体...貴族達にどう説明をするおつもりですか?」
三姉妹のオッパイの魅力に負けて、つい婚約を認めてちゃったけど...冷静に考えればさ、
貴族やお偉いさんが認めるわけないじゃん...。
そんな考えをしていると、ダーロット王の口からいつもの言葉が繰り出される。
「それなら大丈夫じゃ、貴族達にはミルナ殿の名前を出しておけば、万事解決
じゃてっ!」
また、ミルナかぁぁぁぁ―――――ッ!!?
く、くそ...もう何なの、ミルナさんって...。
これ完全にダーロット王より、ミルナの権限の方が絶対に上の存在だよね...。
だって、ここに来てミルナに関わった全ての人間が畏怖しているし...。
「たっく...。ミルナめ、再開した暁には絶対に、説教を食らわせてやる!」
「せ、説教...ミルナ様に説教をっ!?」
「凄いなぁ、ライにぃには...あの逆らった時点で、瞬殺決定のミルナ様に、
説教をできるなんて...!?」
ライの発した、「ミルナ説教」の言葉を聞いたガーネットとネイが、
目を丸くして驚嘆している。
「とまぁ、そう言うワケじゃから...ライ殿達の婚約発表に異論を言うもの
なんぞ、誰もおらんっというわけじゃ!」
「そうそう、だから安心しろってライにぃに!それにもしここで断ろうものなら、
オレはライにぃにが認めるまで、ずっとつきまとっちゃうからな!」
「わ、わたくしも、ネイと同意見ですわ!ライ様が認めて下さるまで、ついて
行っちゃいますから!」
「勿論、私もですよ!もう他の男をなんて言わせない為に!!」
うわ...ネイ様もガーネット様も本気の目をしていらっしゃる...。
それにリオ様、さっきの俺の言葉をまだ根にもっていらっしゃるな...。
それにあの目力を見るに、自分達との婚約を認めるまでは、どこまでも俺に
ついてくる気が満々って決意の目をしているじゃないですか...!
まいったな...俺はただ、サイカの事を知らせる為に来ただけなのに、気づいたら
何故か、王位の婚約者が三人もできているっていう事実...。
でも女性から好意を持たれ慕われるのは、やっぱり男として満更じゃないし、
それに三人のオッパイの魅力に負けた...(あ、リオ様はパンツを見たからだった)
...とは言え、一応婚約を認めちゃったワケだし...。
ふう...しょうがない、覚悟を決めますか...!
「わ、わかりました!婚約発表の際には、俺も参加させてもらいます!」
「ほ、本当ですか!嬉しいですわ~ライ様ぁ~っ!」
「やった~!これで晴れてオレとライにぃには、恋人以上の関係だぁっ!」
「ライ様...わたくしを...わたくしをよろしくお願いしますねぇっ!」
「わ、わわっ!?ち、ちょっと、三人とも!いきなりは―――うぷっ!?」
婚約を認められた事で感極まったリオ様とネイ様とガーネット様が、
ダイブする様にジャンプして俺の胸へ入ると、その勢いのまま、
ギュッと体を抱きしめてくる。
「もう...リオ様...それにガーネット様もネイ様もはしたないですよ...」
「うふふ...つい、感極まって抱きついちゃいました!」
「えへへ...ごめん、ライにぃに。つい嬉しく...」
「わたくしも、何かこう...胸が熱くなりまして、気づいたらライ様に
抱きついていました。は、恥ずかしいです!」
リオは瞳をうるうるとさせて、ネイは元気っ子の見せる様なお日様笑顔で
ライを見つめ、そしてガーネットは自分の行動に、自身自身が驚きの表情を
見せ、頬を紅に染めている。




