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八十六話・暗殺部隊


「では、話の流れを聖剣の方に戻すぞ...。まず...最初に聞く事は、何で聖剣が

女の子の姿になっておるんじゃ?」


娘達の笑顔に満足したダーロット王が、咳払いをして一つすると、聖剣の話へ

気持ちを切り替えてくる。


「あ、ダーロット王!その説明は自分でするッス!」


「お...確かに本人から聞いた方が早そうじゃのう、ではサイカ殿...ご説明を

お願いします!」


「うん、わかったッス。実はッスね...」


サイカは、何故ライが聖剣に選ばれたのかという理由...何故自分が女の子の

姿をしているのかという事を、詳しくダーロット王に教えていく。


「...と、まあ...こういう感じッス!わかりましたか、ダーロット王!」


「......」


「ん...?どうしたんッスか?そんなに口をあんぐりと開けて...?」


「イヤ...色々と言いたい事があるんじゃが...まず、これを言わせてくれ...」


「わしの目に狂いはなかったって事じゃなっ!うっしゃぁぁ―――――ッ!!」


ダーロット王が拳を高々と天に突き出すと、何度も叫声を荒らげて、喜びを

その身で表す様にテンションを上げている。


「ちょっと、お父上!?何て、みっともない事をっ!?」


「うわ...テンション高っ!?認めたくないけど、オレって、お父様似だったんだ...」


「ま...はしゃぎたくなる気持ちはわかりますわ...何せ、自分が認めた人物が

伝説の聖剣使いだったのですから...」


「それだけじゃないぞ!あのくそ憎々しい帝国の猛者、四天王を倒したんじゃぞ!

ザマァかんかんって、言うやつじゃっ!!」


少し呆れ口調で自分を見てくる三姉妹に、ダーロット王が人差し指をビシッと

突きつけると、まるで自分の手柄の様なドヤ顔をしている。


「お、お父上の瞳が、今までにないくらいキラキラしていますわっ!?」


「そりゃそうだよ。お父様、いつも帝国と五大貴族の板挟みで胃腸を痛めて

いたしね...」


あまり見た事のない破顔する程の顔で笑うダーロット王に、ガーネットが

目を丸くして喫驚する。


そしてダーロット王の心中を理解したネイが、ニガ笑いをこぼしている。


「嗚呼、ネイに言う通りじゃ!その帝国にひと泡吹かせたんじゃぞっ!

こんなに胃腸が清々しい気分になったのは、本当にいつぶりじゃろうか...

イヤ~今夜の食事がうまいんじゃろうな~♪」


ダーロット王が自分の腹を擦りながら、心わくわくと楽しみそうな顔をしている。


「でもさ、自分んとこの部下を聖剣使いが相手と知ったら、帝国からこの城へ

報復があるのではありませんか...?」


「「「あ...!」」」


リオの心ない発言に、ダーロット王、ガーネット、ネイの動きがとまる。


「そ、それなら大丈夫なんじゃないっ?だって、今現在の聖剣の姿って、

こんな状態だよ?その聖剣...サイカねぇねを見て、一体誰が聖剣だって

気づく人がいるの?」


ネイがサイカに向けて自分の手をビシッと突き出して、確信づいた

言葉をみんなへと投げかける。


「だからさ、それが帝国に伝わった所で、ライにぃにが聖剣使いだなんて

あいつらには気づかれもしないって!」


「おお、確かにそうじゃ、それにライ殿は一般市民じゃしのう...」


ダーロット王がネイの言葉に納得すると、ひと先ずの安堵感に胸を撫で

下ろす。


「そう言う事♪それにもしバレても、堂々とは表沙汰にはしないと思うよ?

お父様の言う通り、ライにぃには一般市民なんだし、その市民に四天王が

やられたなんて、あのプライドの塊の帝国が絶対に言うわけないよっ!!」


ネイが大丈夫と太鼓判を押す様に、フンスッと鼻息荒く豪語する。


「それじゃ、裏で動かれたら?どうするんッスか?」


「え...そ、そうじゃった...あいつらには暗殺部隊もいるんじゃったっ!?」


サイカのツッコむ様に呟いたド正論を聞いて、ダーロット王が帝国には

暗殺部隊がいる事をふと思い出した。


「あ、暗殺部隊!?その部隊が、ライ様を抹殺しにくる可能性があると...!」


「そ、それは一大事じゃないか!?あの帝国の暗殺部隊...一体、どれだけの

精鋭部隊なんだろうっ!?」


ガーネットとネイが、戦闘に特化した帝国の暗殺部隊の強さを頭の中で想像すると、

その身をブルッと震わせ、生唾がゴクリと喉を通って行く。


「ガーネットお姉様、ネイ...それだけが一大事じゃありませんよ...。いいえ寧ろ、

そうなった後の方がよっぽど、本当の一大事だと思いますわ...!」


「え...!?暗殺部隊が襲ってきた後...そうだね、そいつらがこの王都ダーロットへ

侵入してきた、関係ない人々を襲いでもしたら...本当の一大事だよね...!」


リオの真面目に語ってくる本当の一大事と聞いてネイが、その言葉を理解する様に

ダーロット王都へ起こり得るだろう惨劇を口にする。


「それもあります...それもありますけど、そんな事より、もっと、もぉぉ―――と、

一大事な事が起きる可能性があるんですよ...っ!」


「ネイが述べた惨劇より、もっと...!?」


冷や汗を掻きながら険しい表情で訴えてくるリオに、ガーネットが目を丸くして

驚きを隠せないでいた...。


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