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八十一話・ライの評価変わる


「ねね、ライにぃに!」


「うわっ!?」


「...って、ライにぃに!なんでそんなに慌ててオレから離れるのさ!?」


ネイが距離をライに取られた事に、膨れっ面でプンプンしながら文句を

言ってくる。


「離れて当たり前でしょう!貴女は俺に今さっき何をしたのか忘れたん

ですか!?」


ネイ様の抗議に対し、俺はさっき殴られた箇所を撫でながら、ブスッとした

表情をする。


「たはは...だって、あのリオねぇねやミルナ様が認める男が、一体どれだけ

強いのかなって思ったら、つい...」


ネイが舌をチロっと出して、ニガ笑いをこぼす。


「試したくなって...あの攻撃をしたと...?」


「う、うん...まあ、そう言う事かな...♪」


それで人を気絶させるパンチを繰り出す王女様って...。


やれやれ...見た目はショートカットにした、リオ様って感じなのに、

何て、残念娘なんだろ...。


「で、あっさり気絶したライにぃにを見て、あ...これは期待外れだと

思ってたんだけどさ、今さっきのサイカねぇねが語った話を聞いて、

それが間違いだって気づいたんだ!」


「サイカが語っていた...?」


「うん!ライにぃにが帝国四天王を倒したって!ねぇ、ライにぃに...

それって、本当の事なの?」


ネイが目をキラキラと輝かせて、ライの答えを待っている。


「えっと...た、多分...かな?」


「へ...多分?多分ってどう言う事なの、ライにぃに?」


ネイがハテナ顔をして、ライにそう問うてくる。


「それは、あいつがそう名乗っていただけで、もしかしたら違う可能性も

あるって事ですよ...」


ネイ様の問いに、俺はそう答えを返す。


だって、一般市民の俺が、帝国の事なんて知るワケないしね...。


「大丈夫ッスよ、主様!そんな可能性はないッスから!」


ライとネイの会話を聞いていたサイカが、自信満々な表情でそう

言ってくる。


「あいつの乗っていた飛竜と言い、あいつの匠な槍さばきと言い...

まず間違いなく、あいつは帝国四天王だと確信していいと思うッスよ!」


サイカが今までの経験を踏まえて、間違いなく四天王だったと断言する。


「ひ、飛竜!?飛竜使いで槍さばきが凄い帝国四天王と言えば、

竜騎士総隊長、槍使いのヂガン!?」


「ああ、ハイハイ...あの脳筋、そんな名前を名乗っていましたよ!」


「の、脳筋!?槍のひと振りで数十人を薙ぎ倒すと言われる、あのヂガンを

脳筋呼ばわりっ!?」


脳筋呼ばわりする俺に対し、ガーネットが目を丸くして喫驚している。


「じゃ...やっぱり、四天王を倒したのは、本当の事なんだ...!?す......」


「すっごぉぉぉ――――――――――いぃぃっ!!!」


ネイが羨望の眼差しで、歓喜の叫声を荒らげた。


「スッゴイ、スッゴイ!スッゴイよ、ライにぃに!サイカねぇねに慕われて、

帝国四天王をも倒すなんて...ライにぃに、凄すぎだよぉぉ!」


「ほ、本当に...凄いですわ、ライ様。それなのに、わたくしはそんな御方に

対して、何て非礼な言葉で罵ってしまったのでしょうか...。本当、穴が

あったら入りたい気分です...」


ネイが今にもその場をピョンピョンと跳ねそうな勢いでライを誉めちぎり、

ガーネットは自分の今まで発言を悔いて、顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。


「い、イヤ...そこまで絶賛で誉めていただくと、何かめっちゃ照れて

しまいますので、やめてもらえませんか...ネイ様にガーネット様!」


「こんな偉業を成し得たのにその様な謙遜をなさるとは...心の器も大きいの

ですね!?」


うわ...なんだ、なんだ!?何か、ガーネット様とネイ様の中で俺の評価が

うなぎ登りなんですが...!?


ここまで評価が変わるなんて...そんなに凄い事奴だったんだ、あのヂガンって

四天王...。


ま...確かに勝てたのが、奇跡だったのは認める所だけどさ...。


そんな事を考えていた矢先、今まで声をかけてこなかったリオ様が口を開いた...。


「あ、あの...ライ様、今度は私が聞いてもよろしいですか?」


「ど、どうしたんですか、リオ様!?そんな真面目な顔をして......!?」


「そこのサイカ様の事なのですが...先程、自分の名前をサイカー・フォースと

名乗っておられた様なのですが...?」


「あ...リオねぇね!そのサイカー・フォースって、確か...聖剣の名前だよね!」


「ああ、それはわたくしも少し気になっておりました!もしかして偽名...と言う事

なのでしょうか?」


「実はその事でお話があったんですよ......」


俺はひと息飲むと、サイカの事...聖剣の事をリオ様達に詳しく説明した......。



――――――――――



「「「ええぇぇぇ―――――――ッ!?」」」


俺の説明を聞いた、リオ様、ガーネット様、ネイ様が、シンクロしてその事実に

喫驚を荒らげる。


「そ、それじゃ!ら、ライ様が聖剣の使い手になられたと言う事なのですかぁっ!?」


「は、はい...。それで間違いないと思います...」


「でも、まさか聖剣が女性の姿に変わるとは...驚き過ぎで何を言っていいのか

口から言葉が出てきません...!」


「はは...面目しようもないです...」


「そうか...だから、サイカねぇねって、あんなに強いんだね!」


リオ様、ガーネット様、ネイ様のそれぞれが、聖剣...サイカへの印象を語る。


「それにサイカねぇねって、ライにぃにの事をめっちゃ慕ってるし、本当二人って、

意志疎通の仲なんだね!」


「はは...慕ってくれてるかは、わからないけどね...」


「何を言っているんッスか、主様!私は今までのどの勇者様よりも断然、主様を

慕っているッスよ!」


そう言ったサイカが、俺の二の腕にギュウッと抱きついてニコリと微笑んでくる。


はうッ!?腕にオッパイの感触が...ゴチです、サイカ様!


「サイカ様が聖剣で、ライ様がその聖剣に選ばれた主...ですか。ガーネットお姉様!

これは一大事な事ですよっ!」


「そ、そうだなっ!この事を早急に父上にご報告をしなくてはいけないなっ!」


「よし!それじゃあ、姉妹の中で一番足が早いオレがひとっ走りしてお父様に

報告してくるよ!」


慌てるガーネット達に、ネイが自分の胸をドンと叩きそう言うと、ダッシュで

駆けだし、ダーロット王のいる場所へと消えて行った。


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