表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

79/98

七十九話・ダーロット三姉妹


「はは...リオ様、俺との婚約を解消したくなったら、いつでも言って

下さいね。俺に遠慮なんてしなくていいので...!」


「え...!」


「ハァ...!?」


「うわぁッス...」


ライの言葉を聞いたリオが目を丸くして驚き、ネイが何を言ってんの、

このバカは?...と言う顔をして、サイカはアホを見る様な目をしている。


「そ、そんなに私との婚約がお嫌でしたのですか!?そんなあっさりと...

嫉妬もされず、いつでも解消していいだなんて...」


「うわ...。ロザリーねぇねや、モカねぇねから聞いてはいたけど、あんたって

本当に鈍感野郎なんだ...!?」


リオが喫驚した表情から今にも泣き出しそうな表情に変わり、ネイは飽きれた

口調でゴミでも見る目つきでライを見てくる。


「え~!だ、だって良い見合い話があるんだったら、俺みたいな一般市民なんか、

さっさと見切りを棄てて、そちらを選んだ方がいいと思うのですが...」


「あ、主様...。流石に今のは鈍感じゃ済まされないLVの言葉ッスよ...」


「お、俺だって、自分に好意も持ってくれている女性を蔑ろにはしたくないさ、

リオ様は物凄く可愛いし、性格も良いし...」


それにオッパイもでかいしなっ!


「そんな娘の幸せが良い方向に向くのを、考えてあげたくなっちゃうじゃんか!」


「ふう...主様、そう言うのを世間では鈍感野郎って言うんッスよ...」


「え...そうなの?これって、やっぱり俺が悪いの?」


「当然だろ!」


「当然ッス!」


ライの嘆きに間を入れずにサイカとネイが、同時にそう述べる。


「あ、あれぇ~?」


俺は正論を言ったつもりなのに、何故それが鈍感という事になっちゃうんだ...?


「ほら!リオねぇねも、この鈍感野郎に一言文句を――」


「はあぁ~好意を持った女性...それに...キャッ!私の事を可愛いと言って下さい

ましたわ~♪」


キャッキャと表情を恍惚に染め、その場を跳ねる勢いでリオが喜んでいる。


「な...もう、リオねぇねの機嫌が治っている!?こ、これが噂に聞く、上げて

落とすって言うやつなのか...!こ、このライって男、中々の策士...!?」


「正確には、天然の策士ッスね...」


サイカは自分の頭に手を置いて、ライに撫でられた時の事を思い出してそう呟く。


「し、しかしお父様から聞いてはいたけど、あのリオねぇねが...言い寄ってくる

男どもを、まるでゴミを払うかの様に追い払っていた、あのリオねぇねが...」


あんなにデレデレ、ニヤニヤするなんてとてもオレには信じられない!?


...て、言うか、変わり過ぎだろ!一体、このライって男のどこにそんな要素が

あるんだ...?


見た目は、普通...より上か...。性格は、純粋そうだが...鈍感だし...。


あ...わかった、強さか!リオねぇねは、こいつの強さに惚れ込んだ...


きっと、そうだ!間違いないっ!!


「ん...?どうしたんですかネイ様?お、俺の顔をジッと見て......って、

うわっ!?な、何で拳を構えて突進してきてるのぉぉぉっ!?」


「不意討ち、御免!てりやぁぁぁ―――――っ!!」


「御免って、言われて―――――ハギャンッ!?」


いきなり訳のわからない謝罪をネイ様が発した瞬間、飛び出す様に突進し、

唸らせた拳を俺の頬めがけて、思いっきり打ち込んできたっ!


その打ち込まれた拳の反動で俺は回転しながら空中を舞い、そして

地面にゆっくり落ちていく。


「......って、あ、あれ~?」


「あれ~?......じゃ、ございません!ネイ、貴女はいきなりなんて事を

するんですか!?」


喫驚したリオが倒れ込んだライの元へと移動し、ネイに対し窘める様に

説教する。


「い、いや...リオねぇねが、こいつに惚れ込んだ要素って強さなのかな~って

思ってさ...そう思ったら、その実力を見てみたくなって...つい...アハハ!」


リオの説教の言葉に、ネイが冷や汗を頬に掻きながらニガ笑いを浮かべている。


「ち、ちょっと、今の音は、一体なんなんだ!?」


リオがネイに説教をしていると、突如ガシャガシャと金属音を鳴らしながら、

奥の部屋から謎の騎士が出てきた。


「...て、リオとネイじゃありませんか!貴女達なのですか、今の騒音は!?」


「あ、すいませんガーネットお姉様!ネイが少し粗相をしてしまいまして...」


「粗相...?ん...リオ、貴女が抱き上げているそこの男性は...?」


リオに抱き上げられているライの事を、ガーネットがジロリと見つめる。


「ほら...こいつがお父様の言っていた、例のリオねぇねの婚約者(仮)だよ」


「何...この男がお父様やあのミルナ様達に一目置かれているという人物...

ライ・シーカットですかッ!?ふふふ...これは丁度、良かった...」


ガーネットがそう言うと、腰にさげていた剣を引き抜きてライに向けて

身構える。


「ちょっと、ガーネットお姉様!何を為さるおつもりですかっ!?」


「お父様からその事を聞いた時から、わたくし一度ライ殿とお手合わせを

お願いしたかったんですよっ!」


「ちょっとおやめ下さい!ガーネットお姉様!」


「その必要はないぜ、ガーネットねぇね。そいつの実力なら、もうオレがさっき

試したしな!」


「試した...なるほど、だから情けみっともなく地面に転がっているのですね...。

ハァ、お父様やミルナ様達から一目置かれていると言うので、どんな殿方かと

思えば...何ともガッカリな...へたれな人物でしたね...」


ガーネットがそう吐き捨てると、ライをまるで下卑た者でも見る様な目で

見てくる。


「ガ、ガーネットお姉様っ!いくらなんでもそれは言い過ぎですよっ!!」


リオはガーネットを睨みつけて、その言葉を窘める様に叫声を荒らげる。


「そう言われましても、そんな醜態を晒す様な御方をどう褒めよと言うのです?

全く、ミルナ様やリオはこれのどこに―――」


「そこの女騎士いい加減にするッス...それ以上の主様への冒涜、狼藉はこの私が

許しませんよ...」


サイカはゆらりとガーネットの前に立ちふさがり、苛立った表情でそう言い放ち

戦闘体勢に入った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ