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六十九話・久々のLVアップ


「んじゃ、さっきのローウルフはユユナのおかげで勝てたから、残りは

後二匹だな...」


俺は頬をパンッと軽く叩いて気を引き締め、再びクエストを再開する。


「ローウルフ...君はどこにいるのかな...っと!」


『目標ノ魔物発見...ココカラ北...約200メートル先ニ...イマス』


「200メートル先か...ちと遠いな...。もうちょい、近くに移動するか...」


150...80...60...よし!この位置なら、狙えるっ!


『食らえぇぇっ!弧月斬ッ!!』


俺はシス特製マジックアイテム『魔探』が差し示す方向へ、弧月斬を撃ち

込んだ!


「キャァァァワァァァン―――――ッ!?」


「うっし!見事命中だっ!」


放った弧月斬の波動が上手く当たったのか、魔物の断末魔が森中に響き渡る。


【LVが22に上がりました!】


【弧月斬がLVアップして、双月斬を習得!】


「お、久々のLVアップ!更に剣義のLVアップじゃん!...って、危ない、危ない!

前のクエストの時も確かこんなテンションの後、幸運と言う悪夢が発動だったなっ!」


俺はそんなのはもう御免被ると、周囲をキョロキョロと見渡して安全を確認する。


「メイリと二度目のクエストで上がったLVアップの時も、もうちょっとで発動しようと

しやがったからな...。なので、絶対に油断はしません!」


「それ...完全にフリみたいになってるッスよ...」


「やめてサイカさん!それこそ、完全に前フリじゃんか!と、とにかく、安全に

ポイントを上げたいからその間の警戒よろしく!」


「ハイハイ、了解ッス♪」


サイカに回りを見てもらっている間に、俺はポイントを慎重に振りわけた。


「ふう...これで良しっと!」


「ポイント振りわけにそこまで神経を研ぎ澄ますなんて...。その注意力、

さっきまでのローウルフに向けていたのより断然に上ッスよ...」


ライの凄まじい注意力に、思わずサイカが苦笑を浮かべてしまう。


「注意力も上がって当然なんだよ!俺の油断大敵のせいで、LV6分のポイントを

全部、幸運に振り込んでいるんだぞ...!もうこれ以上はマジでキツいんだよ!」


俺は目を見開くと、拳をブルブル震える様に握り締め、涙ながらにサイカへ

今の現状を訴える。


「なはは...そ、そんな力説を込めて言わなくても...」


「あ...でも、翌々考えてみたら......」


嗚呼、そうだったよな...。この幸運全て振りのおかげで、こいつにも出会えたん

だよな...!


「はうっ!?ど、どうしたんッスか、主様?急に私の顔をジッと見て...?」


「いやね...この幸運振りのおかげでロザリーやモカ...屋敷のみんな達と出会え、

そしてサイカ...」


「ハニャ!?」


「お前とも出会えたんだし...!これはもう、悪夢って言うのはやめにするべきなの

かもしれないなぁ♪」


俺はサイカの頭を撫でながら、屈託ない笑顔を見せる。


「ふふ...主様。全く似合わないッスね、そのはにかんだ笑顔...♪」


「はは、そっか...似合わないか!やっぱりあいつの様な爽やかさはでないか♪」


嫌味のこもった言葉を言いながらも頬を染めるサイカに対し、俺はニガ笑いを

浮かべて、指で頬をポリポリと掻く。


「さて...LVポイント振りわけも無事に終えたし、最後の一匹を探しに行き――」


「あ!危ない、主様っ!?上から攻撃が横に飛んでッスよぉっ!?」


「上!?またか上からの攻撃か!くそ、てりゃぁぁぁ――――っ!」


サイカの叫びを聞いた俺は、上からの奇襲攻撃を避ける為に大地を思いっきり

蹴って素早く横に飛び、その攻撃を間一髪の所で避ける事ができた!


そしてその瞬間、俺のさっきいた場所が、凄まじき爆音を響かせ大爆発するっ!


「どわぁぁ―――っ!?な、な、何だっ!いきなり!?」


「ち、避けやがったか...!」


悔しいそうに舌打ちをする方に顔を向けると、そこにドラゴンらしきモノに

乗っている男を発見する。


「ど、ドラゴンなのか...あれ?」


「そうッス、あれは飛竜と呼ばれる魔物ッス!」


ライの目に映るドラゴン...飛竜に誰かが股がっており、その人物がこちらを下卑た

視線でジッと見ている。


「ふん...女、よく知っていたな!これは俺達、竜騎士隊のシンボルともいえる

ドラゴンの中でのスピードに特化したモノなのさ!」


飛竜に乗っている男は自慢する様に声を上げて、飛竜の説明をしてくる。


「でも、乗っている人物は竜人じゃないぞ...?あれは俺と同じ人族だよな?」


「何だ貴様、飛竜も知らなければ、俺達竜騎士隊も知らないのか!」


「ああ、全然知らんな!」


「たく...俺達を知らないって...一体、どこの出身だよお前...」


「悪かったな、片田舎出身で!だが、騎士を名乗っている割にはいきなり

奇襲攻撃をかけてくるなんて、そっちこそどこの三流騎士様なんだ!」


「な、なんだと!誰に向かって三流呼ばわりしてやがる!」


三流呼ばわりされた竜騎士が、顔を真っ赤にして感情を剥き出しで

怒っている。


「ど、どうしたんッスか、主様!主様らしくない挑発っぷりッスね...!」


「あれを見ろ...。あいつの両脇に人がいるのが見えるだろう...?」


「た、確かにいるッスね...。あれはいるというより囚われているッスか...?」


「だろうな。あの片方は、さっきユユナが言っていたキジュさんだ...。そして、

もう一人が...」


恐らく、クーイと呼ばれていた人物だろう。うん、ここから見てもナイスバディだ。

己!あのクソ騎士め!ナイスバディ二人に囲まれやがって!


...と、いかんいかん!俺が我を忘れてどうするんだ。せっかくこっちの挑発に

乗ってきたんだ、このまま作戦を続ける...!


「とにかく、俺はこのまま挑発を続けるから、お前はその隙にあの二人を助け出して

くれないか?」


「え...嫌ッスよ!」


サイカの口から出てきた言葉は、いきなり作戦をオジャンに導く否定の言葉だった...。


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