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六十四話・番外編11 シスは言う『考えるんじゃない、感じるんだ!』


「取り敢えず...はい、プルア様、これを受け取って...」


私はマジカルポーチから取り出した指輪をプルア様に手渡した。


「ん...なんだ、これ?指輪みたいだが?」


「それは私の作ったマジックアイテムで氷系の技や魔法力を少し

引き出せる『氷上』です!」


「氷系って...さっきも言ったが、オレって氷系は一切使えないぞ?」


「使えないんじゃなく...使えないと思い込んでいるだけなんですよ、

プルア様は!」


「なんで、そんな事がわかるんだ?」


シスの言葉を聞いたプルアは困惑な表情を浮かべている。


「それはさっきの炎の技を見たからですよ、プルア様...。炎と氷はですね、

似てない様に見えて、実はそっくりな関係なんです...。なので、あれだけの

炎の技を使えるんだから、きっと氷系の技だって使う事ができるはずです!」


「使う事ができるって...イヤイヤイヤ...何その屁理屈みたいな理論!オレの頭が

ついていけないんですがっ!!」


シスの訳のわからない理論を聞いて、プルアは頭を抱えて叫声を荒らげる。


「そんな事はありませんよ...この理論は脳筋のプルア様だからこそできる

理論なんですから!」


「脳筋のオレだからこそできる?それは一体...って、脳筋言うな!」


「簡単に言うのなら、そうですね...『考えるんじゃない、感じるんだ!』

...です!」


「考えるんじゃない、感じるんだ...」


「とにかく、ここでちまちまと話をしていても仕方がないです...よっと!

こうやって、ダークロンの攻撃を交わしながら話をするのもそろそろ限界の

ようですし...はっとっ!」


「それ...そうだな...よっと...!わかった、やれるかわかんないが...お前が

やれるって言ってるんだ...やってみるさ...はっと...!」


シスとプルアは、ダークロンの攻撃を交わしながらの会話を終えると、

ダークロンから距離を取る様に後退りし、そして身を構える。


「いいですね...プルア様、私はここから援護のサポートをしますから、

先程、言いました様に氷の攻撃をお願いしますっ!」


「よっしゃ任せろっ!やってやるぜぇぇっ!うりゃぁぁぁ――――っ!!」


プルアは気合いを拳に溜めつつ、ひざを曲げて大地を踏みしめていく!

そしてそのひざに溜めた力を開放すると、一気にダークロン目掛けて突進したっ!


『喰らえ!連弾拳、乱れ撃ちだぁあぁだだだだぁぁぁ―――っ!!』


ダークロンに距離が近づくと、プルアの拳に溜めておいた気合いを開放し、

それを連打する様に、次々と打ち出して行く!


「グオオォォォオオォ――――――ッ!!」


打ち出した気合い弾が次々とダークロンに当たると、攻撃が効いているのか

轟音にも似た雄叫びを上げている!


「その隙は...逃しませんよ...。行けッ!能力低下マジックアイテム...『能下』!」


プルア様から喰らわされた気合い弾のせいで、集中力を失っているダークロンの

隙をついて、特製マジックアイテム能下を、私はダークロンに投げつける!


「グオオォォオオ―――ンッ!?グギャアアアオォォ―――――ッッ!!!」


ダークロンは自分の体の動きが遅くなった事に戸惑っているのか、さっきの

プルアの連弾拳の痛みと並行し、戸惑いが更に高くなって、暴れ牛の様に

その場を暴れ狂っている!


「今ですよっ!プルア様ぁぁっ!」


「嗚呼!わかった...考えるな......オレの力を......感じろっ!!」


『うりゃぁぁ―――っ!氷気弾.........波ぁぁぁああぁぁ―――――っ!!』


プルアはとにかくあれこれと考えず、自分は氷の技を撃てる...ただそれだけを

体に感じ、そして拳をダークロンに目掛けて撃ち出した!


「グオオオォォォオオ――――――――ッ!!??」


プルアの突き出した拳から青い閃光が撃ち出されると、それがダークロンへ

見事に命中し、撃ち込まれた箇所からカチコチに音を立てて凍っていく...。


そして、数秒も経たない内...ダークロンは全てを凍りつかせ、絶命した...。


「で...できた...!オレにも...氷系の技が...撃てた...はは!...やった......

やったぁぁぁ――――っ!!」


まさか、本当に氷系の技が使えるとは思っていなかったプルアが、

その瞳にうるうると涙を溜め、その口は歓喜の雄叫びを上げている。


「ふう...プルア様、ご苦労様です...。無事、ダークロンを倒せましたね!」


私は両手をパチパチと叩きながらプルア様の近くに歩いて行く。


「嗚呼!なぁシス、見てくれたか!さっきのオレの氷系の技をさ!」


「ええ、見ましたよ、中々に見事な氷の技でしたね!」


「でも、本当に使えるなんてな...まだ信じられなくて戸惑い中だぜ...」


「ほう...そこまで戸惑うなんて、私の言葉を信用してなかったって事ですか?」


「そ、そんな事は......イヤ、正直に言うと半分以上はできるとは全然、思って

なかった...。だってさ、今まで使えなかった技が、あの程度のアドバイスで

使えるなんて思わないって!」


「私の見立てに間違いなんてありませんよ...プルア様はできる子だって、わかって

いましたから...脳筋ですけど♪」


ふふ...プルア様みたいな直行形って、脳筋の割には色々考える節がありますから...

それを取り除くには、さっきみたいに直感的な攻撃が有効なんですよね...。


「あ、ありがとよシス...。そこまで信じてくれて...後、脳筋言うな!」


「ハイハイ...」


「その笑顔...言う気満々だな...たっくよっ!」


プルアは膨れっ面でシスにプンプンと怒っているが、その表情は逆に満更でもない

微笑みを浮かべていた。


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